「中小企業資金調達:売掛・動産・劣後/上場目指し「新株予約権融資」」
多様化する資金調達手段
11月3日の報道によると、中小企業が資金繰りに窮し工夫しながら運転資金の調達を図っている事がうかがえます。
▼売掛債権担保融資/眼鏡の設計・販売のオプトアーク(東京都江東区住吉/代表取締役 渡辺徳幸)は東京スター銀行の売掛債権担保融資で資金を調達しました。売掛債権担保融資の金利は一般的な水準よりも高いのですが、同社は業歴が浅く不動産もないことから通常の融資は受けにくいと判断、顧客からの発注額2,500万円を担保として提供し、1,700万円を調達しました。
▼動産担保融資/建設業の日運建業(青森県青森市野木野尻/代表取締役 藤本和成)は所有する大型クレーンを担保として、みちのく銀行から数億円を調達しました。動産担保融資は通常融資よりも金利が低いため、支払利息を抑えられる効果があるとしています。
▼劣後ローン/半導体製造装置関連のエム・エー・ティー(東京と板橋区舟渡/代表 中原司)は日本政策金融公庫の劣後ローンを利用し5,000万円を調達しました。劣後ローンは返済順位が他の負債より劣後になるため、リスクが高い分金利が高く設定されますが、調達した資金を自己資本と見なすことが出来るメリットがあります。この特徴を生かして財務体質の改善を図ることができます。また劣後ローンは無担保・無保証で15年後に元金を一括返済する方式のため、収益が安定するまでの間、調達資金を効率的に利用出来るとしています。
上場を目指す中小企業の資金調達
名称は一般的になった「新株予約権」を担保にした融資方法も考案されています。新ジャスダックなど新興市場IPOが身近になれば、これからの融資形態の先駆けといえるでしょう。
▼新株予約権付き融資/弁当店を展開するワオ(東京都港区北青山/代表取締役 浦谷明)は日本政策金融公庫の新株予約権付き融資などを利用し1憶円を調達しました。新株予約権付き融資は融資元が新株予約権を引き受け、融資先が株式上場した際に売却益を得る仕組みで、市中金利より金利が低く資金調達コストを抑えられるメリットがあります。背景には同社が調達資金を店舗の出店費用に充てることと、2017年を目処に株式上場を目指していることがあります。
「株式上場の夢」も調達の道を広げる
新株予約権付き融資は背景に株式上昇があります。このように上場を目指すことにより資金調達の選択肢が大きく広がることがあります。通常の融資が受けやすくなることはもちろん、これまで金融機関のみだった借入先が証券会社やベンチャーキャピタル(VC)など機関投資家にまで広がります。
▼関連記事:資金調達、中小企業も上場のチャンス!新ジャスダック発足[2010.10.14]
新ジャスダックが発足し、グロース市場では赤字会社でも上場可能になるなど、上場要件のハードルは確実に下がっています。
折角事業を営んでいるのですから夢は大きく、株式上場を検討してみてはいかがでしょうか。上場会社経営という世界が意外と近くに感じられるようになるかも知れません。
変化に備えて、常に「次の一手」の準備を
前に書いた新しい融資形態を利用するためには、今後成長が見込めるビジネスモデルや次世代技術の構築、顧客との安定した取引実績などが求めれられ、利用する側にも努力が必要です。
残念ながら、新しい融資手法を手掛ける金融機関はまだまだ一部であり、地方の金融機関などは不動産以外の担保の価値を算定するノウハウがないのが現状で、法律面、経験面で金融機関の融資には制約が多く、そのことが中小企業の成長を妨げているとの声も聞かれます。
▼関連記事:景気対応緊急保証(100%)終了!金融円滑化法(リスケジュール=返済猶予)延長か[2010.10.20]
▼関連記事:倒産増加説はホントか?モラトリアム法(中小企業金融円滑化法)間もなく終了![2010.10.13]
金融円滑化法案は延長を検討中ですが、他の景気判断では打ち切りの可能性もあります。また、保証協会による100%保証は3月で終了となる方向です。100%保証を終了するにしても段階的に保証割合を元に戻すことが妥当な措置だと考えますが、今のところその段階的な動きは見られません。
今までのデフレ対策中小企業施策が打ち切られ再び資金調達が困難になる前に、「新しい融資手法、資金調達手段」を取り入れることをお勧めします。資金調達方法によっては債務超過解消も可能なのです。
景気の低迷・円高為替・高い法人税・TPPなど経営を取り巻く環境は大きく変化し続けています。より高く、広くアンテナを張り情報をキャッチして近い将来を予測し業界を把握しましょう。群するも党せずです。
[2010.11.06]
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