価格交渉を行うためのポイント(後編)

「値下要請」に対応するための価格交渉の進め方

前回「価格交渉を行うためのポイント(前編)」では、価格交渉のうち取引先に“値上げ”を依頼する際の交渉について、その流れや必要な準備などについてご紹介しましたが、今回は逆に、取引先からの“値下げ”要請にあった場合、どのような交渉を行えばよいのか、そのポイントについてご紹介します。

取引先からの「値下要請」に対しての交渉方法の基本的な考え方は、取引先への「値上要求」の場合と同じです。ただし、いくつかのポイントがありますので、順にご紹介したいと思います。

STEP 1「事前準備」

値下要請については、「決して即答しない」ことです。

発注先から、一方的な「値下要請」について即答を迫られたり、短期間で返答を求められたりするケースもありますが、決して即答はせず、時間をもらうようにします。

そして、値上要求の場合と同じように、

製造にかかる原材料費
エネルギーコスト
労務費等

これらの合理的な価格根拠となる資料を作成します。

取引先が求める品質水準を達成するのにかかるコスト、原価計算の方法、自社の価格低減努力についての資料等を作成します。

(ポジション)

そして値上要求の場合と同じように、取引先との関係性の確認、競合に対する自社の強みについても把握しておきましょう。SWOT分析をもとに自社のポジションを客観的に把握します。

(最低ラインの設定)

さらに、値下要請に対して、自社として納得できる「目標価格」、これ以上は譲歩することができない「最低価格」を設定します。価格を決定する際には、損益分岐点や限界利益(売上-変動費)についても算出しておくようにします。

STEP 2「価格交渉」

値下要請に対する交渉にあたっては、「価格低減のために、発注者と協同で何ができるか」を一緒に考えるという姿勢で臨みましょう。

その前提として、

1)取引先が求める品質水準を達成するために必要な工数

2)技術的な難易度

3)知的財産の対価などについて説明し、「目に見えるコスト(数値化できるコスト)」以外のコスト

これらについての理解を求めておきます。

値上要求の場合と同じように、必要に応じて価格以外の対案・取引条件を提示することも大切です。

STEP 3「価格・取引条件の文書化」

「値上要求」の場合と同じように、議事録などによる交渉経緯の明文化、取引条件・ルールの書面化を行い、トラブルを防ぎます。

価格交渉の前に「下請法」を確認しよう

取引先と価格交渉を行うにあたって、必ず「下請法(下請代金支払遅延等防止法)」について学び、内容を理解するようにしてください。

下請法は、取引先(特に親事業者)が有利な立場を活かして、下請事業者に一方的な取引ルールを押し付けることなどを禁じる法律です。法律では、親事業者に対して「4つの義務①書面の交付義務、②書類作成・保存義務、③下請代金の支払期日を定める義務、④遅延利息の支払義務)」と、具体的な「11の禁止行為」を定めています。

下請法は、中小企業庁や公正取引委員会のページ等で、詳しく紹介されています。

まとめ

以上、今回は「値下要請」を受けた場合に必要な流れと必要な準備、ツールについて説明してきました。大切なのは、値上交渉と同様に、ロジックとデータでしっかりと守ることです。

そのために必要なことは自社のことを客観的にとらえることです。これらは必要に迫られてから慌てて準備するのではなく、SWOT分析はできているか、原価計算はできているか、など日常的に意識しておくことが大事ではないでしょうか。

関連記事:

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2024.8.16 価格交渉に最も後ろ向きな企業を公表~経済産業省が下請け企業調査~

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