東北の海運再開:一番船出向!/宝の海:漁業再開は冷凍設備/東北道無料⇒6月20日から
海運復興の一番船就航、仙台塩釜港「はるかぜ」大船渡港「第10日徳丸」
東日本大震災の津波により甚大な被害を受けた宮城県の仙台塩釜港。昨年のコンテナ取扱量は約22万個分で、東北に九つある国際港の6割以上を占め東北最大の貿易拠点です。ところが、震災により多数のコンテナや専用クレーンが流失、破壊されその機能を失っていました。「完全復旧にはおよそ2年」との見通しが立てられていますが、6月8日、震災後初めてコンテナ船「はるかぜ」(749t)が出航しました。
仙台塩釜港コンテナ船「はるかぜ」輸出用タイヤ
はるかぜに積載されたのは同県岩沼市の東洋ゴム工業仙台工場で製造した輸出用タイヤ。仙台港からの主な出荷品としては、紙・パルプやタイヤ・自動車部品などがあります。東北の自動車工場の稼働率が高まりつつあるなかで、仙台港の復活が待望されていました。この国際物流の再開が、東北経済の復興に弾みをつけると期待されます。
岩手県大船渡港貨物船「第10日徳丸」セメント原料
岩手県大船渡市の大船渡港でも6月11日、震災後初となる貨物船「第10日徳丸」(748t)が、同県一関市のセメント工場に運ぶセメント原料2,040トンを積載して入港しました。震災発生以降、港湾を行き来するのは支援船や復旧作業用の船舶ばかりでしたが、3ヶ月が経過し、地元にとっては待ちに待った復興の一番船です。
東北の宝の海:カツオ・ウニ・わかめ・鮑・フカヒレ・サンマ・ホヤ/製氷工場、冷凍倉庫復旧急ぐ
夏に向かい、東北の海の街ではカツオの水揚げやウニ漁なども僅かずつながら再開しています。ただし、現地の漁師たちは水産庁から海岸のがれき撤去作業も請け負っているため、今年は週に1回程度の漁になるとのことです。わかめや鮑、フカヒレ、サンマ、ホヤ、東北の海産物を数えればキリがありません。三陸沖は世界中でも名高い宝の海です。一刻も早く取り戻したいと切望しています。漁業再開に伴い、海産物用の冷凍倉庫や水揚げに必要な製氷工場の復旧についても早急な対応が必要です。
宮城県石巻市では、冷凍庫を協業組合方式での再建を目指す方針を示しています。また、今回の震災の津波被害を受けて、建設場所については従来の港の後背地から内陸部へ移すことも検討しているとのことです。
宮城県女川町では、町内にあった3つの製氷工場が津波被害に遭いましたが、サンマの漁期である8月末を目途に、被災前の2分の1程度まで稼動率を上げる見通しです。女川魚市場買受人協同組合では「サンマの水揚げがなければ女川の復興はありえない」として、仮設の自動製氷機を魚市場の背後地に建設することを計画。また、民間の製氷工場に対しても再稼働を働き掛けています。地域産業の柱であるサンマの水揚げ復活を後押しするため、女川町では1億円を限度に補助金を支出する方向で調整が進められています。
いずれにしても、本格的な漁業再開には膨大な資金が必要です。国による融資制度の枠組みは示されたものの、限度額など具体的な中身が明らかにならず、現場ではもどかしさに喘いでいます。
池口国交副大臣:東北道、全車種無料通行を計画/20日から被災者対象に無料開放
国土交通省は6月1日、東北地方の高速道路の無料開放を20日から実施することを発表しました。東日本大震災による被災者と原発事故による避難者が対象で、最低1年間実施されます。また復旧・復興の物資輸送のため東北地方の中型車以上のトラック・バスについても無料開放するとしています。池口修次国交副大臣は民主党国交部門会議の席上で、2次補正で年間1,600億円程度の予算を確保できれば、本格的な復旧・復興支援として東北地方の全車種について1年間無料とする計画を示しました。
復興、復旧のスピードアップ念頭に、「罹災証明書」「被災証明」柔軟な対応を!
現時点では、被災者は自治体が発行する「罹災(りさい)証明書」「被災証明書」などを料金所で提示することで料金が無料になります。多くの自治体で証明書発行の増加が予想されるため、早くも懸念の声が上がっています。被災地では証明書発行よりも復旧作業に人員を投下したいところ。これについては、免許証の現住所で確認を行うなどの方がよいのではないでしょうか。自治体の手間を増やすのではなく、どうやって復旧・復興のスピードを上げるかを念頭に置いた施策を求めます。
[2011.6.16]
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