異例のファンド組成?企業再生基金、投資規模1,000億円目指す
異例の再生ファンド設立
報道によると、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、日本政策投資銀行は共同で事業再生・再編ファンドを9月末にも設立すると発表しました。三菱商事など機関投資家も募り投資規模は1,000億円を目指すとしています。メガバンク同士が手を組み再生ファンドを設立することはきわめて異例のことです。報道されていない特別な事情があるのかもしれません。
事業再生・再編ファンドは技術力やブランド力があるなど事業再生が期待できる上場企業や中堅・中小企業を支援していくとし、対象には1件当たり10億から250億円を見込んでいるようです。
8ケ月ぶりにDI悪化
帝国データバンクによると平成22年8月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)が円高や欧米の景気減速などにより前月比0.3ポイント減の33.2となり、8ケ月ぶりに悪化したことがわかりました。特に内需回復を牽引してきた電機、自動車関連産業が最大の悪化幅となり、回復の動きは弱く、政府の政策支援による底上げ効果も縮小しているようです。
このような状況の中、政府の新たな経済対策や日銀の円高進行に対する追加金融緩和など期待したいところですが、民主党代表選の影響により即効性のある経済対策の期待感もやや薄れてしまいます。
国内では企業や、個人の投資が慎重になり雇用、所得の大幅な改善も期待薄で、「メーカー」や「小売業」、「サービス業」など幅広い業界で海外シフトが加速し、構内産業の空洞化、デフレのさらなる長期化も懸念されます。
危機感!企業再編が生き残りの道
同社の企業の意識調査によると全国の中堅・中小企業10.772社のうち45%の企業が「今後、業界再編が進展する」と回答しており、「小売業」や「サービス業」では5割以上の企業が「再編で企業体力をつけなければ生き残れないという危機感があり、再編ニーズは高まっている」と見ています。今後、同業他社との経営統合や、事業部門の一部売却、新製品の共同開発など企業再編に向けた動きがあるのではないかと予測できます。このような状況の中、再編に向けた新たなファンドが立ち上がろうとしています。
JAL関連ファンドなのか?
投資対象は「小売業」や「サービス業」とありますが具体的にどのような企業になるのか動向が注目です。三菱東京UFJ銀行や日本政策投資銀行、三菱商事、そしてみずほファイナンシャルグループに参加を打診しているとなると投資先はJAL関連の「小売業」「サービス業」なのか。いづれもJALの大株主ですから投資先救済は当然でしょう。また、1,000億円という大きなファンドながらマスコミにはそれほど報道されていません。これが、JAL関連だとすれば関係省庁の思惑もあるでしょう。
企業再生のためのファンドが今後も設立されていくことに期待を持ちたいところです。このファンドが業界再編、企業再生ひいては一部の金融機関だけではなく社会に有効であって欲しいものです。
[2010.9.6]
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