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中小企業庁「中小企業支援センター」設置、積極的転業支援策も事業仕分けで廃止?

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1日300件越えの相談、新規事業展開を望む
中小企業庁は11月12日、4月から全国84ケ所に「中小企業支援センター」を設置、8月末までに48,018件の相談があり、中小企業へ専門家を派遣した件数は10,365件だったと公表がありました。中小企業は地域の商工会議所や金融機関、税理士など日常の相談に出向くことが多くありますが、これらの支援機関で対応できない場合、高度な相談に対応する専門家が必要となりその役割を担っているのが同センターなのです。
101119_1.gif相談内容をみると、「新規事業展開支援」が構成比58.1%の27,893件、次いで「創業、事業再生、再チャレンジ支援」が10,618件、「新たな経営手法への取組支援」が4,182件と続きました。相談した中小企業は長引くデフレ、海外移転企業の増加による国内市場の縮小で新たな事業、新市場を模索しているのです。

政府の経済・金融支援で海外販路拡大
中小企業支援センターでは、中小企業の①新事業展開、②創業、事業再生及び再チャレンジ、③事業承継、④ものづくり支援、⑤新たな経営手法への取組みといった高度・専門的な知識が必要な案件に対応、派専門家などを遣してきましたが、新事業展開の相談が多かった事や経済動向、中小企業の声を取り入れ、6つ目の柱として「転業支援」を追加しました。
国内市場の空洞化は、今後も少子高齢化社会でより乏しくなってきます。市場を海外へ向け、転業や新規事業によって新しい商圏獲得のために中小企業庁では、中小企業基盤整備機構やJETRO(日本貿易振興機構)を連携させ平成22年度は海外での展示会出展サポートなど行っています。平成23年度にはさらに出展数を増やし、また経営困難な企業から一部事業を受けた企業が事業を軌道に乗せられるよう資金面で支援する融資の拡充なども予定しています。

板金・溶接会社が植物工場商品化へ
中小企業庁の「中小企業ニュース」によると、板金・溶接を主体とした金属製品加工会社が将来の農業変革、付加価値を付け小売りまで1社で行う第6次産業を見据え、ソフトウエアや流通業など中小企業の協力を得て、平成23年春に植物工場の商品化を目指すと報じています。TPP参加への協議が開始され、植物工場の需要が増えると先を見越してのことのようです。植物工場の断熱材をはさんだ鉄板、貯水タンクや蛍光灯、電子ユニットを組み合わせ、天候や気温に影響されずに生産が向上するとしています。生産から加工まで1社でできるとの事です。
新エネルギーや農業関連産業へ参入する中小企業が多い中、低価格性、高機能、付加価値、差別化をいかに打ち出せるかが事業発展のポイントになるでしょう。

事業仕分け:節約パフォーマンスも限界
11月15日、政府の事業仕分けで専門家の派遣など中小企業の経営力向上、新事業展開を促す「中小企業経営支援体制連携強化事業」について「廃止」と判定と報道がありました。仕分け人からは「商工会などの本来の業務であり、(全国に設置された)中小企業応援センターが無くてもまわる」「具体的な効果が見えない」などの意見が相次ぎました。
実はこれら中小企業向け支援事業は、5月の事業仕分けで既に廃止となっていたものです。しかしセンターでは8月までに48,018件の相談、10,365件、中小企業診断士など専門家を1日約60件派遣したのです。支援機関だけで対応できないため専門家を派遣は、需要があっての供給なのです。転業支援を6つ目の柱にすると発表した中小企業支援センター、次の事業仕分けでも話題になるでしょう。
法的拘束力のない事業仕分けもパフォーマンスとしての役割を果たしたのではないでしょうか。

[2010.11.19]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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