SFCGにみる「欲」をもたない、「見栄」をはらない
中小企業の力強いパートナーがなぜ逮捕に
「成功できれば胃袋は半分とっていい」、今月逮捕されたSFCG元社長、大島健伸容疑鵜者の言葉です。
SFCGは中小企業向け融資の最大手「株式会社商工ファンド」として昭和53年に設立。銀行からの借り入れが困難な中小企業へ商工ローン、いわゆる事業者金融として中小零細企業へ積極的な融資を実行して成長し続けてきました。 当時はそんな企業があること自体知る由もない、32年前の私がまだ大学生の頃です。
SFCGは東証一部にまで成長し,中小企業のために高利ではありますが積極的に融資を行い、資金繰りの心強いパートナーとして積極的に利用した企業も多かったのではないかと思います。「中小企業のため」という志には私も感銘するところです。それがなぜ今回の逮捕事件になったのか、何が大島元社長を狂わせたのか・・・なのです。「成功できれば胃袋は半分とっていい」、その意味とは、おそらく「欲」「見栄」なんでしょう。
返済のために経営者を窮地に追い込む取立て
先週18日、改訂貸金業法によりグレーゾーン金利最高率の29.2%での貸し付けは完全撤廃されました。当時,SFCGはそれ以上とされる高金利で中小企業に融資を行い,高いリターンによって収益を蓄え、元社長は都内・渋谷の一等地に大きな自宅を持ち富を得る事に成功しました。その目的のためなら胃袋を半分とっていいということなんでしょう。
SFCG元社員の発言を報道で聞いた事があります。「創業した中小企業のうち、5年間生き残る会社は5%。貸し倒れリスクが大きいから高利息を取るのは当然」だと。一方から見れば確かにその発言は当たり前の事なのでしょう。 お互いがビジネスで契約している訳ですから借り手に対しての保険も必要。それを承知で中小企業側も融資を受けているのですから。
ただし、高い利息の上に返済が滞れば暴力的とも言い換えられる強引な取り立てや、脅しまがいに近い事もあったようです。特に手形を担保に融資し、返済が滞ると給与などを差し押さえる訴訟を乱発していたことなどには私は賛同できません。経営者を窮地に追い込むという金融は事業再生とは真逆の行為です。
申告漏れや業務停止命令、そして逮捕
私がセントラル総合研究所を設立し、中小企業の事業再生に明け暮れていた平成14年には,東京地裁が受理した1881件の手形訴訟の約8割がSFCG関連で、東京地裁から提訴の自粛を要請されていたこともありました。
その後、SFCGは100億円以上の申告漏れや、公正証書の不正による金融庁からの業務停止命令など、社会を騒がせていましたが,今月、例のない巨額の資産隠しの疑いということで大島SFCG元社長は警視庁に逮捕されました。
民事再生申請前に資金を関連会社へ流出
SFCGは、平成18年,グレーゾーン金利が撤廃され減収が進む中,過払い利息の返還訴訟が相次ぎ、経営環境が悪化。さらに平成20年9月、資金調達先であったリーマンブラザースの経営破綻で貸し剥がしを受け,資金繰りが極端に悪化、平成21年2月に東京地裁に民事再生法適用を申請していました。
しかしSFCGは、中小企業を中心に融資を行っていた日本振興銀行へ債権を二重譲渡していたことが判明し、民事再生法手続きが打ち切られ破産手続きに移行し、その後の調べでSFCGは民事再生申請前に、400億円を超えるSFCG保有の不動産担保ローン債権を関連会社へ無償譲渡していたというのです。つまり資産を不正に自分の関連会社へ流出させた疑いがあるというのです。
破産管財人の調査では、債権や株券など計約2670億円分のSFCGの資産を、自分の関連会社7社に流出していた疑いがあるとのことでした。
身の丈に合った事業、生活が大切
まさしく目的は「資産隠し」なんでしょう。金融機関から借り入れの出来ない中小企業のために設立した融資会社SFCGが、いつの間にか「欲」「見栄」のための企業にすりかわったとしか考えられません。本当に残念です。
会社衰退期にいち早く捨て去る
欲や見栄は会社の衰退時期にはいち早く捨て去らなければなりません。㈱セントラル総合研究所では事業再生においてはまず「欲」をもたない「見栄」をはらないことだと言っています。
巧くいくといくと頭を持ち上げる
資金繰りや債務返済で気力をなくした中小企業経営者の相談を聞き,再生スキームを立て実行していく中,最初は「自宅さえ守れれば」と言っていた経営者も、再生スキームが実行されていくにつれ「欲」や「見栄」がついつい出てしまうものです。「工場も倉庫も、更には駐車場も別宅も守りたい」 中には「投資用に購入したマンションをもっと高く売りたい」という「欲」や「見栄」が出て,最初に相談に訪れた時と比べ物にならないくらい「欲」を持ち始めてしまうものなのです。
わらをもすがる思いで・・・
そんな支援者に「最初にここに相談しにきたときを思い出してください」と問いかけます。経験上、「欲」「見栄」を出せば、全てを失う事にもなりかねないのです。苦しい時の分析をすると、身の丈に合った事業規模や生活をしなければ事業再生は成功しません。「欲」や「見栄」は事業再生には基本的に妨げになるのです。
[2010.6.24]
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