大型店舗が都心に進出、静かに動き出した不動産市場!
採算取れるか、渋谷センター街大型店舗出店
郊外を中心に展開していた大型家電店や衣料店の都心へのシフトが目立ってきています。洋服の青山(青山商事株式会社:広島県福山市王子町1−3−5 代表取締役社長 兼 執行役員社長 青山理)が渋谷センター街に地下1階から5階まで総売場面積約989平方メートルの大型店「洋服の青山渋谷駅前総本店」を11月11日オープンすると報道がありました。郊外店舗の倍近い広さで、青山では都心出店を賃料低下で採算が取れやすくなったとしています。紳士服では既に平成21年5月に「AOKI銀座店」(株式会社AOKI(神奈川県横浜市都筑区葛が谷6-56 代表取締役会長 青木寶久)が総売場面積約1,000平方メートルの大型店を都心のアンテナショップとして出店しています。
家具業界ではニトリ(東京都北区神谷3−6−20 代表取締役社長 似鳥昭雄)がお台場の商業施設に「ニトリヴィーナスフォート店」を11月3日にオープンしています。ニトリは都心では商業施設にテナントとして入居、お台場の総売場面積約3,000平方メートルの店が都心のモデル店となるようです。
郊外での出店ラッシュで市場を掴み、賃料が底をついた未開発の都心へ進出と後押ししていそうですが、市場が回復し賃料値上げなど、低価格商品を売りにした事業がどこまで耐えられるかが課題となりそうです。
マンション価格上昇率新築25.3%増、中古18.8%増
財団法人日本不動産研究所(東京都港区虎ノ門1-3-2 理事長 五十嵐健之)の「住宅マーケットインデックス2010年上期」によると、平成22年上半期(4月~9月)、都心5区の住宅マンション価格が新築・中古とも上昇傾向が続いています。新築の大型タイプの上昇率は前期比25.3%増、中古の大型タイプが同18.8%増という調査結果を公表しました。
同時に東京23区にレジデンスタイプ賃料の下落がとまらない中、新築・中古、大型・標準・小型のほとんどのタイプで賃料下落幅が縮小したとしています。不動産賃貸業が復調の兆しを見せているようです。
日銀基金好感!J-REIT41.5%増、ETF19.1%増
東京取引証券所では、日銀の包括金融緩和策であるETF(上場投信信託)、J-REIT(不動産投資信託)買入れ措置の好感から、10月のJ-REITの月間売買代金が前年同月比41.5%増の2,396億円(速報値)となり、平成21年7月以来の水準に回復。ETFも19.1%増の2,264億円と増加しています。日銀は11月11日に1,500億円の長期国債を、さらに12月中旬からETFとJ-REITを買入れ、平成23年11月末までに全体で5兆円を買い入れ予定で、「REITの資金調達能力を増すことが新たな資金流入動機につながり、不動産業界に好影響を与えることを期待している」とコメントしています。
底は過ぎたか都心店舗賃料
セントラル総合研究所不動産部の現場では、都心の店舗市場は賃料の底は過ぎ、微増ながらも上昇の傾向にあると判断しています。今後、都心へ進出する大型店の進出意欲と、固定費削減意欲とのぶつかりでシビアな賃料交渉になりそうです。
全国の百貨店売上は31ケ月連続で前年比割れと報じています。郊外での展開が多かった衣料品のユニクロや、米国で人気のフォーエバー21などが大手百貨店内にテナントとして広大な売場面積を確保し、新しい市場を手に入れました。新しい市場獲得に向けて都心へ新規参入する企業では相互メリットにより百貨店と組むこともあるようです。三越など老舗百貨店では新しい客層を店内へ誘致するなど店舗戦略にも試行錯誤を繰り返しているようです。
大型店の集客力が街の雰囲気を変える
郊外から都心へ大型量販店が進出することによって人が集まり、飲食店など周辺の店舗や施設にも活況が波及し新しい商業地としてさらに発展をもたらすでしょう。
平成21年10月、池袋に開店した大型家電店のヤマダ電機は平成22年3月の決算で初の2兆円超えを記録、都心の大型店が業績を押し上げたとしています。値引き交渉でヤマダ電機と向かいのビッグカメラとの人の往復で互いには体力勝負との心配もある中、周辺では相乗効果も生まれているようです。地域の隔てなく賃料相場は入居者がいなくなると、直ぐに下落傾向に転じます。都心部や商業集積地の賃料相場安定は、ネット通販全盛の時代に景気判断の新しい指標になりそうです。
[2010.11.12]
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