最低賃金、全国1000円台時代の中小企業

全国の最低賃金ついに1000円台に!

※出典:厚生労働省

 

 

10月に入り、全国の各都道府県で2023(令和5)年度の最低賃金の改定が行われました。最低賃金額は、高い順に1位が東京都の1,113円、2位が神奈川県の1,112円、3位が大阪府の1,064円。このほかに、1,000円越えは、埼玉の1,028円、愛知の1,027円、千葉の1,026円、京都の1,008円、兵庫の1,001円と5つあり、8都府県となりました。

最低賃金は、最低賃金法の第9条基づいて、最低賃金は各都道府県で設定され、賃金の最低ラインを確保するための重要な要素となっています。そのため、法律で定められた最低賃金以下の賃金で労働者を雇用することは、違法とされています。

しかしその一方で、最低賃金の改定は、労働市場に大きなインパクトを与えています。最低賃金の引き上げが中小企業に与える影響は大きく、特に派遣会社はスタッフの派遣コストの上昇を、契約単価への転嫁は思いのほか難しいといった課題が浮き彫りになっています。

 

最低賃金引き上げが中小企業に与える深刻な影響

02 関東圏最低賃金.jpg

 

茨城県の大学生は「アルバイトをするなら、千葉。なんなら、東京まで行ってもいい」と言います。最低賃金は東京都が1,113円、千葉県が1,026円なのに対し、茨城県は953円だからです。 このように、最低賃金の引き上げが中小企業にもたらす影響は決して小さくありません。

具体的には、

経営コストの増加:最低賃金の引き上げに伴い、中小企業は労務費の増加はぬぐえません。これによりコストが上昇し、収益への影響は避けられないでしょう。特に、中小企業にとっては、賃金の増加が企業の継続に何らかの影響を及ぼす可能性があります。

価格転嫁の難しさ:中小企業は大手企業ほどの価格の競争力が低いため、賃金の引き上げを価格に転嫁することが難しい現状があります。競争が激しい業界では、価格を引き上げることが難しく、企業は賃金上昇に対応するための戦略を模索せざるを得ません。 

03 コストの上昇分を販売価格に転嫁できた割合 .png

雇用の縮小と労働力不足:中小企業が賃金を上げることが難しい場合、雇用の確保も難しくなり、雇用の削減や新たな労働力の採用を制限せざるを得なくなります。まして、昨今の日本では労働力の不足が明らかです。

④生産性向上の必要性:賃金上昇に対応するため、中小企業は生産性向上や業務の効率化にすばやく取り組なければなりません。これにはそれなりの投資や従業員スキル向上、すなわち生産性の向上喫緊の課題といえます。

こうした課題は、それが短期的なであれ、長期的な影響であれ、中小企業にはこれからを生き残るために多角的な戦略と柔軟性がすなわちDXが求められます。

 

生き残るための戦略、中小企業が取るべき行動とは?

では、最低賃金引き上げという現状の中、中小企業はどんな戦略を取ったらいいのでしょうか?

まず考慮すべきは、補助金と税制の活用です。国や地方自治体が提供する助成金プログラムに申請することで、人件費の負担を軽減することが可能です。また、税制上の優遇措置もあるので専門家と相談しながら、すぐに着手できることろから計画を練るべきです。

次に、人材育成が重要です。従業員のスキルを高めることで、生産性の向上を図り、賃金上昇の影響を最小限に抑えることができます。専門的な研修やOJTを充実させることで、質の高いスタッフが増えれば高いサービス提供が可能となります。

そのほか、価格戦略の見直しや地域密着型ビジネスへの転換も欠かせない取り組みでしょう。賃金が上昇すると、そのコストは避けて通れません。そのため、価格の柔軟性を持たせ、付加価値の高い商品やサービスを提供することで、顧客に価格上昇を納得させる戦略が必要です。

また、地域密着型ビジネスの強化を考えることで、地域社会との連携を深め、リピートビジネスや口コミによる新規顧客獲得を図ることができるかもしれません。

補助金と税制、人材育成、価格戦略、そして地域密着型ビジネスの組み合わせによって、最低賃金の上昇に柔軟に対応する戦略を立て、事業の持続性と成長を確保することが可能です。

 

最低賃金1000円時代と2024年問題、人材不足、インフレ

中小企業にとって、最低賃金の一律な引き上げは経営にとっては何らかの対策を余儀なくされます。特に中小企業にとっては経営を圧迫し、雇用の削減や原材料価格の上昇を余儀なくされる可能性が高いからです。さらに今日の物価上昇と絡むことでスタッフの実質賃金が向上しない場合もあり、その結果、中小企業そのものが厳しい状況に置かれることになりかねません。

政府も、中小企業に対する支援策を最低賃金の引き上げと並行して立案するが望ましいといえます。具体的には、生産性向上のための補助金、研修プログラム、税制優遇など、経営にかかわる多角的な支援制度が求められています。

結局、最低賃金の引き上げは時代の要請に過ぎないと考えるべきです。中小企業、政府、自治体が、最低賃金の引上げだけに終始せずに、インフレや人材不足ひいては円安など、日本全体が置かれている状況をどう乗り越えるか企業単位、地域単位、業界単位での対策と、運輸業界の暗い影を残している2024年問題と絡めて、最低賃金の1000円時代の会社経営を模索する機会にしていただきたいものです。

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