筑豊の炭鉱画が「記憶遺産」、防災モニュメント/石巻日々新聞「壁新聞」:震災の記録保存
ユネスコ記憶遺産:筑豊の炭鉱画登録決定
世界の貴重な古文書や映像などを人類の財産として保護することを目的としたユネスコ(国連教育科学文化機関)の「記憶遺産」に、福岡県・筑豊の炭坑の生活を描いた山本作兵衛氏(1892~1984)の絵画や日記およそ700点が登録されることが決定しました。日本からユネスコ記憶遺産へ登録されるのはこれが初めてのことです。ユネスコでは平成4年から登録を行っており、これまでには「アンネの日記」や、フランスの人権宣言、ベートーベンの「交響曲第9番」の直筆の譜面などが、登録されています。
石炭・歴史博物館/世界遺産登録で地域浮揚につなげたい
記録画を所蔵している田川市石炭・歴史博物館(福岡県田川市大字伊田2734)の安蘇龍生館長は「長年、炭坑労働を経験した人が絵や文章を書いたことがドキュメントとして世界的に高い価値が認められたことはすばらしく喜ばしいことだと思う。筑豊の代表的な文化の発信につながると思って、これからも記録画を大切にしていきたい」とコメント。「九州産業遺構の世界遺産登録運動とも連携し、地域浮揚につなげたい」と県に協力を要請しています。
自然、文化、記憶:世界に誇る日本の宝
今回の記憶遺登録に先駆けて、国内では自然遺産に小笠原諸島、文化遺産に奥州・平泉が登録される運びとなっています。それに続いての記憶遺産登録は、地元だけでなく、日本中に大きなエネルギーを与える喜ばしい知らせです。
また、東日本大震災の被災地でもある仙台市の博物館が所蔵する、伊達政宗がヨーロッパに送った使節に関する資料などが次回の登録候補として推薦されることも決定しています。世界遺産という大きな看板を負わずとも、大きな時代の変化を乗り越えたもの、あるいはその変化を記録したものも、私たちにとって貴重な財産であることは間違いありません。
屋上乗り上げたバス「防災モニュメント」に!調査チームが提案
東日本大震災の被災地である宮城県石巻市では、2階建ての公民館の屋上に津波で流された大型バスが乗り上げたままとなっており、街を壊滅させた津波の大きさを物語っています。県内の大学教授らで組織する調査チームは、この公民館を震災の被害を後世に伝える「防災モニュメント」として現在のまま保存するように石巻市などに提案しています。
同教授らは、同じく津波の被害を受けて骨組みだけになった同県南三陸町防災対策庁舎なども候補として検討しています。
米で大絶賛:手書きの壁新聞「時代を超えたメッセージ」/石巻日々新聞
石巻市の石巻日日(ひび)新聞(宮城県石巻市双葉町8−17、代表取締役社長:近江弘一氏)は、震災の被害を受けて輪転機が使えなくなったにもかかわらず、報道の本分を果たすべく、手書きの壁新聞を震災後6日間発行し続けました。この奮闘振りが米紙「ワシントン・ポスト」などで報じられたことがきっかけで、この壁新聞は米国にある報道の総合博物館「Newseum(ニュージアム)」に寄贈され、5月2日から展示されています。
ニュージアムは「この新聞は、人間の知ることへのニーズと、それに応えるジャーナリストの責務の力強い証しである」と紹介し、「時代を超えたメッセージを持った新聞」と賞賛しています。
同新聞は5月14日から、横浜市の日本新聞博物館(神奈川県横浜市中区日本大通11横浜情報文化センター)でも展示されています。当初は5月29日までの展示予定でしたが、6月22日まで延期が決定。甚大な被害を受けながらも、復興に向けた希望を捨てずにペンを握ったジャーナリストの思いを伝えています。
[2011.6.1]
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