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保証協会:承諾額地域差、緊急保証制度は積み残し?

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大阪は鹿児島の6.1倍の代位弁済
全国の信用保証協会が実施する信用保証について利用状況に地域差がある事がわかりました。平成21年度(平成21年4月~平成22年度3月)の中小企業1社当たり信用保証の承諾額は最高の京都府と、最低の鹿児島県で3.6倍の差があり、代位弁済額については最高の大阪府と最低の鹿児島県で6.1倍あることがわかりました。

1社承諾額最多は京都、大阪が代弁最多、地域では関東が36.7%
東京商工リサーチでは、平成21年度の全国の保証承諾件数は112万72件で前年度比15.8%減、補償額は前年度比15.8%減の15兆7,258億8,100万円とともに減少しました。この減少は平成20年10月にスタートした緊急保証制度の利用急増による反動と分析しています。
100922_1.jpg地区別の保証承諾件数を見ると関東が5兆7,817億6,400万円(構成比36.7%)と最多で、最小の四国4,020億4,900万円(構成比2.5%)は関東の約1/14でした。代位弁済件数、弁済金額とも関東と四国が比例しともに最多、最小となっています。この事から全体から見れば関東が多くなっていますが、都道府県別に見れば京都府の企業が信用保証協会を利用して金融機関から最多借入れを行い、大阪府が借入額を返済できずに信用保証協会に最も多く借入額を代位弁済してもらっていることがわかります。
保証協会別では、大阪府中小企業信用保証協会だけが保証承諾件数・金額ともに前年度を上回わり、厳しい大阪の地域経済事情が裏付けられています。

中小企業の資金繰りジレンマ
中小企業は運転資金、設備投資資金の借入に信用保証協会頼りとなる存在になりますが、緊急保証制度(平成22年2月に景気対応緊急保証に名称変更)は当初の利用期限だった平成22年3月時点での保証枠が30兆円に対し10兆円以上が未保証積み残しとなっています。利用期限が平成23年3月まで1年延長され保証枠も6兆円増え36兆円に増えたものの現在の承諾ペースでは36兆円の信用保証承諾は難しいでしょう。
法律や保証協会は保証してくれているのに、金融機関から借入ができない中小企業のジレンマがそこにあります。モラトリアム法で猶予期間中の新規融資はともかくとしても、資本金が小さい、返済が見込めないとの判断から中小企業の資金は既に底をついているのです。

緩和効果のあるモラトリアム
これまでの中小企業支援は資金を貸し付ける事が一般的であり、平成21年12月施行された中小企業金融円滑化法(モラトリアム法)の条件猶予など資金的負担を抑える金融支援は初めての事です。しかし途中経過は、企業の資金繰りに一時的な緩和効果も生まれるなど評価できます。平成22年度下半期に返済猶予期間が終わった企業、これから終わる企業、中小企業には中小企業金融円滑化法(モラトリアム法)のような効果的なさらなる金融支援が必要になります。今後の信用保証協会の承諾傾向、代弁動向に注目です。
新内閣での中小企業向け地域経済浮揚が切望されます。デフレ克服型で効果的な政策を提案して欲しいものです。

[2010.9.22]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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