鎌ヶ谷経済効果:2軍!/縫製業1/3に!ソフトパワーで地域活性化目指す
年間2軍なら11億2千万円、開幕1軍なら2億円
斉藤祐樹選手の日本ハム入団によって、同球団2軍の拠点が置かれている千葉県鎌ヶ谷市には1年間でこれだけの経済効果がもたらされると予測されています。市内には「WELCOME TO KAMAGAYA」ののぼり旗。商店街各店舗では「祐ちゃんランチ」「祐樹(有機)野菜」などを売り出し、早速手応えを感じている様子です。この「佑ちゃんフィーバー」で、観客増による入場料収入や、関連グッズ販売、飲食、バス、タクシー利用増などに留まらず、契約金1億円プラス出来高5千万円(推定)の斉藤選手が市民になることで、市民税などの税収も見逃せないという声も。地元のファンは「斉藤選手には活躍してほしいが一軍入りして札幌へ転居してしまえば鎌ヶ谷への経済効果も薄れる」と、少々複雑な思いを抱えている方も多いでしょう。
鎌ヶ谷市は、これまで果樹園などの観光農業が盛んな地域でしたが、今回スポットライトを浴びたことをきっかけに、広大な土地を活かして、今後さまざまな産業を呼び込む可能性も期待されています。
伝統的産業が危機に
しかしながら、全国的に見れば日本の産業は衰退の流れに抗うことができずにいます。経済産業省の平成21年工業統計調査によると、国内の事業所数は3年連続の減少、従業者数は2年連続の減少、製造品出荷額等、付加価値額も2年連続の減少となっており、いずれも調査開始以来最大の下げ幅を記録しています。製造品出荷額等は24産業全てで減少しているだけでなく、都道府県別に見ても全都道府県で減少しているのです。
1月12日、同調査の分析から「縫製業、事業所・従事者は20年で3分の1に」と報道がありました。平成20年の外衣・シャツ製造業(和式を除く)の事業所数は7,000カ所で、従業者数は126、357人。ともに平成2年の約3分の1の水準です。平成16年からの4年間だけでも事業所数が18%、従業員数が20%減っています。日本の近代化を牽引してきた伝統的な産業が晒されている危機について述べられています。
商品の提案力が鍵
確かに、アパレルメーカーの多くが縫製を国内からコストの安い海外にシフト、長引く不況による消費者の購買意欲減退もあり、縫製工場を要する地域の地方紙では「ソーイング向上閉鎖、解雇」などの見出しが散見されるようになりました。
昨今は中国の人件費上昇などを理由に、縫製受注の「国内回帰」の流れも見られます。とはいえ、中小の縫製工場では、規模を縮小し続けていたところで生産増への急な切り替えに対応できなかったり、海外からの切り替え受注の単価は低すぎたりと、利益を生むビジネスモデルには至っていないのが現状です。追い風をうまく生かすには、加工技術や商品の提案力を高め、利益を稼ぐ工夫が必要です。
クオリティの高さを日本文化と共に海外へ
地域の縫製業者では、創設した組合が、街中でも着用可能なデザインと高い機能性を併せ持つ新しい農作業服の開発に取り組んでいると報道があります。高齢化と後継者不足に悩む農業の再生をあえてテーマに掲げ、若者を農業へ呼び込むだけでなく、将来的には増産による地域雇用の創出も狙えるとあって、注目を集めています。
また、地方の廃校舎を活用して武道具製造販売会社が起業。教室をはかまなどの製造場所とし、給食の搬入口を原料や商品の搬出入口とするなど、従来の設備を活かして操業を開始しました。
地方では、技術を持つ離職者の地域雇用だけでなく、一歩進んだブランドの確立も視野に入れた動きは、全国に広まっていくでしょう。政府の新成長戦略にあるソフトパワー産業である日本のアパレル、ファッションはアジアから注目されています。日本の製糸、織物、縫製、染色技術の高さ、クオリティの高さを、ネットを使って日本文化とともにアジア新興国へ広め地域活性化に繋げたいものです。
[2011.1.19]
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