機能しているのか「経営者保証ガイドライン」!二重の経営者保証を要求4割、事業承継にも支障
事業承継、金融機関は旧経営者、新経営者からも個人補償取得?
金融庁は昨年12月27日、平成29年10月〜30年3月まで全国の548の金融機関を対象に実施した調査によると、中小企業が事業承継をする場合に、金融機関が新たな融資の為に旧経営者から取得済みの個人保証を解除せず、新経営者からも2重に個人保証を取得するケースが36.3%あったことが明らかにしました。
このうち、旧経営者の個人保証を外し、新経営者からも個人保証を取らなかった融資は、わずか9.5%の3,438件にとどまりました。
中小企業の経営者は高齢化しており、後継者不足に悩み、金融機関は融資先の倒産に備え個人保証を求め、その負担の大きさから事業承継から廃業を選択する中小企業も増加しています。
融資は中小より大企業中心?
政府系金融機関の「経営者保証に関するガイドライン」に基づいた融資では、平成26年に1兆4,801億円から29年には2兆6,189億円と倍増しているものの、融資先件数では約1.5倍と大きくは伸びていないのが実態です。
経済産業省中小企業庁では、中小企業にガイドラインの積極的な活用を金融機関へ取り組みを促していると言うものの、実態は大企業への融資が多くあるものと思われます。
「経営者保証に関するガイドライン」が発行されたのは平成26年2月で、4年近くたっても中小企業、小規模事業者へは十分に届いて居ないことが理解出来ます。
金融庁、12地銀を調査
全国銀行協会などは、平成26年に保証の指針である自主的ルール「経営者保証に関するガイドライン」を導入したものの、金融庁では、過度に個人保証や担保などに依存しない融資を金融機関に求めており、地銀12行に実態調査に乗り出しています。
個人保証は金融機関にとっては「保全」が目的ですが、金融庁では、「日本のものづくり」の阻害に要因になっていると考慮しており、金融機関へ対応を要請して居ます。
ガイドライン、個人補償を免除、軽減するはずでは・・
「経営者保証に関するガイドライン」は、中小企業や小規模事業者の新たな事業展開や早期再建に向け金融機関が経営者から取得する個人保証を免除・軽減する為の指針です。
平成26年2月に適用を始め、法人と個人の資産区分や適切な情報の開示によって個人保証がなくても融資を受けられることが盛り込まれましたが、実態は4割の旧経営者、新経営者が個人保証を取られているのが実態です。
金融機関では、事業再生や破産手続きの場合でも経営者が誠実に対応すれば金融機関は、保証債務の免除の要請に応じるとして居ますが、その割合はどの程度かデータが注視されます。
●関連記事:「金融機関の中小企業向け融資が活発化!低金利・景況感改善が要因?銀行本来の業務へ」[2018.10.30配信]
[2019.1.8]
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