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倒産数過去2番目!景気回復傾向?特別清算の割合増

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回復傾向なのに倒産過去2番目に?
100806_1.gif5日、帝国データバンクによると平成22年度上半期(平成22年1月~6月)上場企業系列の子会社、関連会社の倒産件数が過去2番目の高水準です。
上場企業の平成22年3月期決算は、過去最高の収益を更新した企業もあり、緩やかな回復を印象づけました。この結果は、政府の金融政策、自社内での業務善、コストカットなどによる結果と見えたのですが、その中で業績不振の続く系列子会社などが法的に整理され倒産においやられたのです。その数は平成21年度上半期(平成21年1月~6月)の30件に次いで29件と過去2番目の高水準です。

本業の犠牲に「特別清算」申請
態様別にみると「特別清算」が29社中24社で構成比82.8%と圧倒的に多く、100806_2.gif例年でも70~80%で推移しています。親会社によって系列子会社などの採算性を判断、見直しや再編に伴って事業譲渡の後に清算処理するケースが目立ちます。また法的整理の一つである「民事再生法」はわずか2件で構成比は6.9%にとどまりました。
太平洋戦争の特攻隊ではないですが、親会社のさらなる発展のために29社が犠牲になったのでしょう。真珠湾で特攻隊零戦が米国戦艦に突っ込んでいくように。

返すモノは返して事業終了
法的手続きは「民事再生法」と「特別清算」、その目的は異なり、前者は企業の回復・再建を見直し事業を継続する事が目的で、後者は事業継続はせずに残った資産を債権者にできるだけ配分し事業を終える事を目的としています。
つまり「民事再生法」は債務を数%に圧縮して再生に向けて負担を少なくすることが出来ますが、「特別清算」は事業を諦め終えることを目的にしているので残った資産を債務者へ分配するのです。別除権者(担保を取ってる債権者)がいれば、残った資産からその担保の価値分を配分が配分されるのです。採算の取れない事業を終える訳ですからそれ以外の債権者への配分は厳しい状況だと思われます。

9月駆け込み申請か!
「特別清算」を申請する事はすなわち系列子会社に任せた事業が伸びずに脚を引っ張った結果でしょう。その事業を終え親会社に事業を譲渡し清算するという事になります。
この「特別清算」ですが、平成22年度税法改正によって「清算所得課税の廃止」が9月末日で終了します。すなわち10月以降、通常の所得課税に移行されてしまうのです。
系列子会社ほか全企業が、現行法で適用される今年9月末日までに駆け込みで「特別清算」を申請する可能性が増えるのではという懸念が残ります。
* 清算所得課税とは
会社が解散した後は、通常の所得ではなく、清算所得に対して課税される税制。
通常の所得:(益金)-(損金)
清算所得:(残余財産の価格(時価))-(解散時における簿価純資産額)
(参考:経済産業省ウェブサイト)

本気で変えようとしているのか?
平成22年度上半期は上場企業系列子会社などの「特別清算」を申請する企業は、下半期に向けてもその数が増加すると予想されます。また製造業の新興国への工場移転など今後、産業の空洞化、雇用問題がさらに悪化するのが目に見え、自力復活はすんなりとは出来ないように見えてなりません。このままで良いのでしょうか!!
先の参院選選挙での民主党の惨敗劇。菅首相の消費税問題だけではありません。選挙前の遊説では全国各地で声を枯らせ国民に訴え、そのヤル気がアピールしますが、いざ選挙の結果が出れば当選した議員は安泰、選挙前のヤル気見えません。本気でこの問題を解決しようとするカリスマ議員、カリスマ首相が今の日本には必要なのです。
本気で産業を復活させよう!本気で連帯保証人制度を見直そう!本気で事業を再生させよう!その意識が一番足りないのだと思えます。

反動がドンと来る・・・・かも
自動車産業は同じ9月末日にエコカー補助金制度が打ち切りと発表となり、「特別清算」とともにダブル危機が懸念材料になっています。2日、名古屋市でマスコミの質問に応えたトヨタ渉外担当、布野副社長は制度打ち切りに対して「(エコカー補助金制度が)無くなった後に(反動が)ドンと来る。何か(施策が)必要だと思っているし、いろいろな動きを取りたい」と危機感をつのらせています。政府にはあっと驚くエコカー補助金打ち切り後の景気高揚策を打ち出し、デフレを一気に乗り越えたいものです。
[2010.8.6]

 

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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