事業再生・会社再建・M&A・事業譲渡・会社分割・経営改善・債務・連帯保証問題に立ち向かうセントラル総合研究所・八木宏之のブログ

クラウドコンピューティングが:被災企業・自治体支援/情報財産の記録方法再考

このエントリーをはてなブックマークに追加  

写真もネガもパソコンも津波に流されればデータ復旧は不可能
110520_1.jpg
東日本大震災による大津波で着の身着のまま家から飛び出し、通帳や印鑑、思い出の品々など大切な財産を流されてしまった被災者が多く報道されました。避難所からがれきの山で埋め尽くされた自宅に戻り、がれきを分けながら思い出の品々を手にする光景も多く見られました。自衛隊などによってがれきは少しずつ撤去されていますが、アルバムなどその家にとって大切な品と思われる残留品は分けられ避難所へ届けられています。
写真など最近はデジタルカメラから直接パソコンに保存されますが、そのパソコンも津波に流されてしまえば復旧の手だてはありません。パソコンを使用しているとデータのバックアップを推奨されますが同じ家や事業所にあればあまり意味はなく、データーを預かる無償ストレージサービスなどの利用が注目されそうです。中小企業にとっては大切な顧客データ、取引記録などいくら事業主の頭に入っているとはいえ、パソコンに勝るものはありません。最悪の状況を常に考え、家族、会社の財産であるデータのバックアップを考える時です。

IT大手企業でもセキュリティ100%保証はない
米グーグルの「Picasa(ピカサ)ウェブアルバム」や米ヤフーの「Flickr(フリッカー)」は、写真データなどを保存し、管理してくれるサービスを提供しています。両者とも無料で利用する事ができ、データ量が増えてくると有料に切り替えることができます。津波や崖崩れ、火災などでデータを壊滅状態になってもネットさえ繋がっていれば保管場所にアクセスし再びデータを手にする事ができます。いわゆるクラウ
ドコンピューティングと言われるサービスで、何人もが利用でき、グーグルはヤフーは保存、管理というサービスを提供します。
ネットは便利さ故に、情報の流出というデメリットを持ち合わせています。米IT企業の大手でさえ、「データ流出ゼロ」の保証はありません。1億人を超える個人情報が流出したと見られるソニーでさえ、ハッカーの手によってゲーム機・プレイステーション3のオンラインサービスに不正侵入されてしまうのです。

産官学組織・ジャパン・クラウド・コンピューティング:被災地の情報配信支援
経済産業省と総務省が日本経団連と共同設置した産官学組織・JCC(ジャパン・クラウド・コンピューティング:会長・宮原秀夫大阪大学名誉教授)は、被災地の中小企業や自治体のためにネット上でアプリケーションが利用できるクラウドコンピューティングのサービスを無償で提供すると発表しました。JCCは、企業や業界団体、業種などの枠を超え、産官学が連携しクラウド関連サービスの普及を目的に設置され300社近い企業や自分治体、団体・協会、公共施設、大学などが参加しています。
クラウドコンピューティングは、サーバーやシステムの構築や管理をする手間なく、必要なアプリケーションを必要なときに利用できるサービスでネットに繋がっていれば事業所でも自宅でも海外でも利用する事ができます。スケジューリングなどグループウェアと同様のサービスが無料、低価格で利用できコスト削減に貢献。Googleの安否確認など今回の震災でもサービスが止まる事はありませんでした。

県市町村200以上のサイトがストレスなく閲覧
クラウドコンピューティングは、その迅速性を生かして、ウェブ構築を即座に実施し、情報やサービスの公開が可能になるメリットもあります。ウェブサイトとまったく同じ内容のサイトを複製し、急なトラフィックの集中で処理が遅くなっても、アクセスを分散して振り分け、快適に閲覧できるサービスにミラーサイトがあります。東日本大震災では、普段あまりアクセスしない自治体や原発など関連団体サイトへのトラフィックが集中。クラウドサービスを提供するIIJ(インターネットイニシアティブ:千代田区神田神保町1-105 代表取締役社長 鈴木 幸一氏)は3月16日に、クラウドコンピューティングサービスで青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉の約200以上の自治体や関連団体のミラーサイトを立ち上げ、最新の情報をストレスなく配信しました。IIJではこのサービスを被災地に無償提供。他大手IT企業でも災害時の情報共有など、無償で提供されてきました。
<IIJ提供ミラーサイト:5月19日リンク確認>
●放射線医科学研究所:オフィシャルサイト / ミラーサイト

リスクの分散で財産は次世代へ
中国のレアアースや東京電力・福島第1原発の電気供給不足問題では、一極に集中する事によって、その機能が失われたときに多大な影響をもたらす事が浮き彫りとなりました。東京電力管内で実施された計画停電では、オール電化仕様の住宅の場合、暖房も、調理もできないというリスクが便利の裏に潜んでいます。大切な家族、思い出の写真や企業の財産である顧客データなど「流出」か「紛失」かのいづれかの選択を問われるでしょう。便利なクラウドコンピューティングも「期待」と「不安」を持ち合わせ、それを決定するのは自身です。ITの良い部分は利用し、リスクを分散して、次世代に財産を残し受け継いでもらいたいものです。

[2011.5.20]

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: クラウドコンピューティングが:被災企業・自治体支援/情報財産の記録方法再考

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.h-yagi.jp/mt5/mt-tb.cgi/447

コメントする

事業再生

セントラル総合研究所
セントラル総研オフィシャル
返済猶予・リスケジュール
www.re-schedule.jp
八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
著書の紹介はこちらから。

2020年7月

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31