海外進出加速:適性は中小企業に!信金中金・メガバンクがバックアップ
設備投資10.1%増、3ヶ月連続!景気回復は本物?
内閣府が13日に発表した8月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額は前月比10.1%増の8,453億円で3カ月連続の増加でした。内閣府は基調判断を「持ち直しの動きが見られる」から「持ち直している」に変更しました。市場予想を上回る結果で、企業の設備投資に対する積極性がうかがえます。
また、日本工作機械工業会が発表した9月の工作機械受注によれば、受注総額は前年同月比2.1倍と10カ月連続で前年比を上回っています。これは、9月に海外向けの受注額が前年同月比2.8倍に伸び(中国向けが過去最高を記録、北米向けも高水準に達した)全体を牽引した一方で、国内向け受注額は前年同月比38.7%の増加にとどまったという内容であることから、国内では輸出産業の設備投資が依然低迷しており、需要が伸びているのは海外、特にアジア圏で、国内の需要が回復していないことが読み取れます。
気になる貸出残高の10ヶ月連続減少
日銀が発表した9月の貸出・資金吸収動向速報によると銀行(都銀・信託銀・地銀・第二地銀)の平均貸出残高は前年同月比1.8%減となっており、10カ月連続で減少となっており、9月末時点の銀行引き受け分のコマーシャルペーパー(CP)も9.6%減、となっていることから、国内企業向け金融機関貸出残高が減っていて、先の発表の設備投資が積極的なのは日本企業が海外進出し、現地で生産設備投資を行っていることを表しています。
海外決済支援の体制が加速
金融機関は日本企業の海外進出が今後も加速することを見込み、各種支援サービスの構築を進めています。
信金中央金庫は取引先の中小企業支援を目的として、タイ・中国などの大手銀行と業務提携しアジアを中心に海外銀行とのネットワークを構築する方針を発表しました。日本の取引先中小企業が海外進出する際、外国の提携銀行に対し信金中央金庫が保証をすることで、現地通貨での融資や営業支援を受けられるようになります。
また、三井住友銀行はインドネシア・タイ・ベトナムの現地銀行と相次ぎ提携しキャッシュマネジメントサービス(CMS)という財務管理手法を用いて取引先企業の資金を一括管理、現地通貨による決済や売掛金回収などの省力化を支援します。
タイのカシコン銀行は11月、提携先の日本の地銀とその取引先を招きバンコクで会議を開催、現地の優良企業との商談の場を提供します。どの地域で事業を行うにしても、海外進出先における良質な金融サービスの存在は心強いサポーターとなります。
羽田空港の国際化や、成田空港の発着枠拡大など交通インフラ面の充実、また、海外進出について経済産業省が相談窓口を設置するなど、日本企業が海外進出するための環境も整いつつあります。
海外進出は「土着」がキーワード
海外進出後、環境・文化・慣習の違いなどから労務問題が生じることもあります。海外へ進出した日系大企業は現地への権限移譲が出来ず従業員との溝が出来て、多くの問題に直面しています。海外進出を果たし、成功している日系中小企業の大半は、現地従業員との信頼関係構築ができており、現実を受け入れながら現地にしっかり根付いています。この意味では大企業よりも中小企業に適性があるようです。
これから行動を起こすに当たっては、先ずは自社の商品・サービスの強みを把握し、進出先の地域特性を調べ、進出候補地が決まれば実際に足を運んでみること。そのうえでいつ進出するかを決めましょう。企業が「現地に根付くかどうか」がポイントになります。これらを踏まえ、海外進出について慎重に検討されることをお勧めします。
日本は原材料を輸入して製品を製造し輸出する国から今、変わろうとしているのです。
[2010.10.15]
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