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ものづくり東北製造業の被害4千社超え:Made in Japanの品質・信頼は守る

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津波被災企業:32,341社/売上げ規模は9兆8,982億円/従業員数は363,796人
東日本大震災の被害は日を追うごとに明るみになり、製造業などの操業停止によって関連産業への影響は大きく、海外にまで及んでいます。
東京商工リサーチが3月24日に発表した、「東日本大震災関連調査」によると、東北4県の太平洋沿岸部44の市区町村に本社を置いている被災に遭った企業は、32,341社で売上げ規模は9兆8,982億円、従業員数は363,796人と言います。同社のデータベース230万5,646社から抽出され、個人で営む農業・漁業は含まれないと言います。日本の中小企業は約400万社から、被災企業はさらに拡大するでしょう
東北6県以外に本社を置き、東北6県に営業所や工場など進出した企業は、13,553社で、産業別では製造業が4、468社で構成比32.9%と3割を占め、売上高では148兆1,297億円と言います。業種別では、自動車や半導体関連の企業が多いと言います。津波の影響を受けなかった地域でも、地震による工場や機械の破損など被害の大きさがうかがえます。被害状況はそれぞれ異なりますが、工場操業の停止は、得意先への製品供給をも止め、一方で原材料の仕入れも止まり、川下への中小企業、小規模企業、零細企業への影響が懸念されます。

世界97%の電子コンパス製造業はセーフ
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東北地方の製造業の操業停止を受け、その影響は西日本にも出ており、加えて東京電力による計画停電が追い打ちをかける格好となりました。
米調査会社のIHS iSuppliの3月21日の報告書によると、東北の大手2社の工場の操業停止でなどで、シリコンウェハーの1/4のDRAM(半導体メモリの1種)、フラッシュメモリの供給に影響を及ぼすと言います。これらの部品は、パソコンやサーバ、スマートフォン、タブレットなどに使われる心臓部とも言える部品。代替え工場などで早急に対応したいものです。携帯電話のNokiaやSony Ericssonでは、端末事業に一部影響が出てくると明らかにしています。
世界の97%のシェアを持つ電子コンパスは、スマートフォンやタブレットに使用され、生産する東北地方の工場上位4社にいづれも影響は出ていないようです。地域によって、被害状況は大きく変わるようです。東日本大震災は、日本の製造業が世界では重要な存在となっていることに改めて実感させられます。

東日大震災で米自動車の塗装が変わる!?
世界の自動車産業でも震災によって操業を停止した企業からの供給に困惑しているようです。米フォード・モーターは、3月25日、東日本大震災の影響で、トラックやSUV(スポーツ多目的車)に使われる「タキシード・ブラック」の塗料が日本から供給されない事を受け、米国内の販売店に対し受注中止を要請したと報道がありました。米クライスラーでも日本で製造される塗料が不足する可能性があるため、黒と赤を基調とした10色の受注を制限してると言います。

ジャストインタイム「カンバン方式」が逆目に
米ゼネラル・モーターズでは、震災直後から部品の供給不足によって米国内の2つの工場で稼働を停止しています。部品はともかく、塗料まで供給されていたとは、日本の品質、信頼の高さがうかがえます。日本の製造業は、トヨタの「カンバン方式」で、在庫を持たず、必要なときに必要な量だけを調達するジャストインタイム方式が多くありますが、今回の震災では、この方式が逆目に出た形になったようです。、今後のサプライヤー(供給体制)に論議が呼びそうです。

日本の産業信頼維持に全力を!
日本の産業は、高度成長を機に世界のトップレベルまで上り詰め、先進国として品質の高い生産品を海外へ供給してきました。さらに日本企業は、確実な納期の遵守なども高く評価され、海外からの需要に応えて高い信頼を得る事ができました。日本の産業は、戦争災害に次ぐ被害となった東日本大震災を受け、大きな被害をもたらしました。今、ここで海外からの信頼を失わないためにも一丸となって取り組まなければ世界から取り残されてしまいます。生産拠点の中部以西への工場にシフト。さらにはアジアの新興国などでの生産も視野に入れ、ライバル企業であっても協力が必要です。経済産業省やJETRO(日本貿易振興機構)、自治体、産業団体などが中心になって、企業全体、総力を挙げなければならないでしょう。

EU各国が震災日本を支援:EPA交渉開始へ前向き
EU(欧州連合)は、3月25日の首脳会議で、被災した日本を支援するためEPA(経済連携協定)締結に向け、交渉開始を前向きに検討することで一致したと報道がありました。欧州市場は、自動車や家電.電子品など輸出品目が日本と被る韓国が、すでにFTA(自由貿易協定)を締結。今年7月の発効で関税は段階的に廃止され、日本は価格競争から取り残される懸念がありました。障壁はいくつもあるものの、EUの日本復興への支援、産業界には明るい話題です。海外からの需要に応え、今まで通りの供給ができるよう、スピード感のある復興政策を打ち出して実践して欲しいものです。

[2011.3.30]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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