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米国農産物輸出最高:安全高品質/日本認証農産物(GAP)の輸出躍進で雇用拡大か

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経産省:農業産業化支援策まとめる
日本の農業強化に経済産業省は2月23日、農業産業化支援ワーキンググループで、「農業産業化支援策」をまとめ、6月に行われる農業変革の基本方針に反映させるとしています。支援策は農業就業者の高齢化や後継者問題、低収益などの課題を指摘した上で、農業法人向けの金融支援拡充やLLC(Limited Liability Company:合同会社)による農地集約、JETRO(日本貿易振興機構)を窓口に輸出支援など具体策が示されました。TPP発効に向け、前倒しで決めてもらいたいものです。

日本は参加認められず
、チリでのTPP第5回交渉終了
TPP(環太平洋経済連携協定)の参加9ケ国の第5回拡大交渉会合は、2月14日から18日までチリで行われ、全ての産品が最終的に関税がゼロになる方針が協調されたようです。未参加国のオブザーバーの参加は認められず、日本はまた世界から取り残されようとしています。次回の会合は3月にシンガポールで予定され、日本が求める例外は認められない可能性大で、政府には早急な農業変革対策、判断が迫られます。

経団連:TPP交渉のテーブルに!、農水省:関税0は行き過ぎ
ワーキンググループでは、金融支援、農産物輸出が主に話し合われ、本筋の農協の変革や、農地法改正などの問題は先送りとしています。2月22日には、農林水産省の筒井、篠原両副大臣と、10日にTPP参加に向けた農業の構造改革に関する提言を示した日本経団連の小林農政問題委員会共同委員長らと農協強化策について意見交換が行われました。経団連側は「交渉のテーブルにつくことが必要」に対し、農林水産省側は「関税ゼロは進み過ぎだ」と議論は相変わらずの平行線のままです。22日にはコメ農家への戸別所得制度で作付面積10アールあたり15、100円を支給すると農林水産省は発表しています。何のための所得制度なのかどうも的がはずれていると。
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WTO、日本の農業政策を批判!/高い関税に戸別保証
WTO(World Trade Organization:世界貿易機関)が、2月15日発表した「日本の貿易政策に関する審査報告」によると、日本の農業について「他の部門に比べ、生産性が著しく低い」と批判。日本政府に改善を求めています。日本の第一次産業のGDP比率はわずか1.5%なのです。さらにWTOは、「農家への戸別所得保証制度が始まったにもかかわらず、未だ農産物に高い関税がかけられ維持されている」ことを問題視し、「政府から多大な支援を受け続けている」として指摘しています。日本の常識は世界の非常識と言われる由縁でしょう。

GAPガイドライン導入で差別化した農産物に1600産地
日本経団連や日本貿易会が日本の農業の競争力強化、輸出支援に提言が示されていますが2月18日、日本GAP協会(東京都千代田区紀尾井町3−29 理事長:木内博一)がJGAP(Japan Good Agricultural Practice:直訳・日本の良い農業のやり方)を活用して強化すべきと提言を発表しました。GAPは、農産物生産団体が活用する農場管理の基準で、農業生産工程管理方法の一つです。120をを超える農場のチェック項目が定められ、農薬や肥料の管理など食の安全や環境保全に関連する農業の明確な基準となっています。
同協会の農業に対する提言は、欧州の「GLOBAL GAP」認証制度が農業生産者に有利となっていることから、世界に通用したGAP認証制度を日本で普及させるもの。認証を持たない輸入農産物に勝る市場ができるとしています。農林水産省では、地域ごとに異なるGAPを統一するため、昨年4月に「農業生産工程管理(GAP)の共通基盤に関するガイドライン」を策定。GAP導入産地の目標を平成27年度に3,000産地。現在ガイドラインンに則したGAP導入産地を1、600産地としています。高品質、安全を誇る日本の農産物に政府の推奨がつけば、全世界から引き合いがありそうです。

食糧高騰、G20の主要議題に!中東の政情不安で食糧危機が懸念
地球温暖化による異常気象によって世界各地で農産物の被害が報告され、中国など新興国による急激な需要で食料高騰が2月19日閉幕したG20(主要20ケ国・地域)財務相・中央銀行総裁会議でも主要議題となっていました。エジプト情勢悪化に連鎖するように中東ではデモや暴動が繰り広げられ、リビアなど内線に発展しそうな状況に、さらなる食料高騰に危機が懸念されます。

米国、農産物輸出過去最高に雇用拡大!
米農務省が2月11日発表した平成22年、米国の農産物輸出額は、1、158億ドル(約9兆6、110億円)に達し、過去最高を記録したと報道がありました。これまでの最高は平成20年の1、148億ドル(約9兆5,280億円)を10億ドル上回り、中国が始めて米国最大の農産物輸出市場になったと伝えています。米国はオバマ大統領の「平成26年までに輸出を倍増させる」という目標で農業を後押し。10億ドルの農産物輸出で8,000人の雇用が生まれたと報じられました。
日本の農業は、政府の経済支援や金融支援に加え、産業界団体、農業関連団体からも「競争力のある攻めの農業」に支援、提言など後押しされています。農地の集約で生産を拡大しコストを抑えた高品質農産物は、「政府承認の安全で安心、おいしい農産物」として他国とは差別化され、世界の中間層、富裕層へ受け入れられるでしょう。TPPを踏まえ、農産物、産業生産品の輸出拡大で、国内の活況を取り戻しデフレ脱却といきたいものです。

[2011.2.25]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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