東日本大震災、被災企業を支援する「再生支援機構」債務縮小のはずが全額返済?
二重ローン問題、解決せず支援期間を延長
平成23年に起きた東日本大震災から7年が過ぎ、地震や津波で被災した企業の二重ローン対策を支援する「東日本大震災事業者再生支援機構」の支援期限。
本来は、今年2月22日まででしたが、今年1月に2021年3月末まで3年延長する法改正案を全会一致で可決しました。
同機構によると、震災前の債務負担が大きい企業が依然として多く、二重ローン問題を解決して地域を発展させたいと述べています。
二重ローン問題は、企業によって状況が千差万別であり、再建しても資材や人件費の高騰などで運転資金が見込み額よりもかさんでいるといいます。
さらに、東京電力福島第1原発事故の賠償期限後の対応も不透明であり、資金繰りに懸念が残る状況です。
被災企業の債権を安く買取り、企業の負担を軽減、早期再建へ
「東日本大震災事業者再生支援機構」は、被災企業支援のために平成24年3月に業務を開始し、企業のほか個人事業者が震災後に新たな資金の借入れで債務を抱える二重ローンの負担を軽くするため発足。
銀行など金融機関から債権を元本よりも安く買取り、リスケジュール(条件変更)や一部債務を免除し、企業の負担を軽減し再生させることが目的です。
同機構へは、6年間で2,729件の相談依頼があり、740件の支援を決定しましたが、この件数を多いと見るか少ないと見るか。
平成27年10月からは、被災企業の商品・販路開拓支援や、営業戦略・経費削減の発案、資金繰りアドバイス、スポンサー紹介など「ソリューション事業」を開始し、これまで353社をバックアップしています。
被災企業、債務軽減してもらったのに・・・・全額返済?
ただ、被災企業の再生を支援する「東日本大震災事業者再生支援機構」が、金融機関から債務を安く買取ったにもかかわらず、企業へ元本全額を返済させたことが、10月28日に判明。
宮城県の運送会社が、元本を全額返済させたのは同機構の不当利益として、差額の約2億6,000万円の返還を求め、東京地裁へ提訴しました。
債務の負担を軽減し、企業の再生を支援する機構の設立趣旨に反するとしています。
同機構にも言い分はあると考えられ、今後の展開が注目されます。
自然災害、年々増加?企業、個人の負担が懸念
今年は、例年になく地震や台風に豪雨・土砂災害・河川氾濫など相次いで自然災害が起き、企業や個人に大きな被災を与えました。
企業では、設備投資した工場や機械が損失したり、個人では、ようやく手に入れたマイホームが全壊したりと、ローンだけが残り新たな修復、再建に再び資金が必要となり、二重ローンは未だ解消されていないのが現状です。
地球温暖化により、自然災害は年々増えると考えられ、国土交通省では、「洪水」や「津波」、「土砂災害」などリスクをハザードマップで細かく知ることができるようにしました。
自然災害はいつ起こるかわからず、企業、個人も常にチェックし損害、火災・地震保険など十分検討する余地があります。
▼国土交通省:「わがまちハザードマップ」
●関連記事:「東日本大震災、二重ローン支援対策3年延長!震災復興へ金融支援」[2018.1.19配信]
[2018.11.13]
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