補助金を活用した賃上げ事例
全国平均給与
世の中では引き続き食品や原材料の値上げ、物価高のニュースが多く登場しますが、賃上げの声も聞かれるようになりました。4月23日のブログ「財務省/賃上げ動向調査 中堅・中小にも広がる賃上げ」でも紹介しましたが、中堅・中小企業でも63.1%がベアを実施しました。今回は賃上げに成功した事例をご紹介したいと思います。
全国的な平均給与は、厚生労働省のデータによると下記のようになっています。
|
全国 |
所定内給与額月額(千円) |
所定内給与額時給※(円) |
|
男 女 計 |
309 |
1,873 |
|
~19歳 |
182.1 |
1,095 |
|
20~24歳 |
214.5 |
1,295 |
|
25~29歳 |
247.3 |
1,499 |
|
30~34歳 |
277.1 |
1,683 |
|
35~39歳 |
307.6 |
1,864 |
|
40~44歳 |
330.5 |
1,999 |
|
45~49歳 |
347 |
2,094 |
|
50~54歳 |
366.3 |
2,216 |
|
55~59歳 |
368 |
2,231 |
|
60~64歳 |
292.6 |
1,784 |
|
65~69歳 |
258.3 |
1,575 |
|
70歳~ |
243.1 |
1,494 |
出典)厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
※「所定内給与額時給」は「所定内給与額」を「所定内実労働時間数」で除したもの値を平均したものです。
なお、出典元の厚生労働省のこちらのサイトでは、都道府県別や業種別などより詳しくしらべることができます。https://pc.saiteichingin.info/table/
ご自身の都道府県や業種がどの程度なのか、詳しく知りたい方はご覧ください。
助成金を活用し、コロナ禍を経て3年ぶりの賃上げを実施
厚生労働省では賃上げに関する情報提供サイトとして『賃金引き上げ特設ページ』(https://pc.saiteichingin.info/chingin/)を開設しています。
今回は賃上げ事例として、株式会社千成亭風土の例を抜粋してご紹介します。
給与テーブルを見直し、3年ぶりにベースアップ
滋賀県のブランド牛である近江牛を中心に、県内に本部や製造部門工場、飲食店などを置き、幅広い業態を展開する株式会社千成亭風土も、コロナ禍初年度は前年との売り上げ比10%を切る月も出るなど、著しい逆風にさらされた。
上田健一郎代表取締役社長の「従業員の解雇はしない」という強い覚悟のもと、毎年継続していたベースアップは、3年間据え置きを余儀なくされたものの、厚生労働省の雇用調整助成金制度の活用や、コロナ禍で逆に売り上げが伸長したインターネット通販、それに伴う製造部門の作業増大により、従業員の配置転換といった対策を推進。当初は、慣れない業務に戸惑う従業員もいたというが、他の業務経験を積むことで、本業にも役立つスキルの向上につながっただけでなく、2023年にはコロナ禍以前の売り上げ水準に戻すことができた。
そのような背景から、滋賀県の最低賃金改定と、近い将来さらに引き上げが発生することを見越し、同社の給与テーブルの見直しを実施。それらを基に、2023年8月に正社員の基本給を3.9%、9月にパートタイム従業員の時給を平均36円引き上げた。
業務改善助成金による機械導入で品質が安定
同社は、継続的な賃上げを見据え、顧客へのサービスレベルや製品の品質を保ちながら、利益体質を強化することを課題とし、様々な施策に取り組んでいる。
毎月行われる「環境整備活動」は、それぞれの業務を「1歩=1円」「1秒=1.6円」「1分=100円」といった時間コストに落とし込み、従業員の意識レベルから業務の効率化と働く環境を捉えた上で、業務改善アイデアを提案する活動だ。提案内容は、社内ネットワークで共有されており、厚生労働省の業務改善助成金の活用へとつながった。
上田社長は「これまで培ってきた味を変えないことが大前提」としつつ、「バックヤードにおいて、人が介在する作業を機械化すれば、単純に生産性が上がる。時間短縮により、サービスなどの業務にも注力できると考えた」と語る。
これまで業務改善助成金により、同社に導入されたのは「海苔巻きロボット」、鶏肉をカットする「マルチスライサー」、飲食店で肉寿司を提供する際の「シャリマシン」だ。特に海苔巻きロボットは、一本あたりの製造時間が22秒短縮、1日最大14分短縮されたという。機械化最大のメリットは、経験が浅い者でも操作可能で、製品の品質が安定することだ。作業時間の短縮で、販売のチャンスロスが圧倒的に減少し、収益がアップした。さらに、製品への価格転嫁にも着目。製造原価を洗い出し、メニュー内容も見直すという、顧客への付加価値をプラスした上で値上げに踏み切るなど、様々な面から賃上げ原資の確保に取り組んでいる。
今回ご紹介したケースは、賃上げの原資をただ頑張ろうの自助努力にだけ頼るのではなく、上手補助金を活用した良いケースと言えます。
本事例が掲載されている『賃金引き上げ特設ページ』(https://pc.saiteichingin.info/chingin/)には他にも多くの事例が紹介されています。また賃上げの事例の他、賃金引き上げに関する支援情報なども掲載されていますので、参考にされては如何でしょうか。
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