建て過ぎ?「タワーマンション」リスク!負動産化が懸念
廃墟化していた地域が高層マンション群へ
首都圏の湾岸地域の豊洲や勝どきなどは、バブル崩壊後に工場や倉庫、流通センターなどが破綻し廃墟状態に至ったものの、この10数年で大きく風景が変わり、いくつものタワーマンションが立ち並ぶ地域となりました。
都心へのアクセスも良く、部屋からは雄大な東京湾や都心を見下ろせ、販売は好調そのもので即日販売も数多く見られました。
多くの人々が湾岸地域に集まり街を活性化させ経済的にはプラスとされてきましたが、ここ数年は「住宅過剰」が指摘されるようになってきました。
日本は少子超高齢化で平成29年には出生数が初めて100万人を割り、人口も毎年確実に減少しています。空き家は増加傾向にあり、これ以上誰のために住宅を作るのかが懸念されるようになりました。
東京五輪後には湾岸地域人口、8万人から14万人超えに
東京都によると、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年、中央区、江東区の選手村周辺の人口は2014年の8万6,000人から14万6,000人に増え、将来的には約19万人になると予測しています。
住宅ローンは超低金利を推移しており、共働きで職場と住宅の近さがライフスタイルとなり、さらに不動産投資の活発化もタワーマンション建設のニーズを高めました。
ただ、購入時の部屋からの風景は眺望が良かったものの、相次ぎタワーマンションの建設で風景が阻害され一変するという問題も、対策は何もできないのが実情です。
バブル崩壊後、規制緩和で都心に人口集中
この現象は、バブル全盛期に地価が異常に高騰し都心は人口減となり、国や東京都は都心住居を目的に平成12年以降、容積率を大幅に緩和し、高さ100mを超えるマンンションも建設できるようになりました。
この規制緩和によって都心に人口が集中し、地方が過疎化するという新たな問題が起き、アベノミクスは「地方創生」を掲げたものの、ライフスタイルの大きな環境の変化で湾岸地域の人口が増え、マンション価格は5千万円を超える最高値となりました。
オリンピック・パラリンピック開催後、さらに20年、30年先、湾岸地域の人口はどうなっているのかが懸念されます。
高度経済成長期に人気だった多摩ニュータウンは今・・
日本は昭和の高度経済成長期に、都心のベットタウンとして多摩ニュータウンが建設され、職場まで1時間以上かけ満員電車で通勤するのが当たり前の時代でした。多摩ニュータウンは、建設から半世紀近く経ち、建物は老朽化、住民は超高齢者と空室もかなり目立ち資産価値は減少し続けています。
ただ、湾岸地域のタワーマンション群は、丸の内や日本橋、銀座などへ数分で通勤でき、価値は多摩ニュータウンとは異なるでしょう。また、30〜40歳代世代が多いため極端に高齢化することはなく、資産性もある程度は確保される可能性が高いと考えられます。
ただ、湾岸地域の人口増加に伴い保育園や小学・中学校、商業施設などが必要となり、生活利便性が問われることになります。
日本銀行によると、平成29年に不動産向け融資額が前年を下回ったと、ようやく建設ラッシュの限界なのか今後の動向が注視されます。
●関連記事:「タワーマンションの固定資産税、相続税引き上げ/高層階の節税にメス」[2016.12.21配信]
[2018.2.12]
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