三宅一生、新発想のデザインで日本伝統を承継、政府推進ソフトパワー産業

 
経産省:10年で20兆円産業へ
平成22年10月から23年3月までの期間、東京ミッドタウンで「コ・フェスタPAO」が行われています。「コ・フェスタPAO」は10人のトップクリエイターがプロジェクトデザイナーとなり、各1つずつ、計10の企画を映像などで提案し、次世代のデザイナー、クリエイターの発掘や育成を行っています。新たな創作活動やトークイベント、作品展示などを通じて若い世代へ情熱的(Passionate)で魅了的(Attractive)、かつ独創的(Original)な新発想を生み出すことを目指しています。
経済産業省では、今後10年間で、このようなコンテンツ市場を20兆円に拡大させることを目指しています。同省では、この目的達成のためには日本発のコンテンツの創造力、競争力を高める優秀なクリエイターを生み出す環境づくりが重要と考え「コ・フェスタPAO」は開催されています。政府では、少子高齢化で乏しくなる国内市場からコンテンツ産業を成長産業と位置づけ、アジアを中心とした海外進出の支援を行っています。
 
東京ミッドタウン:「コ・フェスタPRO」

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「コ・フェスタPAO」では12月7日、デザイナーの三宅一生氏のトークショーが行なわれました。また展覧会では、一枚の布に折り紙の「山折り・谷折り」を取り入れ、複雑な造形をした衣服、「132 5. ISSEY MIYAKE」を披 露しました。服を脱げば平たく畳むことができると、布がどうやって衣服になるのかを映像で配信しています。
三宅一生氏:日本のモノ作り衰退
三宅氏は40年近く、岐阜、岡山、新潟など繊維の産地や工場を歩き回り、服作りをしていましが、ふと気づくと「昔からあった工場は次々に消え、腕の立つ職人も消えつつある」と、報道にありました。産地の衰退や職人の流出、環境問題など日本のものづくりの衰退を止められるかを考え続けていると言います。「132 5. ISSEY MIYAKE」では新しい素材をコンピュー ター技術で複雑な立体構造をつくり出し、デザインは大胆なものの構造がしっかりし、着心地もよく選択もでき、アイロンの必要もないと言います。新しい素材、技術を取り入れる一方では、糸は松山、織りは福井、染めは石川と国産にこだわったようです。三宅氏は、これらの技術や知識を次世代に承継し、社会貢献、人材育成を行っています。
新発想のデザインを伝統技術でつくりあげる
地域産業では、不況、承継者問題などから減少、衰退傾向が長年続いています。日本の衣服は、蚕から糸をつくり、織り機で生地をつくり、染め上げ、縫製と、伝統の技術で作り上げてきました。各々の行程では技術を極めた職人が数多く存在していたものです。三宅氏の想いは、自分のデザインで伝統技術を若い世代に受け継がせるという、きっかけづくりをしているのでしょう。和服離れによって着物のデザイナーを目指すデザイナーが減少し、時代とともに洋服のデザイナーも移り変わりました。しかし、和も洋も、元となる素材は同じです。現代の新発想のデザインで、伝統技術をしっかり学んだデザインを実現すれば、着心地もよく、アイロンもいらない昔ながらの衣服ができるのでしょう。デザインだけでなく、元となる素材や基礎を、職人から承継し新しい発想をデザインしていただきたいものです。
コスト優先、技術・職人手放す/批判しても前進はない
日本のものづくりの再生には、「産地や企業とともに社会問題に向き合って、人に夢を与えるデザインの意義を問い直すべき」と三宅氏は説きます。もの作りの現場では、コスト削減が優先され、企業は生産機械をアジアなど新興国へ売却、技術や職人まで手放しつつあると言います。三宅氏は、発想を現実化するのがデザインの役目と説き、批判を言っても前進はないと。確かにネガティブな報道ばかりで、批判はあるものの解決策は見当たりません。
現代の産業のリーダーたちが、日本経済を作り上げてきた伝統技術を時代のデザインに取り入れ、現実化することが国内の活性化に繋がるのでしょう。日本には、その地域ならではの産地があり、織りや染め、塗りなど伝統技術があります。着物を着る人が減少したとはいえ、その技術は今の時代にも生かされているのです。「132 5. ISSEY MIYAKE」作りでは、若いデザイ ナー、クリエイターに三宅氏の技術、知識が植えられたことでしょう。次はその技術、知識を生かして新しい発想のデザインを実現し、政府支援のもと、海外へ向けて発信、進出する番です。
●関連記事:オフィシャルサイト「成長戦略ソフトパワー産業の海外展開」
[2010.12.13]

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