新しい資金調達の選択肢「企業価値担保権」に対する意識調査

先月10月30日、帝国データバンクから「企業価値担保権※に対する企業の意識調査」結果が発表されましたので、その結果についてみてみたいと思います。
※「企業価値担保権」とは、企業の事業価値全体を担保として、金融機関から資金調達できる新たな担保権です。従来のような不動産担保や経営者保証に依存せず、事業の実態や将来性に着目した融資が受けやすくなることが期待されています。
事業者の将来キャッシュフローや無形資産を含む事業全体を担保として有形資産の乏しいスタートアップや、経営者保証により事業承継や思い切った事業展開を躊躇している事業者などの資金調達を円滑にすることで企業の活性化が期待されています。
企業価値担保権の創設などを骨子とする「事業性融資の推進等に関する法律」は、2024年6月に公布され、成立から2年半以内に施行が予定されています。
企業価値担保権の認知度は3割弱に、「知らない」企業は半数以上に
企業価値担保権の認知状況ですが、下記のように認知度は3割弱、知らないが半数以上という結果となりました。
| 【企業価値担保権の認知度】 | |
| 「制度の内容を含めてよく知っている」 | 0.5% |
| 「制度の内容を含めてある程度知っている」 | 5.3% |
| 「名前は聞いたことがあるが、制度の内容は知らない」 | 22.4% |
| 「知らない(名前も聞いたことがない)」 | 56.5% |
| 「分からない」 | 15.3% |
| 合計 | 100.0% |
帝国データバンク
また、企業価値担保権を「知らない(名前も聞いたことがない)」割合を従業員数別にみると、「1,000人超」の企業では38.2%と3割台でしたが、従業員の規模が小さくなるほどその割合は高まっていき、「21~50人」(57.4%)や「6~20人」(58.6%)の企業で全体の割合を上回りました。とりわけ「5人以下」の企業では61.1%と6割を超えています。

企業価値担保権を「知らない」割合 ~従業員数別~ 帝国データバンク
活用意向「あり」、「なし」は半々に
金融機関から融資を受ける際に、企業価値担保権を活用したいかについては、下記のように「活用したいと思う」、「活用したいと思わない」と半々となり、企業の見解は二分しています。
| 【企業価値担保権を活用したいか】 | |
| 「活用したいと思う」 | 3.8% |
| 「今後検討したい」 | 22.9% |
| 「活用したいと思わない」 | 26.7% |
| 「分からない」 | 46.6% |
| 合計 | 100.0% |
ただし、「分からない」が46.6%となり、活用意向について、現時点では多くの企業で判断がつかない様子もうかがえます。

帝国データバンク
活用する理由
企業価値担保権を活用する意向のある企業の理由は、「自社の事業性に着目した評価に基づき融資を受けたいため」とする企業が66.2%と6割を超えトップとなり、以下「金融機関とより緊密な関係性を構築したいため(伴走支援を受けるため)」(35.0%)と「事業承継等を見据えて、経営者保証を解除したいため」(31.3%)となりました。

帝国データバンク
活用しない理由、企業の4割が自己資本でまかなえている
一方で企業価値担保権を活用したいと思わない企業の理由は、「自己資本で必要な資産をまかなえているため」とする企業が40.8%、次いで「現在利用している融資手法(不動産担保、経営者保証による融資を含む)で充足しているため」が36.4%、「金融機関と既に緊密な関係性にあるため必要がない」が26.7%となりました。

まとめ
本調査によると、現時点では企業価値担保権を「知らない」企業が半数以上を占め、その一方で、しっかりと制度の内容を理解している企業は1%にも満たず、名称を知っている企業を含めても認知度は3割以下でした。
また、活用に関しては、活用意向のある企業が4社に1社程度、活用したいと思わない企業も4社に1社程度となり、活用に対する見解は二分しました。また「分からない」とする企業が半数近くにのぼり、多くの企業で現時点では判断がつかない様子がうかがえます。
このように認知度がまだまだ足りない状況ですが、事業者の資金調達の新たな方法の一つになる可能性は十分あります。また経営者保証を解除するための手段にもなり得る制度ですので、まずは「知ること」から始めては如何でしょうか。
これから本格化すると期待されている制度ですので、本ブログでも折に触れて取り上げていきたいと思います。
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