二重ローン問題解消「東日本大震災事業者再生支援機構」3月5日発足
東日本大震災事業者再生支援機構:被災事業者の既存ローンを凍結
政府は2月23日、震災で被災した事業者などの二重ローンを買取る「東日本大震災事業者再生支援機構」を設立したと発表しました。同機構は、震災や原発事故などによって工場や農業地、医療施設など被害を受け、過大な既存ローンが残る事業者の二重ローン問題を解消を目的とします。
被災した事業者は、再建に向けた新らしいローンと、震災前までの既存のローンが二重となり負担が大きくなるため、同機構が既存ローンを買取り事業者の負担を軽減。さらに事業者へ助言やアドバイス、専門家を派遣し事業の再建を支援します。
支援対象地域:農林水産出荷制限地域にも拡大、11道県227市町村
支援の対象となる事業者は、資本金5億円未満、従業員1,000人未満の小規模事業者や農林水産業、医療・福祉事業者が対象となります。政府は2月23日までに東日本大震災事業者再生支援機構法による指定地域に、原発事故による農林水産物の出荷制限指示地域などの地域を拡大、11道県227市町村を対象としました。
相談など業務は3月5日から開始、3月上旬交付を目指す。
同機構は、実務を担う本店を被災地・仙台市に設置し、情報収集や省庁間の調整を担う本部を東京に設けました。同機構では現在、支援決定の条件や基準を策定中で、相談など業務は3月5日から開始され、3月上旬、被災事業者への交付を目指します。
既存ローン買取り額、5,000億円は政府保証
同機構の主な業務は、金融機関などから既存のローンやリース残高を買取り、最長で15年間保有。一定期間返済を凍結し、被災事業者の負担を軽減させ再建を支援します。既存ローンの買取り価格は、事業再生計画や被災地域の復興、再生支援後の事業者の経営状況の見通し、さらに担保財産の価格の見通しなどを勘案した適正な時価としています。同機構では、市場から資金調達をしますが、その買入れ限度額の5000億円については政府保証となっています。
専門家のアドバイスや助言、派遣につなぎ融資の拡充、対象事業者の拡大など小規模事業者や農林水産業などにとって使い勝手が良さそうな支援策となりそうです。
既存ローン買取に2機構2本立てで支援:偏りはないのか?
同じような業務内容で支援対象を中小企業などに絞った「産業復興機構」は、すでに昨年11月から被災地4県に設置され、約1,000件の相談が持ち込まれています。しかし、民間の金融機関も出資している事から「二重ローン問題解消」に至ったのはわずか2件。国が100%保証する「東日本大震災事業者再生支援機構」へ相談者が戸惑う姿が見えてきます。
被災した事業者、企業を再建させる二本立ての機構は、中小企業基盤整備支援機構など国や自治体、民間の金融機関など各々の役割、立場はあるものの目的は、自力で再建できない事業者、企業の再建です。震災から既に1年が経っています。素早い対応で1件でも多く救済できることを切に願います。
●関連記事:機能しない「産業復興機構」:二重ローン問題1,000件相談なのに解消たったの2件!?、不満から新たな機構設立の声[2012.2.16配信]
[2012.2.27]
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 二重ローン問題解消「東日本大震災事業者再生支援機構」3月5日発足
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.h-yagi.jp/mt5/mt-tb.cgi/787
コメントする