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被災金融機関160店舗が閉鎖:金融機能強化法で産業復興資金貸出しに対応!

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過去最高額!日銀:金融機関当座預金残高約41兆円
日銀は3月30日、金融機関や証券会社などが資金のやり取りを行う短期金融市場へ、4月1日に金融機関に資金を供給する分として8,000億円を供給すると発表しました。日銀による東日本大震災後の金融市場への資金供給額は、119兆1,000億円となりました。金融市場では、震災やみずほ銀行のシステムトラブルなどの落ち着きを見せ、日銀では徐々に供給額を減らしていくとしています。
金融機関の手元資金量の目安となる日銀の当座預金残高は、約41兆円となっており、平成16年3月の約36兆円を上回り過去最高額となりました。日銀当座預金残高は、民間の金融機関が日銀に預けている資金で、残高が多いほど金融機関に資金の余裕があることを表しています。被災地の復興に向けた資金の整備は整っています。地域の金融機関による金利優遇や長期での貸出し期間などの企業に向けた支援が望まれます。

七十七銀(仙台)27店舗が閉鎖110402_1.jpg/石巻商工信組:営業再開のメド立たず
金融庁が3月31日に発表した「金融機関等の状況(3月30日19時00分時点)」によると、東日本大震災により東北6県と茨城県に本店のある72金融機関の営業店舗約2,700店のうち、5,9%に当たる160店舗が閉鎖、また相当数のATMが停止してると言います。震災から半月以上経った30日現在、仙台市に本店を置く七十七銀行は、142店舗中、19%に当たる27店舗が今も営業を停止していると報道があります。信用金庫や信用組合も大きな被害が出ており、石巻商工信用組合では、本店での営業を再開できていないと言います。

金融庁:金融機関の相談窓口一覧、活用促す
金融庁では、このような状況から顧客の利便を図るためできる限りの対応をするとしています。25日には金融庁のサイトに、「金融機関の相談窓口一覧」を掲載。金融機関の間では他行でも払い戻しができるなどの対応に当たっているようです。

地域金融間に低利融資:全信組、信金中金、全信協
企業同様に地域の金融機関でも被害は大きく、復興に向けた企業への資金貸出しに影響が懸念されます。
・全国信用協同組合は、被災した信用組合向けに低利融資を開始。
・信金中央金庫も全国信用金庫協会と共同で地域の信用金庫に低利融資を準備中です。
地域の金融機関には、企業からの更なる貸出し要請、リスケジュールなど、金融機関には経営に悪影響を及ぼす恐れが高まっています。貸出しの際の担保となった不動産や設備、在庫なども大津波で流されてしまえばその担保価値もなくなってしまいます。地震の起きた3月11日に金融庁は、金融機関に対し、中小企業金融円滑化法の条件変更を、被災企業の便宜を考慮し適時的確な措置を講ずるよう要請しています。
最悪のシナリオ、被災企業は、事業所も倉庫、在庫、設備も失い金融機関への負担だけは残り、復興に向け資金需要が高まる状態に。一方で被災した金融機関は、企業からの貸出資金の回収が見込めず、担保価値もなくなり、新たに低利で企業向けの貸出資金の借入を行うと言う最悪の構図にもなりえます。

内閣府、和田政務官:「金融機能強化法」適用/被災地域の金融機関支援
内閣府、和田金融政務官は、3月23日の衆院財務金融委員会で被災した地域の金融機関への支援について「このような時のために金融機能強化法がある」と強調。被災した企業に向けて機能が果たせるよう「申請があれば、鋭意検討する」と述べました。金融機能強化法は、平成16年6月に成立し、平成24年3月末までの時限立法。経営基盤の強化を望む金融機関の要請で公的資金を注入する事ができ、平成20年12月の改正で注入枠は12兆円となっています。

東日本大震災:金融機関の経営危機は復興を遅らせる
地域の金融機関が経営危機に陥れれば、その地域の企業や個人事業主にも経営危機へと連鎖する可能性は高まります。事業復活を目指す企業に資金が行き渡らなければ地域の復旧、復興のスピードを鈍らせ、地域経済に大きく影響を及ぼします。政府や金融機関では、さまざまな手を使って地域の金融機関の支援に乗り出すと言います。
 
経団連の米田会長:国難のいえる事態に一致団結を呼びかける
日本経団連の米倉会長は3月31日、震災復興特別委員会を招集、「まさに国難といえる事態だ。一致団結して乗り越えていかなければならない」と呼びかけました。出席した幹部約40人が一堂に会するのは異例と言います。危機感の表れなのです。政府、与野党も一堂に集まり、産業界とともに早期復興を目指したいものです。

[2011.4.2]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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