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日銀短観「コロナ第2波」が懸念!大企業以上に中小も厳しい状況

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リーマン・ショック後以来11年ぶりに低水準
日銀は7月1日、6月の短観(企業短期経済観測調査)を発表し、大企業製造業の景況感を示す業況判断DI(Diffusion Index:各種判断を指数化)がマイナス34と、リーマン・ショック危機後の平成21年6月調査以来11年ぶりの低水準となりました。
悪化幅は、同年3月に次ぐ過去2番目の大きな落ち込みとなり、新型コロナウィルスの感染拡大が多きく影響しました。
日銀短観は、日銀各支店が年4回、業況感に関して直接企業経営者に送り回答してもらうもので回収率も7割と高く、他の経済指標に比べ、速報性にすぐれ、企業が認識している業況判断を見るためにも貴重な指標となっています。
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自動車産業に大きな影響、マイナス幅が拡大
日本の経済にとっては、新型コロナウィルス感染拡大が大きなブレーキとなったことが短観の数値からも読み取れ、大企業製造業の業種別では、特に大きく悪化したのは自動車で、前回調査から55ポイントも落ち込みました。
自動車産業は、部品など裾野の幅広い産業で、下請けとなる中小企業や小規模事業者へも大きな影響を与えます。
また、大企業非製造業でも業況判断DIはマイナス17と、前回のプラス8から大きく悪化しており、遊園地や演劇など対個人サービス業が64ポイント減少し、宿泊・飲食サービス業でも32ポイント下落するなど、人の移動が制限された影響が数値に出ました。

中堅・中小企業の先行き、さらなる悪化を見込む経営者
一方、中堅・中小企業は大企業以上の悪化を示しており、大企業では製造業、非製造業とも先行きは若干ながら改善を見込んでいるものの、中堅・中小企業では先行きもさらなる悪化を見込んでいます。
国も中堅・中小企業に対し、第二次補正予算や日銀による金融支援策などを通じ、今後、どれほど緩和できるか動向が注視されます。
訪日外国人客数の急減など、日本経済が元に戻るには相当な時間がかかると考えられ、回復は緩やかなものとなりそうです。

中小金融支援、融資残高は増加
中小企業にとって、金融機関による融資など支援策は経営者にとっては心理的にも安心感を与えるもので、5月の全国銀行の貸し出し残高の伸び率は、前年同月から6.4%増え、統計を始めた平成10年10月以降で最高を記録しました。
また、信用保証協会の100%保証も復活し、貸し倒れリスクの懸念がなくなった金融機関は争うように融資を伸ばしています。
新型コロナウィルスが長期化した場合、企業が借りられる臨界点に達する可能性も高く、融資審査が緩和されても、返済能力を超えた借入には注意が必要です。


[2020.7.7]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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