知っていますか?国の住宅二重ローン買取りのしくみ!リスケ5,900件に対し買取り相談は1,500件
金融庁、金融機関調整中:被災住宅の抵当権を放棄で集団移転促進
東日本大震災の津波で住宅を失った被災者の住宅ローンの抵当権を、民間の金融機関が放棄する方向で調整していることが10月12日にわかりました。近く、金融庁と金融機関が「被災地の特例措置」として合意する見通しです。
政府系金融機関の住宅金融支援機構では、すでに抵当権放棄の方針を示していましたが、銀行や信金、JAバンクなどの民間金融機関では不良債権化を恐れ消極的でした。自治体では進まぬ集団高台移転に金融庁へ金融機関の抵当権放棄を要請、調整を進めていました。
自治体が被災住宅を買取り移転先宅地を用意
金融機関では、被災によって住宅の資産価値は低下したものの、抵当権を放棄すればローンの残債回収は困難となりますが、自治体が土地を購入することで購入資金をローンに充てる考えに傾きました。集団での高台移転計画では、自治体が土地を買取り、移転先の宅地を用意。被災者と賃借契約を結び借地料を長期間無料にすることを想定。家屋は被災者が建てることとなります。
復興庁では、被災地3県の集団移転は3万件を超えると見込みんでおり、抵当権放棄によってようやく新しい街づくりが前進します。震災から1年半以上、あまりにも時間がかかり過ぎです。
国の被災住宅買取りシステム:私的整理ガイドラインの存在は?
被災者の二重ローンを減免する「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」は、被災者の迅速な生活再建、自力再生のために新設されました。ガイドラインでは、住宅を失った被災者と金融機関の合意に基づき、残った住宅ローンの全て、または一部減免する内容となっており、調整する弁護士などの費用も昨年度約10億円を計上しています。
金融庁の「東日本大震災以降に約定返済停止等を行っている債務者数及び債権額」によると、住宅ローンをリスケジュール(条件変更)している件数は、今年6月末時点で5,901件。既往ローンを買取る「産業復興相談センター」への相談件数は10月5日現在で1,511件。このうち買取りが決まったのはわずか3%の50件です。
リスケ中の住宅ローンも私的整理ガイドライン適用
五千件を超えるリスケジュールに住宅を失った被災者は、一時的に返済の負担を軽減し、生活再建支援金や義援金により生活再建を目指したことが伺えます。金融庁では震災でリスケジュールした件数を把握し、努力義務を果たした金融機関は債権を抱え込み、復興の進まない自治体が「被災地の特例措置」を要請する構図が見えてきます。
本来は、私的整理ガイドラインを活用し、住宅を失った被災者の住宅ローン負担を軽減するシステムが、被災者に充分伝わっていないようです。二重ローン買取りは、リスケジュール中の住宅ローンにも適用されます。お早めに「産業復興相談センター」へ相談して下さい。
▼二重ローンや事業の復旧・復興の相談:「産業復興相談センター・産業復興機構」
●関連記事:「二重ローン問題解消「東日本大震災事業者再生支援機構」3月5日発足」[2012.2.27配信]
[2012.10.17]
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