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整理回収機構(RCC):会社分割の悪質乱用し回収不能に!詐害行為!福岡地裁がRCCへの支払い命令

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福岡地裁、企業へ債権支払い命令
中小企業の再編など事業の再生に、法令で認められている会社分割の乱用が多発していると報道がありました。会社分割とは、事業の一部を切り離し、別会社へ移すことで事業を継続する、会社法で定められています。新設や吸収する受け側の企業は、事業を切り離した企業に対し、事業に見合った対価を渡すなど、事業再生において会社分割によって事業を再編、継続するニーズが近年増えています。企業は不採算部分を残し、採算部門を新設会社へ移すことで新たに事業を継続していきます。
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報道によると、福岡地裁は2月17日、債権の管理、回収を行う公的サービサーのRCC(整理回収機構)が、企業の多額の債務を残したまま会社分割により、採算事業を新設会社へ切り離したとして、企業に対してRCCへ6億4,000万円の支払いを命じる判決を下しました。

P店の会社分割:赤字店舗1店閉鎖4店を新会社へ
5店舗のパチンコ店を経営するA社は、1店舗を閉鎖し、4店舗を会社分割でそれぞれの新設会社へ割り振りました。無価値な資産や債務は、A社に残したまま事業継続に必要な借入金や買掛金をそれぞれ新設会社に移行したと言います。RCCはA社の債権を金融機関から引き継ぎ、本来であれば会社分割によって新設された会社の収益から返済を受けられただけに損失を被ったとしています。
RCCは、いづれの新設会社の経営者がA社の妻で、会社分割後、A社が保有する新設会社の株式を妻に1社当たり50万円で売却。債権者の一部は新設会社での収益から回収が見込めるものの、RCCが保有するA社の債権は保護対象となりませんでした。

RCCが回収不能/債権者平等の原則に反する
RCCは、債権が回収不能となることから債権者平等の原則に反すると裁判となったようです。会社分割は、採算事業を続けながら過剰な債務の負担を軽減し、事業再生を図れるものの、悪質な行為とみなされれば、詐害行為として法に触れることが証明された判決となったようです。報道では、「悪質なのは、会社分割の専門家とされるごく一部の弁護士が、乱用的な会社分割に協力し、助長している」と指摘しています。

平成12年商法改正:会社分割!
RCCは平成11年に発足、債権回収に際しは「契約の拘束性の追求」、「人間の尊厳の確保」の両立を目指し業務を行っていますが、平成14年以降、「企業再生の追求」も回収指針に付け加えられました。会社分割は、経営効率の合理化や新たな事業への参入、転業する場合のリスクを新設会社に限定したり、親会社の事業を子会社へ移すことによる持ち株会社化などの目的で行われ、平成12年の商法改正により創設されました。

債権者保護手続きから債権者通知義務へ
会社分割は、事業譲渡など新設会社へ権利や義務を移転する場合、個別に相手の同意を得ることが不要(債権者保護手続きは必要)のため、法整備が進められ企業再編に役割を果たしています。しかし、会社分割が乱用乱用される法の不備があるとして、すでに改正案が上がっています。昨年8月には、日本弁護士連合会の弁護士委員会から、法務省に設置された法制審議会の会社法制部会に「会社分割における債権者保護の再検討」が記載されています。また全国倒産処理弁護士ネットワークも昨年12月、「債務超過である会社や会社分割後に債務超過となる会社が、会社分割をする際には債権者に通知する義務を設ける」としています。

詐害行為取り消し権を行使、東京地裁
報道では、不利益を被った債権者が、会社分割をした企業に対して訴訟を起こす動きが広まっていると報じています。会社分割は、会社法では認められているものの、悪質に利用されれば債権者への負担が増すばかりとなります。平成10年5月には、東京地裁で「詐害行為取り消し権」を行使し、債権者の勝訴を導いたとも報じています。詐害行為取り消し権は、債権者の不利益をもたらす企業の行為解消を求める権利で、会社法で守られた会社分割では適用されないが通説でした。

会社分割の有用性:新事業参入、異業種への転業
会社分割は、事業承継においても短期間で円滑に事業を移すことができ、事業再生においても親が子へ事業を移すなど、一つのきっかけともなります。しかし、資産や利益だけを追求するあまりに安易な発想で会社分割を行えば、社会からは悪質行為とみなされます。会社分割は、しっかりとした分割計画、新設会社へ移行する資産や債務、従業員の雇用契約などを見極めなければ、成立できません。会社分割は、次回の法改正に盛り込まれる可能性が高く、中小企業においても問題視されている事業承継など活用の機会も増え、活用する際には専門知識も必要となります。市場は新興国を中心に海外へ移るなか、新事業の参入、転業で会社分割し、親と子が両立して事業を継続、ともに発展させたいものです。
 
専門家としての意見ですが・・・・
RCCが会社分割によって不利益を被ったケースが続発したから訴訟にもちこんだのでしょう。私どもにも同様のケースでの相談が持ち込まれます。
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そこで、あえてコメントすれば、経営には法律以前に商道徳が存在ます。商道徳を無視した会社分割では一時的に経営はうまくいっても、商習慣・商道徳に反するといつかは立ち行かなくなるものです。順法精神は大切ですがそれ以前に人として正しいのかどうかが問われた判決でしょう。このケースは上級審に持ち込まれるでしょうから成り行きを見守りたいものです。
このことが原因で債権者にばかり有利な法律改正が行われないことを切望します。
(事業再生著者:八木宏之)
 
[2011.3.1]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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