景気DI:3ヶ月連続UP!/企業の海外進出:就職戦線は採用もグローバル化
景気DI:32ケ月ぶりに改善!/輸出好調、エコポイント効果
帝国データバンクは2月3日、1月の景気動向指数(DI)が前月比0.8ポイント上昇し、33.7になったと発表しました。同指数は、昨年11月から3カ月連続で改善しており、1月は景気回復局面における最高(33.5:平成22年7月)を6 カ月ぶりに更新、平成20年5月(34.1)以来32ヶ月ぶりの水準を示しています。
業種別では、全10業界のうち「農・林・水産」、「金融」、「運輸・倉庫」を除く7業界が改善。「農・林・水産」、「金融」、「運輸・倉庫」は前月から悪化。回復が遅れていた「サービス」が改善し、これで10業界すべてが平成20年秋のリーマン・ショック前の水準を上回りました。中国やインドなど、新興国向けの輸出が好調だったこと。家電エコポイントや住宅ローン減税といった政府の経済支援の後押しによる国内需要の伸びで改善傾向が続いています。
企業が採用に積極的:海外からの留学生
先行きの景気予測DIは、1カ月後に1.6ポイント改善、3カ月後に3.9ポイント改善と見込まれています。帝国データバンク経済動向研究チームは「雇用や設備投資など内需の回復は遅れており、景気は踊り場脱却には至っていない」としていますが、国内の市場回復、あるいは輸出拡大となれば踊り場脱却も見込めると言えるでしょう。現在のところ、家計の冷え込みは依然として厳しく、国内の市場回復の好材料は乏しいと言わざるを得ません。発表と前後して経済産業省では、中小企業海外支援への動きを見せ始めていますが、景気回復の流れをうまく軌道に乗せられるよう、一刻も早い対応を望みます。
深刻なのは雇用の問題です。就職難の厳しさは深まるばかり。この春卒業予定の大学生の就職内定率は過去最低の68.8パーセントを記録。3人に1人が就職できない状況にあります。ところが、そんな環境でも企業が採用に積極的なのは、海外からの留学生です。
競争力に強い中国留学生/語学力がカギ
日本企業の海外進出が急がれるなかで、各企業は組織のグローバル化に力を注いでいます。従来は、海外進出にあたって日本から経営幹部を派遣したり、現地でヘッドハンティングを行って採用するというパターンが主流でした。しかし、新卒採用の枠で外国人留学生を採用する企業も増加しています。
特に注目されているのが日本国内の留学生の6割を占める中国人学生です。海外進出においてまず必要とされる語学力が備わっていることは採用の大きな理由のひとつではあります。内向き志向といわれ日本人の留学生が減少するなかで、中国人の海外志向は強く、日本人学生にはない積極性も高く評価されているのです。急成長を遂げている中国国内では、社会経験のない新卒者の採用枠はとても少なく、日本の就職活動以上に競争が激しいと言います。お騒がせチャイナパワーは日本の新卒採用の形をも変えつつあります。
ユニクロ:外国人新卒8割!/ハングリー精神欠如では取り残される
日本経団連によると、平成21年度に本社の新卒採用で外国人(国内外の大学の両方の卒業生)を採用した企業は全体の71.8%と、平成19年度の60.7%から大幅に上昇しています。パナソニックの平成23年春の海外現地採用は前年比5割増の1,100人と過去最多で、新卒の8割を占め、カジュアル衣料店「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングも、平成24年に新卒の約8割に当たる1,050人の外国人を採用することを発表しました。若手のグローバル採用を本格化して、新興国などの市場開拓を加速、人材面から国際競争力を底上げする方針とのことです。
既に日本企業には「若手を1から育てる」という余裕がある企業は少ないのかもしれません。これからの学生は、「入社して成長する」という志では取り残されていくのでしょう。「自分の力を発揮したい」、「社長になって会社を大きくしたい」とハングリー精神を持って、積極的に売り込んでほしいものです。
●関連記事:経産省攻めの政策:中小企業海外展開支援会議、進出企業の7割が黒字![2011.2.5]
[2011.2.9]
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