人手不足が鮮明に 日銀短観(2024年3月調査)結果
賃上げ・物価高の好循環に水
日銀が4月1日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、人手不足の深刻化が改めて浮き彫りになりました。雇用人員判断指数(DI)は全規模全産業でマイナス36と1991年11月以来の不足超過で、企業の景況感改善の重しとなりそうです。
大企業を中心に高水準の賃上げが相次ぐ一方、中小企業では人件費まで含めた価格転嫁はまだまだ道半ばで、日銀が目指す賃金と物価がともに上昇する「好循環」の実現にはまだまだ課題が残ると言えそうです。
大企業の状況
大企業の業況判断DIは、製造業で前回調査から2ポイント悪化の11となりました(表1)。景況感の悪化は4四半期ぶりで、景況感の改善は足踏みとなっています。素材業種では、市況の持ち直しにより石油・石炭製品等で景況感が改善した一方で、ダイハツ工業や豊田自動織機が品質不正で自動車の生産・出荷を一時停止したほか、能登半島地震による部品供給遅延でホンダも減産を余儀なくされ、自動車向けの素材を供給する非鉄金属や鉄鋼等の景況感が悪化したこが影響したようでうす。
一方、非製造業では前回調査から2ポイント改善の34となりました。景況感の改善は8四半期連続で、水準としても歴史的な高さといえます。コロナ禍明け後の需要回復の動きを背景に、運輸・郵便や対事 業所サービス、不動産、対個人サービスを中心に改善が続きました。
成田空港の2月の国際線旅客数はコロナ禍前の2019年比で9割まで回復。宿泊・飲食サービスもプラス52と、物価高で消費者の節約志向は根強いものの、数値は高水準を維持したものとなりました。
中小大企業の状況
中小企業では依然苦境が続いています。製造業は前回調査から3ポイント悪化しマイナス1に沈み、非製造業でも1ポイント悪化の13となりました(表2)。高齢化による働き手減少に加え、運送業や建設業では4月から時間外労働の上限規制も適用されます。需要の取り逃がしを防ぐための人材確保は急務といえるでしょう。
価格転嫁の進展度合いでは、販売価格判断DIの先行きが大企業でほぼ横ばいと一巡しつつあるのに対し、中小は製造業が7ポイント、非製造業が6ポイントそれぞれ上昇しました。日銀は、賃金上昇圧力を受け、中小企業も価格転嫁を進める必要性を認識し始めたとみられます。
賃金と物価の「好循環」には
24年度の想定為替レートは1ドル=141円42銭(全規模全産業)。最近は152円台に迫り、原材料やエネルギー価格の高騰が中小企業の収益を一段と圧迫しかねません。
雇用の7割を占める中小企業全体に賃上げの波が広がらなければ先行きの消費の足かせになることは明らかです。賃金と物価の「好循環」が長続きしなければ、日銀が模索する追加利上げは遠のくといえるでしょう。
中小企業に必要なこと
中小企業にとっては業況の改善は道半ばということが今回の日銀短観でもはっきりと分かりました。中小企業にとってはまだまだ厳しい経営が続きますが、人手不足や原料高を嘆いていても状況は改善しません。
業務のフローの見直しによる効率化や、仕入先また販売先との価格交渉など、地道な努力の積み重ねが大切です。
またこれから出てくる新年度の補助金、助成金の活用なども検討するとよいでしょう。
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2023年10月21日:[10月2日 日銀短観]円安、人手不足が顕在化し、全業種に影響
2023年4月 7日:[日銀短観]非製造業はコロナ前の水準に回復、中小企業は製造業で回復遅れ
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