鴻海精密工業:シャープに出資/6000億円は産業革新機構の倍、雇用は維持、事業の維持の好条件

詰めが甘かった産業革新機構

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 経営不振に陥った「シャープ」をどちらが支援し、経営再建を担う――。台湾の電子機器受託製造大手「鴻海(ホンハイ)精密工業」と、経済産業省が所管する官民ファンドの「産業革新機構」が名乗りをあげた救済合戦で、シャープは鴻海を選びました。6000億円を上回る7000億円規模の出資を受ける方向で、最終調整に入ります。産業革新機構は、詰めが甘かった印象ですね。
シャープは、2015年4~12月期の連結決算の最終損益が1083億円の赤字(前年同期は71億円の赤字)。売上高は7%減の1兆9430億円、営業損益は290億円の赤字(前年同期は512億円の黒字)です。中国向けのスマートフォン用中小型液晶パネルや太陽電池などの落ち込みは深刻なまま。
的確な時機のヨミが勝機を引き寄せた
 支援を巡り、優位に立っていたのは産業革新機構。シャープ本体に3000億円を出資し、液晶事業は分社化して、将来的に革新機構が筆頭株主の液晶大手「ジャパンディスプレイ(JDI)」と統合させる計画でした。官主導で技術の海外流出を防ぎ、東芝の白物家電事業分野も統合するなど、業界再編も狙いました。しかし、JDIとの統合は2018年以降にずれ込み、シャープは「液晶事業などの切り売りで、解体されるだけ」との不信感を抱きました。
 これに対し、鴻海は、1月末に郭台銘会長がシャープ経営陣と会談し、産業革新機構の倍に当たる6000億円の資金を提供する方針を示したうえ、雇用は維持し、事業の切り売りもしないと約束。シャープへの融資した資金を回収したい主力行は、この案がより効果的と判断しました。国側の姿勢に、海外から「外資排除」などの批判も出て、形勢が鴻海案に傾きます。そのタイミングで、鴻海は支援額を7000億円に増額させ、勝機を一気に引き寄せたのです。圧巻でした。
[2016.2.17]

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