世界遺産登録で活気、平泉、松島、会津/地域最大ホテル「武蔵坊」が民事再生を申請
外国人呼び込む「地方拠点」:東北から会津若松、仙台・松島、平泉を選定:観光庁
観光庁が外国人観光客の受入環境を重点的に整備する「地方拠点」として、東日本大震災の影響で選定を見合わせていた東北地方においては、福島県の会津若松、宮城県の仙台、松島、岩手県の平泉の3地域を選定しました。安心して快適に観光を楽しめる環境を整備することで今後増加が見込まれる外国人観光客の満足度を高め、リピーターを育てることを目的とした取り組みです。今後は観光庁をはじめ、地域の関係団体や住民組織、旅行業者が連携して、現地の観光案内や看板を必要に応じて多言語表記に改めるなど、外国人旅行客が訪れることを踏まえた受け入れ環境を整備します。ハード面の充実は大変結構なことですが、外国人リピーター客の育成に不可欠なのは「ソフト」。言葉などのコミュニケーションです。
会津若松「世界への観光拠点に十分」/「平泉文化の先駆けは横手」世界遺産登録で東北全体に活気波及
会津若松市で6月26日に開催された復興支援イベントに合わせて行った記者会見では、溝畑宏観光庁長官は会津若松を「十分に世界への観光拠点となるポテンシャルがある」と評価。東日本大震災からの復興を後押しするとしています。
国内旅行においても、ボランティアを兼ねた東北へのツアーが人気を集めるなど、変化が生じています。長年の悲願がようやく叶った岩手県平泉町ではすでに国内外から訪れる観光客に対して歓迎ムードに沸いているのはもちろん、お隣秋田県の横手市では「平泉文化の先駆けは横手だ」と名乗りを上げ、取り組むとしています。
駅舎リニューアル、限定ビール/地域のムード刷新に各社後押し
JR東日本盛岡支社は、東北本線平泉駅を全面的にリニューアルすることを決定しました。また、アサヒビールは平泉の文化遺産が世界遺産に登録されたことを記念してスーパードライの「平泉文化遺産」ラベルを東北6県限定で発売、売上1本につき1円を岩手県に寄付するとのことです。地元のメーカーや各産業も、大手に負けじと商品開発やサービスの充実を急いでいます。
弁慶の里、平泉最大の和風観光ホテル「平泉ホテル武蔵坊」民事再生へ
ところが、この平泉町内最大の観光ホテルが倒産したとの報せがあり仰天しました。㈱平泉ホテル武蔵坊(岩手県西磐井郡平泉町平泉字大沢15、代表:鈴木和博氏)は6月29日、盛岡地裁一関支部に民事再生法の適用を申請。東京商工リサーチによると、負債総額は約9億500万円です。
やっと客足が戻ってきたこの地域にとっては、なんとしても同社の立て直しを望みたいもの。矢の雨を浴び仁王立ちのまま往生した弁慶の名を負うからには、力の限り地域を強く支えて欲しいと望みをかけています。
事実、平泉の世界遺産登録後は予約も増えているとのことで、現在も営業を継続。55名の従業員の雇用も維持し、今後の健全経営を実現させることを目的に、民事再生法適用によって債務圧縮を図る方針です。
東北の救済「無用の倒産」こそ救済の手/菅政権の犠牲者
ホテル武蔵坊は地域でもトップクラスの施設を有する観光ホテルで、平泉の世界遺産登録を見据えて外国人観光客の受け入れ態勢の整備に力を入れていました。しかし、慢性的な債務超過に加え、東日本大震災の影響で営業できない状態が約1か月続いたことにより資金繰りが大幅に悪化し、今回の申請に至っています。まさしく、震災さえ起きなければ必要のなかった倒産と言えましょう。いまだ大揺れしている日本経済の立て直しのためには、このような企業にこそ、一早く救済措置を講じる必要があります。
●関連記事:外国人の「日本離れ」で冷え込む国内観光産業/旅行者の掘り起こしに新機軸[2011.5.28配信]
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[2011.7.4]
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