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早期復興を阻む財政難:PFI法成立で被災地公共施設に民間企業参入!

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「禁じ手」施策:国債の日銀引き受け・土地強制買い上げ110406_1.jpg
政府、民主党は東日本大震災における復旧、復興に被災者の生活再建、街づくり、企業再建支援を柱とした特別法16法案、「東日本大震災復旧・復興細作基本法」づくりを始めており、4月の中旬には国会に提出。月内に成立を図ると報道がありました。素案では国債の日銀引き受けや、土地強制買い上げなど「禁じ手」と思われる施策にも及んでいます。

IMF:復興へ大胆な財政出動で下支えを
IMF(国際通貨基金)、プラダン対日代表団長は3月24日、日本は復興のために「大胆な財政出動で、経済を下支えすることが必要だ」と、日本政府に求め、さらに、「日本政府には国債の追加発行などによる資金調達余地があり、復興費用の調達は対処可能」との見方を示しています。
復興への財政規模は10兆円も超えるとの見方から、過去にない想定外の政策が求められます。政府は、第一弾として約2兆円の第一次補正予算を編成し、本格的な復興へ取りかかります。

民主党支持層:子ども手当より被災地復興を優先して!が、85%に
巨額の復興予算の資金確保は、今のところめどが立っていないようですが、報道では、「増税による痛み分け」や、「日銀引き受けによる国債の発行」など、国民への負担をにおわす施策も検討されているようです。
所得税や法人税の時限的な増税は、産業団体でも言及され、公平性からも仕方のない措置と見ています。また、読売新聞が4月1日から3日までに行った電話調査では、「子ども手当などをやめて復興の財源にする」ことに、自民党支持層で87%が賛成し、マニフェストに掲げた民主党支持層でも85%が賛成と報じています。復興財源を最優先すべきだとする意識が、幅広く共有されているようです。海外から見て日本人が、「がまん」する心を持つと賞賛される裏付けでしょう。

慎重意見:日銀の政府財源化の危険は回避
一方、日銀引き受けによる国債の発行は、急激なインフレに陥る可能性が高く、円の信用力低下や国債価格の下落も招きかねません。日銀では現在でも資金供給の目的で金融市場から国債を購入していますが、国債を直接引き受けるとなれば日銀は政府の財源と化してしまう危険性があります。慎重に検討し運用なければ全体がバランスを失います。

PFI:公共の「箱もの」づくりからの脱却
政府は4月2日、民間資金を活用したPFI(社会資本整備)法を活用し、公共事業に民間企業の参入を促す方針を固めたと報道がありました。国会ではPFI法の独立採算制を高めるための改正案が提出されており、偶然にも震災が起きた11日午前、閣議決定されました。PFI法の改正によって、公共施設の所有権は公共側に残したまま、復旧や運営権を民間企業に委ねる事ができます。民間企業は、公共施設のサービスや料金設定などが決められ、ノウハウが発揮しやすくなりました。改正案には、事業の運営権譲渡も盛り込まれ、4月1日には参院に提出。民主党では早期成立に与党に呼びかけるようです。
日本はバブル崩壊後、地方の所得分配から公共事業を中心に約10年、「箱もの」といわれた公共施設が建設されてきました。国や自治体などからの発注にただ建設と、利用する側の必要性や市場も関係なく、予算消化とも思える事業でした。報道では、利用されない立派な公共施設に意味がないと追求され、その後、公共事業は年々減少されました。

PFI法成立:チャレンジ精神を持ちチャンスに
PFI法が成立すれば、公共事業は空港や港湾、自治体の施設など、様々な地域の活性化が期待されます。利用度が一番高く地域を知る地元企業は市場の調査や運営を。建設会社や建築設計事務所などは施行を。資金は収益性が見込める計画・運営案を担保に金融機関からと、幅広い産業に波及効果が期待されます。目的意識をしっかり持ち、誰がいつ、どこで、どのように利用されるのか。人口や気候、その土地ならではの環境などを分析、調査し、利用者見込み数、料金設定などの計画が必要となります。
従来の公共施設建設とは異なり、見込みを誤れば事業の存続さえ危うくなるのがPFI法を活用した事業です。地域を一番知るチャレンジ精神、豊富なアイデアを持つ地元企業にはチャンスと言えます。PFI法の活用で、国や自治体、民間企業がリスクを分散しながら復旧、運営するなど政府では、上下水道やガス施設なども視野に入れているようです。「ただ作る」から地域住民に「利用されるものを作る」に変る事で、新しい事業が生まれ、地域住民が集まり利用され、地域の活性化に繋げたいものです。

[2011.4.6]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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