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被災者の必要資金に対応:金融庁、貸金業法の総量規制緩和へ

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被災者への貸付、年収規制1/3を緩和へ
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金融庁は4月20日、東日本大震災の被災者を対象に、貸金業法で定めた年収規制を超える貸し付けを認める方針を発表しました。同法は、医療費など緊急性があるケースに限って、被災者には10万円まで総量規制を上回ることを認める方向です。
同法は、昨年6月に施行された改正により、過剰融資や多重債務者破綻の予防を目的として、借入総額を年収の3分の1までとする総量規制が実施されました。震災発生後、生活資金に困っている被災者の借り入れが制限される懸念があったことから今回の規制緩和に至ったものです。

強まる資金需要に対応/新規申込には課題も
金融庁では既に地域金融機関や信用保証協会に対しては、貸付や保証を円滑にできる措置が取られていますが、金融機関だけでは充分な対応を求めることが難しいとも考えられます。そのため、民間の貸金業者も利用できる環境づくりが進められたものと思われます。
クレジットカードの利用者には、少しでも資金の融通ができると歓迎されるかもしれません。ただし、被害の甚大な地域においては無人機も津波で流されたり、冠水したりといった被害を受けています。新規の申し込みについては書面交付などの問題も浮上するため、迅速で決め細やかな対応が充分に受けられるかどうか、疑問は残ります。

貸金頼みの行政?モラルハザードの懸念あり
金融庁は本件について「被災者に本格的な財政支援が行われるまでの資金確保策として活用を期待している」とのことですが、この姿勢はいかがなものかと感じます。
復興に必要な資金は、20兆円、いや30兆円とも言われ、その原資をどのように調達するかという問題はこのところ政治の中心議題となっています。増税など、全国民の生活にも関わる問題であるため、少しでも時間を稼ぎたいと言う考えも理解できなくはありません。
しかしながら、被災地域の企業の救済策や被災者の雇用問題も解決できないまま、お金を借りる環境だけを整えても、それを返せるかどうかが現状では分からない方が圧倒的に多いのではないでしょうか。震災により失業した上に、健康にも問題のある方に融資をするのは、貸金業者側でもためらわれるところでしょう。
金融庁の言葉通り、「医療費などに限る」のであればそれぞれ助成を拡充すれば解決できるとも考えられます。「被災者の資金需要に国で対応できないから民間でなんとかしてほしい」というのはあまりにも都合のいい話です。

零細企業の信用補完してきた貸金業者
少々高い金利であっても、無担保で必要な時に借りられる貸金業者からの融資を信用補完に充てながら事業を続けてきた中小・零細事業者、個人事業主は少なくありません。ところが、昨年の貸金業法改正による総量規制施行以来、そのような企業はよりいっそうの資金調達苦に晒されてきました。せっかくの信用補完のチャンスを、国が一律に規制して潰してしまったとも言えます。
貸金業者に対しても、ニーズがあるにもかかわらず事業を制限させておいて、ここにきて返済できるか分からない利用者に融資枠を広げろというのはあまりにも無責任ではないでしょうか。

「カネ貸しのプロ」の意見が必要
貸金業者側も、しっかりと自分達の立ち位置を主張すべきだと感じています。事業として融資をするのであれば、「金利を払ってでもメリットがある」と借り手に言わせるような融資を行うべきです。個人だけでなく多種多様な企業において資金需要が高まっているいまこそ、貸手側自らが「こういった企業に貸したい」と、積極的に利用者のニーズに応える強い姿勢で日本の経済をリードしてもらいたいものです。

[2011.4.27]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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