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被災地メーカーは復興ファンドで二重ローン解消、事業継続/政策金融公庫:復旧・復興融資1万件超

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達増知事:岩手復興特区提言「被災企業、法人税10年免除、二重ローン解消」
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政府は6月4日、首相官邸で第8回目となる東日本大震災「復興構想会議」を開き、達増岩手県知事から、「岩手復興特区」についての提案を受けました。復興特区は、住宅ローンや設備資金など個人、企業の二重ローン対策や漁業の再生、街づくりなど7分野に分けられ、各々規制緩和や税制優遇、特例措置などが盛り込まれています。
1次産業は、漁船や定置網の整備などの金融支援や、岩手産の木材を活用した住宅建設、木質バイオマスエネルギーなど林業再生支援を要望。地域医療では再構築を図り、医療・福祉施設の復旧補助や、医師不足を補うためにテレビ会議システムを取り入れた遠隔診療の促進が提言されました。被災企業にとって切実な法人税や固定資産税などは10年間免除とする仕組みを求め、公的なファンドの組成で融資残高買取りなどの中小企業支援も含まれました。知事は、特区構想に県や市町村の財政負担の圧迫を懸念、「早く2次補正予算を実現させてもらわないと困る」と訴えています。首相、前首相の間で「言った、言わない」と、あげくのペテン師呼ばわりには、被災者の呆れ顔が目に浮かびます。

高い資金需要業種:小売、サービス、飲食、宿泊で6割
政府系の金融機関の日本政策金融公庫(政策公庫)は6月6日、震災による被害を受けた中小企業や零細企業、農林漁業者への融資実績を発表。融資は震災後、5月25日時点で10,719件で融資額1,051億円となりました。融資先の業種別構成比では、小売業が25%、サービス業が20%、飲食・宿泊業で19%と多い順で、震災による消費低迷や風評被害、電力供給不足と影響を受けやすい産業の裏付けとも見られます。
政策公庫は、第1次補正予算の成立を受け、「復興特別貸付」を創設し、被災企業、農林漁業者向けに金利引き下げなどの措置を拡充。同公庫では、震災直後は運転資金確保のための融資依頼が多かったものの、最近では、事業再生に向けた設備の復旧費に利用する企業が増えているとあります。被災地の信用保証協会の保証承諾数も前年同月を超えるなど、復興需要に地域の活性化が期待されます。政府系の金融機関では他に日本政策投資銀行(政投銀)や商工組合中央金庫(商工中金)がありますが、いづれも被災企業には低金利で融資され、震災後から4月末までに731件、融資額649億円が融資されています。被災企業は復旧を急ぎ、成長産業などへ事業参入するなど復興への資金需要に政府金融支援を有効活用したいですね。セントラル総研でも、もちろんお手伝いいたします。

再生支援協議会:政府保証付き「中小企業再生ファンド」新設も昨年度の利用は8件
政府、与党は6月6日、岩手特区構想で提言のあった二重ローンの対策について、中小企業再生ファンドを被災各県に新設し、中小企業の融資残高を買い取り再建を支援する方針を固めました。ファンドは中小企業の再生を手がける中小企業基盤整備機構と地域の民間金融機関が共同で出資、設立し、政府が同機構の発行する債券に保証を取り付け資金を調達します。同機構では震災前、福島県に中小企業支援のためのファンドをすでに設立しており、宮城、岩手県にも同様の再生ファンドが新設されます。
ファンド活用の対象企業選定には、事業の収益性、将来性などを見極めねばならず、各県に設置されている中小企業再生支援協議会が増員を図りその役割を果たします。同協議会は、商工会議所や連合会、政府系・民間金融機関、自治体などで構成され、関係者間の連携で中小企業の再生を支援。平成22年度(平成22年4月~平成23年3月)の再生実績は、窓口相談企業数1,929件に対して再生計画の策定支援を完了した企業数は364社となっています。このうち策定支援の手法では、中小企業金融円滑化法「リスケジュール(条件変更)」が88%と圧倒的に多く、「ファンドの活用」はわずか2%の8件にとどまりました。

得意技術を生かし成長分野参入に復興ファンド活用も
経営・営業サポートを通じ、世界に通用する技術力、競争力をもつベンチャー企業に育成、支援する東北イノベーションキャピタル(仙台市青葉区本町1-1-1 代表取締役:熊谷 巧氏)は6月3日、環境、エネルギーなど成長分野で技術力のある中小企業に投資し、地域の雇用創出効果を高め、復興に繋げる地域復興ファンドを設立を発表しました。同社では平成16年より東北の官民出資で設立した総額31億8,000万円の「東北インキュベーションファンド」など3つのファンドを運営しており、技術力などで海外と競争力のある企業を創出と実績をもっています。

復興ファンド東北リバイバルファンド(仮称)は二重ローンの解消を目指す
新しく設立する復興ファンド「東北リバイバルファンド(仮)」は、目業額を当初10~20億円とし、東北の金融機関や企業、団体のほか、東京の機関投資家にも出資を呼びかけ来年の夏には40~50億円に増額とありました。国はもたもたしていますが、被災現地では、震災被害にあった企業を支援してゆく体制強化が着々と進んでいます。二重ローン問題を解消、さらには企業に技術力や競争力をつけ、海外新興国などの成長市場で事業拡大など、復興に向けた支援策が見えてきました。設備資金などには政府系金融支援も有効になるでしょう。また、ファンドからの資金調達に関して知識や馴染みがない方も多いと思いますが、しっかりとした計画に基づいて調達すれば、大きな力になります。もし、ファンド活用を希望されるならば、私たちセントラル総研がお手伝いいたします。一方、ファンド側は「広く浅く」という日本的な発想、つまり中途半端な支援ではなく、資金支援を含めてしっかりと支援するファンドとして力を発揮してほしいと要望します。


[2011.6.9]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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