連帯保証人撤廃報道:1月6日金融庁発表/中小企業経営者に限定!融資の連帯保証人
連帯保証撤廃へ金融庁発表
金融庁は、中小企業向けの融資で連帯保証の対象を経営者本人に限定する方針だと1月6日、報道がありました。さらに経営者に保証を求める場合、資産や収入などへの配慮も金融機関へ要請するとしています。今年度中には、金融機関から融資の際、第三者の連帯保証人は撤廃され、経営者の不動産や生活費なども配慮されるようです。民間の金融機関では、貸し倒れのリスクを軽減するため、中小企業へ融資の際、直接経営に関与していない第三者の連帯保証人を求める場合があります。この場合、企業が経営難に陥いり、残債が残れば第三者の連帯保証人は経営者同様の返済義務を果たす必要がありました。この不合理を一日も早く改正願いたいものです。
マニフェスト公表から1年5ケ月
連帯保証問題は、平成21年7月、政権交代に向けた民主党がマニフェスト(政権公約)に掲げました。中小企業政策として「自殺の大きな要因ともなっている連帯保証人制度は、廃止を含め、あり方を検討する」、「政府系金融機関の中小企業に対する融資は、個人保証を撤廃する」と公約したのです。
マニフェスト公表から約1年5ケ月たった昨年12月、ようやく金融庁は、「経営者以外の第三者による個人連帯保証などの見直しについて、関係省庁とも連携しつつ必要な監督上の着眼点ついて検討を行い。今年度中にも監督指針の改正を行う」と公表していました。
担保での融資から経営計画、販売計画に対する融資
金融機関では、リスク軽減のため、経営者本人だけの保証では担保価値までの融資しか応じないでしょう。金融庁では「経営者の資産や、収入にも配慮」とあるものの、現時点では金融機関任せのようで「確実に返済してもらえる」という、「経営改善計画、販売計画」がなければ融資は厳しいでしょう。
金融庁は昨年11月、年度末対策に「借換え、条件変更の推進」、「セーフティネット貸付の推進」などの利用を促しています。12月には金融機関への「中小企業金融の円滑化」の要請を行っていますが、平成23年1月現在まだまだ現場には伝わってきていない感があります。事例を含めた具体策が早く欲しいところです。
米国の金融機関の自信とプライド
米国の場合、中小企業への融資には連帯保証はなく、不動産や証券、売掛金など担保をとることが多くあります。企業が経営難に陥り責任が果たせなくなれば、金融機関は担保を引き上げるのは日本と同様です。しかし、不動産など下落によって評価額が元本割れしていても、「ノンリコースローン」という金融商品はそれ以上のものを要求してきません。これが借り手だけでなく、貸し手にも責任負担を課せるという米国の融資システムです。米国の金融機関は厳密な与信力を持ち、それが自信やプライドとなっているのです。日本のような連帯保証というしくみは海外には存在しないのです。
金融庁では今年度の改正を目指しますが、今も連帯保証人となっている第三者は存在します。これからの施行も、過去の連帯保証となっている第三者のことも考え、改正を行っていただきたいものです。
問題意識の継続、運用の見直しが先決
連帯保証制度の改正は難しいのかもしれません。数年前には数多くあった「連帯保証制度廃止」を掲げた団体は、今ではすっかり姿が見えません。かといって経済自殺も含んだ自殺者3万人時代が13年連続して続いています。
日本は先進国だとの自負もいいのですが、国内では「連帯保証制度」といういわゆる奴隷制度が闊歩しているようでは、本当の民主主義が根付いていないといわれても仕方がないかもしれません。歪んだ制度を改正する努力をすることが本当の民主主義なのでしょう。私たちは低迷している連帯保証制度に関する問題意識を継続して、法務省が主導している民法改正の中に反映してほしいものです。このままでは盛り上がった改正機運から継続審議に格下げされてしまうでしょう。
確証のない件でとりあえず逮捕して間接的な拷問で自白を強要し、ありもしない脱税事件をでっち上げる司法では将来が心配です。経済を動かしている経営者や産業人は少なくとも経済大国日本に誇りを持っているのだから。
●関連記事:オフィシャルサイト「平成22年6月連帯保証人制度:債務者情報説明義務を検討へ」
[2010.1.8]
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