規制緩和で民間企業が育児産業参入:8割が黒字、更に緩和措置・幼保一体改革

輪番休業で育児施設もシフト勤務で対応

110802_8.jpg

自動車産業は、さすがわが国の屋台骨です。この夏の電力不足懸念にいち早く協力し、電力消費分散対応で土・日曜日に操業、木・金曜日を休日とする輪番休業が行われています。家族を含めれば200万人とも言われる自動車産業ですから、取引先や関連企業も休日を変更して対応。買い物やレジャーなどの産業にも影響があるでしょう。
また、自治体や企業などは、従業員のシフト変更に対応し、土・日に育児施設を開いたり、企業は利用料金を補助するなど従業員支援の動きが広まっています。震災から予想以上に早い復旧を見せており、震災前の生産体制に追いついてきていますが、この輪番休業は9月30日まで実施される予定。夏休みが終われば小学生は放課後の学童クラブ同様、土・日対応が必要になります。産官民一体での取り組みが必要でしょう。
政府の新成長戦略:6年後、待機児童4万8千人解消へ
政府は昨年6月、「子どもを大切に家族や地域、社会が育て見守る」とした幼児教育や保障、待機児童の解消を目標に幼保一体化を新成長戦略に掲げました。厚生労働省によると平成22年10月現在、許可保育所への入所を希望する待機児童は4万8,356人と調査を開始した平成13年以降、最多となりました。同省では、不況の影響で育児休暇を早く切り上げたり、主婦が働かざるを得ないケースが増えていると見ています。
政府では、幼児教育と保育をともに提供する「総合施設(仮称)」の設置や保育費の一本化、保育要件の撤廃、契約の統一、さらに多様な事業主体の一元化によって平成29年までには待機児童を解消するとしています。
「保育ママ」や「賃貸マンション保育園」で受け皿拡大、雇用創出へ
政府は7月28日、「総合施設」を検討する「子ども・子育て新システム検討会議」の中間報告を発表。平成25年度から「総合施設」を創設し、保育所の一部を除いて同施設に移行。幼稚園はそのまま存続させ、財政措置後、同施設への移行を促すとしました。「総合施設」に加え、「幼稚園」や「3歳未満の対象とした育児所」、「一定基準を満たした企業やNPO法人運営の保育施設」の4つを「こども園」として、子どもの受け皿を拡大し、待機児童解消を目指します。
厚生労働省の発表によると、全国の保育所は平成22年4月現在、2万3,068ケ所あり、保育定員は215万7,890人と前年比1.2%増加しており、少子化とはいえビジネスとして成り立つ産業となっています。平成20年、民間企業の認可保育所への参入の規制緩和によってサービス業など異業種からの参入も目立っており、新たに助成金の対象とされるマンションを活用した「小規模保育施設」や、保育士数人が少人数を預かる「保育ママ」の導入で、待機児童解消や新しい雇用創出に効果が期待されます。
異業種からの参入882社、幼保一体改革でさらに拡大へ
帝国データバンクが保育所経営業者2,271社の業績を調査したところ、平成22年の収入高総額は4,170億1,000万円と前年比4.2%増となりました。純損益が把握できた1,173社では、黒字となった企業は構成比77.8%の913社と4社に3社は黒字となりました。業歴別では30年超えが構成比68.5%の2,068社と最も多く、うち96.1%が社会福祉法人。一方、10年未満では株式会社や個人経営など規制緩和の影響から民間企業の参入が目立っており、平成20年の規制緩和から異業種の参入企業は882社となりました。
原発事故に起因した電力供給不足ですが、輪番休業やサマータイムの導入、シフト勤務などで対応する企業が増えました。夜間や休日の電力料金にはメリットがあるので、企業側としてはこのままのカレンダーを定着させる可能性もあります。休日保育の需要が高まりを公立の施設では稼働日時の制約など対応できない一方、民間保育所が柔軟な対応で成果を挙げています。まさにピンチからチャンスです。
[2011.8.2]

記事一覧


日銀はなぜ今、利上げするのか―物価を抑えて、成長まで抑えてよいのか

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 09 / 19

◆二十四節気◆令和8年(2026)9月23日「秋分(しゅうぶん)」です。◆

季節のお便り

2026 / 09 / 18

最低賃金1,177円時代へ――「賃上げできない会社」がこれから直面すること

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 09 / 08

◆二十四節気◆令和8年(2026)9月7日「白露(はくろ)」です。◆

季節のお便り

2026 / 09 / 01

人手不足国家・日本は外国人材で救われるのか?――2027年「育成就労制度」で変わる中小企業の採用

八木宏之の経済時事ウォッチ 未分類

2026 / 08 / 24

◆二十四節気◆令和8年(2026)8月23日「処暑(しょしょ)」です。◆

季節のお便り 未分類

2026 / 08 / 18

日銀はなぜ利上げを急ぐのか

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 08 / 14

◆二十四節気◆令和8年(2026)8月7日「立秋(りっしゅう)」です。◆

季節のお便り

2026 / 08 / 03

骨太の方針2026を読み解く

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 08 / 02

◆二十四節気◆令和8年(2026)7月23日「大暑(たいしょ)」です。◆

季節のお便り

2026 / 07 / 21

日銀金融政策決定会合(6月)を読み解く(後編)

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 07 / 17

日銀金融政策決定会合(6月)を読み解く(前編)

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 07 / 06

◆二十四節気◆令和8年(2026)7月7日「小暑(しょうしょ)」です。◆

季節のお便り

2026 / 06 / 30

◆二十四節気◆令和8年(2026)6月21日「夏至(げし)」です。◆

季節のお便り

2026 / 06 / 19

日銀はインフレの原因を見誤っているのではないか

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 06 / 17

2026年上半期の日本経済を総点検

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 06 / 09

◆二十四節気◆令和8年(2026)6月6日「芒種(ぼうしゅ)」です◆

季節のお便り

2026 / 06 / 03

「関税ショック」後の中小企業サバイバル戦略

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 05 / 29

2026年「骨太の方針」はなぜ重要なのか ― 中小企業経営者が知るべき“国家の方向性”と与党内のせめぎ合い

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 05 / 21

◆二十四節気◆令和8年(2026)5月21日「小満(しょうまん)」です。◆

季節のお便り

2026 / 05 / 19

大胆な投資促進税制とは何か

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 05 / 07

◆二十四節気◆令和8年(2026)5月5日「立夏(りっか)」です。◆

季節のお便り

2026 / 05 / 02

日銀「金融政策決定会合」から読み解く日本経済

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 04 / 29

◆二十四節気◆令和8年(2026)4月20日「穀雨(こくう)」です。◆

季節のお便り

2026 / 04 / 17

値上げは悪いこと?物価高時代に企業が取るべき経営戦略

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 04 / 17

◆二十四節気◆令和8年(2026)4月5日「清明(せいめい)」です。◆

季節のお便り

2026 / 04 / 02

日本企業に起きている「静かな淘汰」

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 03 / 31

金融政策決定会合(3月)-中小企業経営者が知っておくべき金融環境の変化-

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 03 / 23

◆二十四節気◆令和8年(2026)3月20日「春分(しゅんぶん)」です。◆

季節のお便り

2026 / 03 / 16

エネルギー価格上昇に中小企業はどう対応するか

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 03 / 12

◆二十四節気◆令和8年(2026)3月5日「啓蟄(けいちつ)」です。◆

季節のお便り

2026 / 03 / 02

第二次高市内閣で日本の産業政策はどう変わるのか

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 02 / 26

◆二十四節気◆令和8年(2026)2月19日「雨水(うすい)」です。◆

季節のお便り

2026 / 02 / 16

【衆議院選挙後】新政権と金利上昇をどう読むか

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 02 / 09

◆二十四節気◆令和8年(2026)2月4日「立春(りっしゅん)」です。◆

季節のお便り

2026 / 02 / 01

消費税減税は実現するのか

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 01 / 31

日銀金融政策の転換期をどう読むか

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 01 / 25

◆二十四節気◆令和8年(2026)1月20日「大寒(だいかん)」です。◆

季節のお便り

2026 / 01 / 17

2026年度予算――規模・評価軸・企業経営への示唆

八木宏之の経済時事ウォッチ

2026 / 01 / 03

◆二十四節気◆令和8年(2026)1月5日「小寒(しょうかん)」です。◆

季節のお便り

2026 / 01 / 02

日銀・金融政策決定会合(12月) 利上げの背景と今後の政策運営

八木宏之の経済時事ウォッチ

2025 / 12 / 21

◆二十四節気◆令和7年(2025)12月22日「冬至(とうじ)」です。◆

季節のお便り

2025 / 12 / 17

取引適正化推進法(旧:下請法)とは?

八木宏之の経済時事ウォッチ

2025 / 12 / 10

◆二十四節気◆令和7年(2025)12月7日「大雪(たいせつ)」です。◆

季節のお便り

2025 / 12 / 03

外国人のビザ要件強化の背景とその影響

八木宏之の経済時事ウォッチ

2025 / 11 / 30

高市政権×21兆円補正予算:中小企業に訪れる“追い風”

八木宏之の経済時事ウォッチ

2025 / 11 / 24

◆二十四節気◆令和7年(2025)11月22日「小雪(しょうせつ)」です。◆

季節のお便り

2025 / 11 / 16

ガソリン税ついに廃止!軽油も2026年にゼロへ

八木宏之の経済時事ウォッチ

2025 / 11 / 10

◆二十四節気◆令和7年(2025)11月7日「立冬(りっとう)」です。◆

季節のお便り

2025 / 11 / 04

どう変わる?日銀の10月会合に見る金融政策の行方

八木宏之の経済時事ウォッチ

2025 / 10 / 31