2026年度予算――規模・評価軸・企業経営への示唆

2026年を迎え、日本経済は明確な転換局面に入っています。昨年暮れに規模では過去最大となる約122兆円の予算案が閣議決定されました。

インフレの定着、名目GDPの拡大、金利の正常化、地政学リスクの長期化など、これまでとは異なる前提条件のもとで編成されるのが2026年度予算です。

今回は、

1)2026年度予算の規模と全体像

2)高市政権構想に見られる政策思想

3)「放漫財政」との批判をどう評価すべきか

4)中小企業経営者が持つべき現実的な視点

について整理して述べようと思います。

1.2026年度予算の規模と全体像

――過去最大だが「異例」とは言い切れない構造

現在報じられている2026年度一般会計予算案の規模は、約122兆円規模と、過去最大水準となる見込みです。

この点だけを見ると、「また過去最大か」という印象を持たれがちですが、重要なのはその内訳です。

主な特徴としては、

・高齢化を背景とした社会保障関係費の増加

・安全保障環境を反映した防衛関連支出の拡大

・産業基盤・インフラ・成長分野への重点配分

が挙げられます。

特に今回の予算は、短期的な景気対策というよりも、複数年度にわたる国家戦略を前提にした支出構造になっている点が特徴です。

2.高市政権構想に見られる政策思想

――「成長を前提にした積極財政」

いわゆる「高市政権」と呼ばれる政策路線は、高市早苗氏が一貫して主張してきた考え方に基づいています。その根底にあるのは、

・財政規律のみを優先する姿勢への疑問

・国家の成長力と安全保障を重視する視点

・財政出動を「将来への投資」と捉える発想

です。

これは無条件なバラマキではなく、何に使い、どのように成長につなげるかを重視する、戦略的な積極財政と整理できます。

2026年度予算においても、

「防衛」、「GX(グリーントランスフォーメーション)」、「デジタル・先端産業」といった分野への支出が目立ち、成長と安全保障を両立させる設計が意識されています。

3.「放漫財政」という批判をどう読み解くか

――インフレ時代における財政評価の物差し

2026年度予算に対して、野党や一部論者から「規模が過去最大であり、放漫財政ではないか」という指摘が出ています。

しかしこの批判は、財政規律を意識させるという意味で一定の役割を果たしていますが、政策評価として妥当かどうかは冷静に整理する必要があります。

<従来の「放漫財政」論が前提としてきた環境>

これまで日本で繰り返されてきた放漫財政批判は、多くの場合、

・デフレ、もしくは極めて低いインフレ率

・名目GDPがほとんど伸びない経済

・財政支出を増やしても成長につながりにくい構造

を前提としていました。

この環境下では、「支出拡大=将来世代への負担」という見方にも一定の合理性がありました。

<2026年は前提条件が明確に異なります>

しかしながら現在の日本経済は、過去20年とは状況が大きく異なります。

・インフレが一時的な現象ではなくなりつつある

・名目GDPは拡大基調に入り、税収も増加している

・金利は上昇局面にありますが、依然として低水準です

こうした現在の環境下では、財政を評価する物差しも当然ながら変える必要があります。

重要なのは、「いくら使ったか」ではなく、「経済規模との相対関係」です。

<予算規模は名目GDPとセットで評価すべき>

重要な視点ですが、インフレと名目成長が進む経済では、予算規模が拡大すること自体は必ずしも異常ではありません。

むしろ、名目GDPが拡大しているにもかかわらず予算規模だけを抑制する方が、経済運営としては不自然、異常ともいえるのです。

今回の予算は金額だけを見ると確かに過去最大ですが、名目GDP比や公債依存度といった指標で見れば、極端な悪化ではありません。

<本質は支出の中身と成長との関係>

2026年度予算で増加している主な分野は、

・社会保障

・防衛・安全保障

・産業基盤・インフラ

など、経済の下支えや成長に直結する領域です。

これらは単なる消費的支出ではなく、

・国内雇用の維持・創出

・民間投資の呼び水

・生産性の維持・底上げ

を通じて、将来の税収基盤に影響を与える支出なのです。

<財政を判断する本当の問い>

財政運営を巡る本質的な問いは、次の一点に集約されます。

経済成長率が金利を上回る状態を維持できるかどうか

この条件が満たされていれば、一定の財政支出は財政悪化ではなく、将来への投資と評価できます。

4.中小企業経営者が持つべき現実的な視点

――傍観すると取り残される年

2026年度は、中小企業にとって「様子を見るだけでは不利になる年」と言えるのではないでしょうか。

国の支出が向かう分野は、

・防衛関連の裾野産業

・GX・エネルギー関連

・デジタル化・AI・データセンター

など、直接受注に限らず、間接的な需要も多く含まれています。

こうした状況を冷静に分析すると、重要なのは、

・国の政策を自社事業にどう接続するか

・補助金・税制を「守り」ではなく「成長投資」として使えるか

・金利上昇を前提にした資金計画を立てられているか

という点だと言えます。

どこに目を向けるべきか

――国家戦略を自社戦略に落とし込む

2026年度予算と高市政権構想に共通するメッセージは明確です。

『成長分野に資源を集中させ、国内の競争力を取り戻す』

という方向性です。

経営者として重要なのは、

・国の重点分野に自社の強みがどこで使えるかを特定すること

=防衛・GX・デジタルなどの重点政策と、自社の技術・人材・設備との接点を洗い出すこと

・小規模でもよいので、補助金・共同案件・試行案件を通じて実績を可視化すること=単年度で回収できなくても、政策案件に関与した実績を一つ作ること

・その実績を起点に、既存事業の一部を成長分野へ段階的にシフトさせること

=その実績を営業・資金調達・次の投資判断に使える形に転換すること

といった一連の動きを、早期に始めることです。

国家戦略と自社戦略が重なる瞬間を逃さないことが、数年後の競争力の差につながります。

まとめ

――2026年は「評価軸」を変える年です

2026年度予算は、確かに過去最大規模です。そのため「放漫だ」という批判が出るのも理解できます。

しかし、重要なのは、

・インフレ環境

・名目GDPの拡大

・支出の中身と成長との関係

を同時に見て評価することです。

支出の多寡ではなく、

成長率が金利を上回る構造を作れているか

ここが、本来の判断軸です。

2026年は、国家の方向性を理解し、自社戦略に落とし込めた企業と、そうでない企業の差が明確に表れる年になります。

予算を批評するだけで終わるのか。それとも、自社の成長戦略に活かすのか。 年初の今こそ、その分岐点に立っていると言えるでしょう。

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