条件なし!二重ローン15年長期猶予「㈱東日本大震災事業者再生支援機構法案」問題は買取り財源
台風、洪水被害:企業救済の前例に期待
民主党と自民、公明両党実務者は10月18日、東日本大震災で被災した中小企業や農漁業者の二重ローン問題の対策として、国が金融機関から既存ローンを買取り、最長で15年返済を猶予する支援をすることで一致、20日からの臨時国会で成立させるとしています。
被災企業の救済策はこれまで、事業の継続、再建が見込める事業者に対しての救済策は決まっていましたが、このような条件をなくして長期の返済猶予など幅広く救済することは阪神・淡路大震災でもなくはじめてのことです。この法案は東日本大震災に適用されますが、台風や洪水被害など大被害となった場合の前例にもなりそうです。
野党:既存ローン買取額は2兆円?政府は数千億円程度
二重ローン問題の救済策は自民、公明党など4野党が7月27日に参議院復興特別委員会に提出した「株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法案」がベースとなります。問題となるのは既存ローンの買取り額で、同法案では2兆円が想定されていますが、政府、民主党案では、財源の確保問題から1,500~2,000億円を見込んでおり大きな開きがあります。
最終的な買取り額は3,000億円程度とみられ、11月中の成立を目指すとしています。8月22日からは個人向け二重ローンの救済策、「個人私的整理ガイドライン」が策定され、相談を受け付けています。
岩手県:11月から既存ローン買取
被災地の岩手県では10月3日、被災事業者の二重ローン問題への対応に、盛岡商工会議所内に「岩手県産業復興相談センター」を設置。同センターでは、中小企業や個人事業主、農林漁業者など幅広い事業者を対象に、二重ローン問題解決への相談や事業計画の確認、買取りファンドとなる「岩手県産業復興機構」への買取り要請などの業務をこなします。
経済産業省と岩手県では、県と県内の金融機関が「岩手県産業復興機構」へ出資することで合意しており、11月に設置が予定されています。同機構では、事業の再建に向け資金調達ができない事業者の既存ローンを買取り、新たな融資を発生させ支援。中小企業基盤整備機構が8割、県と金融機関が2割出資します。
福島県:岩手に続き産業復興機構創設
産業復興機構は福島県でも設立する方針を明らかにしており、今月中に設立準備会が開かれます。県によると支援対象になるのは事業再生が見込めると判断された中小企業や農業組合、医療法人などで、これらの事業者の既存ローンを金融機関から買取り、利子や元本返済を5年程度凍結後、放棄や売却などにより整理します。
震災から7ケ月が過ぎ、二重ローン解決に向け既存ローンの長期猶予や免除など、ようやく具体案が見えてきました。事業者や個人の住宅ローンなど二重ローンの負担となれば、再建へ向けた意欲も出てこないでしょう。あらゆる優遇措置や法案などを検討、議論を重ね、今後も中小企業支援策に期待です。
[2011.10.22]
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