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金融庁:コミットメントライン拡大検討、資本金3億以下の企業にも適用

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従業員も景況マイナス判断
8月26日、日本政策金融公庫が発表した中小企業景況調査の8月調査概要によると、8月の売上DI(売上が良いから悪いを差し引いた業況指数)は-9.1と7月に比べ1.2マイナス幅が拡大、円高が進行している100827_1.jpg事から家電や自動車などの輸出産業が悪化しています。今後3ケ月の見通しDIでは、7月の10.1から1.1へ大幅に減少したものの7ケ月連続でプラスを保っています。国内のエコカー補助金制度や、猛暑によるエアコンなどの需要によって僅かなプラスを保っています。商品在庫DI(不足-過剰)を見ても21.7と商品が流通していることがわかります。ただこの先、平成22年度下半期に向けて明るい材料はあまり見当たりません。それは製造業の従業員判断DI(不足-過剰)が-3.5ポイントとマイナス幅が拡大したことからもうかがえます。

コミットメントライン緩和を検討
中小企業にとって暗い報道がされる中、8月27日の報道で「金融庁、融資枠、中小にも拡大」の見出しが掲載されました。金融庁ではコミットメントライン※(融資枠)の利用対象を中規模企業にも広げるというのです。現行では資本金3億円以上の大企業、中堅企業と定めていますが、基準になる資本金を引き下げ中規模企業の資金調達を円滑にするというものです。
中小企業でもあらかじめ設定した期間と限度額範囲内(コミットメントライン※)で、金融機関から少額・短期の資金を確保できるようにし、対象は特定目的会社(SPC)にも対象を広げる予定とのことです。
しかし金融庁はまだ「要件緩和検討」と言っています。この実態経済の緊急事態に単に検討している場合ではないのです。モラトリアム法によってリスケジュール(返済条件変更)期間が終わって、近々返済が再開される下請け企業や体力のない中小企業もあるのです。ともあれコミットメントライン要件緩和を急いでもらいたいものです。

政府内にも危機感がある表れか!
リーマンショックから早2年が過ぎようとしているのに、苦しむ中小企業の実情は、ますます悪くなるのを知らな過ぎます。円高、株安、内需産業空洞化、高失業率とこれからの実態経済にとってますます厳しくなってきます。中規模企業に対するコミットメントライン適用企業枠拡大を一日も早く実現してもらいたいものです。元請け会社の資金調達が円滑になれば、産業界に資金が流れます。これこそが景気対策を願う企業の本音でしょう。苦境の最中にいる経営者や失業者は声をあげられないのだから・・・・

[2010.8.27]

コミットメントライン:金融機関が取引きをしている企業に対して定めた融資枠。金融機関と企業があらかじめ融資上限枠を協議の上、いつでも一定期間迅速に資金調達ができるよう保証する制度。
企業には迅速な資金調達ができるメリットと決算上BSのスリム化が可能になる。

[2010.8.28]加筆訂正

 

 

 

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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