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日本振興銀行:破綻は中小零細企業に暗雲

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拡大指向が裏目、初のペイオフ発動
100929_1.jpg日本振興銀行が9月10日、民事再生手続開始の申し立てを行い、設立6年余りで経営破綻しました。
金融庁は、経営陣が金融庁の検査妨害した疑いで逮捕されていて、公的資金での救済は国民の理解を得られないとの判断しました。1971年に預金保険機構(制度)が発足して以来初めて、「ペイオフ」発動に踏み切りました。
振興銀の小畠晴喜社長は、これからメガバンクを目指すという標を立てて、SFCGなどノンバンクの債権買い取りなどで目先の収益拡大に走ったことが経営破たんの原因だとしています。

中小向けミドルリスク市場担う
日本振興銀行の設立趣旨は、地銀やメガバンクが躊躇する中小企業に救いの手を差し伸べることでした。経営リスクは高いがこれからの成長性を見込み、今までの金融機関が取引に躊躇する会社の資金調達の一助だったのです。大手企業向け融資よりもリスクの高い、中小企業向けミドルリスク市場を担ってきた振興銀の志は高く評価できます。

石原都知事:異例のコメント
石原都知事は振興銀の破たんについて、「木村剛君(振興銀行元会長)は私と同じように国の冷たさに業を煮やして銀行を作った。私たちは中小企業が疲弊している状況を捉えて、画期的な開発などで日本の技術の底辺を支えている企業に目を向けて融資を行ってきた。一方で皆さんの税金を何億円もつぎ込んで立て直した大きな銀行は何もしていない。本来なら政府が、振興銀行が努力しがいのある環境をつくってあげるべきだったと思う。手を差し伸べれば立ち直れる企業は沢山あるにも関わらず政府はやらない。その意味で振興銀行には意味があったと思うが、こういう結果になり残念だ。」と述べています。

新銀行東京のケース
類似したケースで「新銀行東京」があります。株主が東京都、事業性融資を中心としており、資本経済の中で地方自治体が運営する商業銀行としては日本経済のモデルケースでした。しかし現在は不祥事や経営不振により業務を縮小しています。新銀行東京の縮小に続いて、日本振興銀行の破綻は資金調達に苦しむ小規模零細企業に打撃を与えました。

不良債権救世主だったのに報道主導世論誘導?
日本振興銀行の経営にいくつかの問題があったことは否めません。しかし木村剛元会長に関する一連の報道内容については違和感を感じます。日本銀行に勤務していた90年代、木村氏はバブル崩壊後の不良債権処理に注力し、小泉政権誕生後は完全処理を目指した功績があります。
かつて日本を不良債権地獄から救った人がいまや、極悪人ように報道されています。確かに木村氏は経営者としての責任を負っています。しかし印象だけで報道され、それがあたかもコンセンサスであるかのように誤解させるような木村氏に対する報道には、疑問と失望感を覚えます。

未成熟な金融政策
今回の日本振興銀行破綻の他、新銀行東京の経営不振や武富士の会社更生法申請など、中小零細企業の資金調達手段はなくなりつつあります。中小零細企業金融にとって必要不可欠な金融機関が減っていく中、防ぐ手立てがなかったのでしょうか。

中小企業金融には高いニーズ
中小零細企業向け金融機関が破綻するのを見過ごし、大企業中堅企業を対象にする金融機関が危うくなれば公的資金で救う。このような悪しき金融環境は判断が未熟であると言わざるを得ません。中小零細企業金融の現状を早急に把握して、志のある商業銀行の設立や意識変革を促す法整備に期待したいところです。ミドルリスク市場には常に高いニーズがあるのです。

[2010.9.29]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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