国交省・新設住宅着工戸数は微増、被災者住宅新設は負担軽減に個人版「私的整理ガイドライン」策定
国土交通省が5月31日に発表した「平成23年4月分建築着工統計調査報告」によると、新設住宅着工総戸数は前年同月比0.3%増の66,757戸と低い水準ながらも微増となりました。フラット35など金利優遇措置の効果で分譲一戸建てが12.6%増の9,413戸と16ケ月連続して前年同月を上回り、分譲マンションも11.8%増の1万812戸と着工数を押し上げました。地域別では沖縄が1,687戸と同比145.6%増、石川も873戸と同比123.8%と伸ばす一方、被災地では、宮城県は35.8%減の645戸、岩手県も32.9減の271戸、福島県も29.4%減の433戸と昨年同月の着工戸数を大きく下回りました。国土交通省では、「厳しい雇用や所得環境、さらに震災の影響で低い水準で推移している」とみています。被災地では依然避難所や、仮設住宅を待つ被災者の姿が報道にあります。一番必要な被災地に耐震構造の「強い・早い・安い」エコ住宅の着工が急がれます。
被災地住宅購入に5年間金利0%、据置・返済期間延長
住宅金融支援機構では、復興に向けた第1次補正予算が成立した5月2日、被災者向けに新たな購入に利用できる災害復興住宅融資や、既存住宅ローンの返済方法の変更など優遇措置を発表しています。災害復興住宅融資の金利は、当初5年間は0%とし、6~10年目は申込み時の災害融資金利から0.53%引き下げられます。元金据置期間も3年から最長5年に延長し、申込み期間も現行の罹災日から2年以内を平成27年度末まで延長しています。優良住宅に利用できるフラット35など、既存ローンを利用中の被災者向けにも優遇措置はとられ、返済金の据置期間、返済期間が現行の3年から5年に延長され、金利も引き下げられています。
国土交通省の調査によると、平成22年度の「長期優良住宅」の認定戸数が16万782戸に達したとありました。長期優良住宅は、日本の住宅の寿命が概ね30年とされ、欧米に比べ極端に短いことから耐久性を高く、耐用年数を延ばす構造など基準を設け、平成21年6月に「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」によって認定されるようになりました。住宅金融支援機構では、同法に合わせフラット35など長期優良住宅向けの住宅ローンや金利の引き下げなどを拡充。住宅購入の負担を軽減し、無理のないマイホーム購入を促しています。
被災者と金融機関2者間の話し合いで二重ローン問題解決へ
震災によって家屋を失った被災者は、住宅ローンだけが取り残され、新たな復興支援住宅の取得すれば、さらに住宅ローンが積み重なり二重ローンとなって大きな負担となります。この被災者の負担軽減に政府・与党は5月31日、住宅ローンを抱える被災者が新たに住宅購入で住宅ローンを組んだ場合、既存の住宅ローン分を放棄した金融機関などに対し、法人税を軽減する方針と報道がありました。個人向けの債権放棄の手続きを策定した「私的整理ガイドライン」を全国銀行協会などに求め、金融機関と個人が話し合いで債権を減免する「私的整理」を円滑にし、被災者の生活再建を後押しするとしています。金融機関にとっては放棄した額の一定割合が法人税の課税対象額から差し引かれば、放棄にかかるコストが減るため免除しやすくなります。政府では金融庁や国税庁との調整を経て正式に決定するとしています。
企業向けの事業再生の現場において「私的整理ガイドライン」は、平成13年9月につくられました。平成11年、経営難に陥った準大手ゼネコン救済のため金融機関が不透明な債権放棄をし、世の批判を浴びたことによる措置でした。企業の場合は、金融機関や取引先など複数の債権がある場合が多く、その全ての同意が必要で1社でも同意が得られなければ成立しません。一方、住宅ローンの場合は、個人と金融機関など2者間での話し合いになることから手続きも円滑に行われると期待がもてます。
罹災証明交付に3ケ月かかる自治体も
被災者は、新たに復興支援住宅の購入に際して、住宅金融支援機構の災害復興住宅融資による金利優遇支援や返済・据置期間の延長。さらに財団法人都道府県会館では、被災者生活再建支援制度による支援金があり、全壊世帯に100万円と住宅購入世帯に200万円の計300万円の資金援助が受けられます。この支援を受けるために必要になるのが罹災証明で、このような支援・優遇策を得ることや義援金の受け取り、学校移転などにも必要となる書類で自治体で発行されています。朝日新聞が岩手、宮城、福島の3県、47市町村の取材を行った集計では、罹災票の申請された約18万件に対して交付されたのは約7割の13万件だったとありました。申請が最も多い仙台市では約5万3,000件の申請に交付は約1万6,000件と約3割の交付率。福島県白河市では約3,200件のうち交付は1割未満でした。自治体職員は、震災後から家族の捜索よりも住民の要望を聞き入れ、不眠不休で働き続ける報道もあり、全国の自治体からも応援部隊が被災地に派遣されました。しかしながら罹災証明の交付は、自治体によっては3ケ月かかる場合もあるようです。
政府や自治体などによって、二重ローンや新たな住宅ローンの軽減や支援、資金援助が検討・発表され、あとは罹災証明の交付までの時間だけです。内閣不信任案も否決され、政局から政策へ目を向け被災者が何を一番望んでいるか考え、早期罹災証明交付に支援策が欲しいところです。新たな住宅の着工で被災者の「安心・安全・快適」な生活を取り戻し、産業では関連する建材やエネルギー、輸送、内装業などに多くに経済効果を生み出し、被災地の復興、地域活性に繋げたいものです。
●参考記事:住宅エコポイント終了前倒し:太陽光発電、耐震強化/クリーンエネルギーに新ポイント[2011.5.17配信]
●参考記事:住宅金融支援機構:フラット35、申込み2,5倍/ローン減税・金利優遇でマイホーム率増加[2011.2.18配信]
[2011.6.6]
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