(7)債務者区分を把握し金融機関と上手に交渉する
毎月の返済が苦しくなったら、ただちに金融機関との交渉を始めます。リスケジュール、債務圧縮がポイントになります。返済額が足りないといって経営者個人が高金利ノンバンクなどから借入、金融機関に返済することは最悪の選択です。低金利の債務返済に高金利のローンを使えばあっという間に債務はふくらみ債務地獄となってしまいます。
債務に苦しむある経営者は消費者金融など50社以上から借入れ、月のほとんどを資金繰りに追われ、本業、事業再生どころではなくなっていました。
金融機関は頭を下げてお金を借りるところと思いがちですが、金融機関にとって融資はビジネスです。ビジネスであるなら債権者と債務者は契約のもと、対等のはずです。今の時代、金融機関は事業再生に対して理解を示してくれています。借り手責任があるのと同様に貸し手責任もあって当然、堂々と交渉するべきです。
2003年、経済産業省が「早期事業再生ガイドライン」を定めるのに先立ち、金融庁の「金融検査マニュアル」の改訂版を発行しました。地方財務局が銀行、信用金庫の検査のためのマニュアルです。
債務者を5つに区分し、その区分によって債権額に対する引当金の割合を決めています。債務者区分の低い企業に対しては高率の引当金を用意しなければならず、そうなると金融機関の自己資本率が下がり、金融庁の基準を下回ります。結果、公的措置をとられることになってしまいます。それを避けたい金融機関は債務者区分の低い企業に対して融資を引き上げたり、担保物件を競売にかけるなど回収を図ろうとします。
自分の会社がどの債務者区分に入るか知ることが大切です。
<債務者区分>
1.正常先
業況が良好であり、かつ財務内容にも格段の問題がない。
2.要注意先
金利減免、棚上、貸出条件に問題あり、返済履行状況に問題あり。
財務内容に問題がある債務者、今後の管理に注意を要する企業。
3.破綻懸念先
実質債務超過の状況、業況が著しく低調で貸出金が遅延状態
過去延滞なし、支払い中であっても元本返済に長期を要する企業。
4.実質破綻先法的・形式的な経営破綻の事実は発生していないものの深刻な経営難、再建の見通しが立たない状況。
多額の不良債権を内包、返済能力に比して明らかに過大な借入金が残る。
元金または、利息について実質的に長期間滞納している債務者。
5.破綻先
破産・精算・会社整理・民事再生、取引停止処分などの法的・形式的な
経営破綻の事実が発生している。
<つづく>
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