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外国人の「日本離れ」で冷え込む国内観光産業/旅行者の掘り起こしに新機軸

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外国人旅行者激減/SARS以来の観光不況
東日本大震災と、大津波が招いた東京電力福島第1原発の事故の発生により、日本を訪れる外国人旅行者が激減しています。
日本政府観光局のまとめによると、今年4月の訪日外国人は29万5,800人で、前年同月比では実に62.5%減となりました。震災発生後から3月末までに記録した73%減と比較すると回復傾向にはあるものの、1カ月の減少幅としては過去最大。月当たりの来日外国人数が30万人を割り込んだのは、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群・SARS)の影響を受けた平成15年5月以来のことで、日本の観光産業は深刻な事態に陥っています。

世界中に広がる日本離れ
国別に見ると、香港87.6%、シンガポール82.6%、台湾67.4%、韓国66.4%、アジア圏の国の減少が目立ちます。比較的低いのは中国ですが、それでも中国49.5%減とほぼ半減。このほか、フランス68.5%、カナダ65.4%、米国55.4%減など、日本離れが全世界に及んでいることが明らかとなりました。
依然続く余震や原発事故に端を発する風評被害などが要因で、外資系企業の中には、一時的に日本駐在員を帰国させる動きや日本への渡航自粛を勧告する国も。国内の観光地では、外国人の姿が目立って減少しています。先日、台東区浅草を歩いてみたところ、浅草寺周辺の仲見世や商店街は観光客で賑わっている様子が見受けられましたが、平時と比較すると圧倒的に外国人観光客が少ないことを実感しました。浅草には外国人観光客を主なターゲットとした土産物店も多く、この事態が長引くことに不安を抱えています。

留学生を日本のセールスマンに/観光庁:国内観光地へ留学生無料派遣を発表
観光庁の溝畑宏長官は5月20日の記者会見で、東日本大震災以降の訪日旅行者数の大幅な減少を受け、在日留学生1,100人を全国の観光地に無料で派遣する事業を新たに始めると発表しました。「受入環境整備サポーター」として、外国人の目線で観光地の改善すべき点を指摘してもらうほか、観光地の現状を母国に向けて発信してもらい、訪日旅行者数の回復につなげるとしています。派遣地域は、東北地方の被災県を含む北海道から沖縄県までの観光地。派遣する留学生は大学などを通じて募集し、早ければ7月にも実施される見込みです。
同庁は「被災県でも、通常どおり営業している観光地がある。現状をきちんと知ってもらいたい」と話しており、東日本大震災で被災した東北地方では「盛岡・八幡平広域観光圏」「会津・米沢地域観光圏」など8つの観光圏に160人の派遣を予定。日本に対する不安払拭と情報発信効果が期待されています。

京都観光誘致にライバル社同士が異例の協力
観光産業の落ち込みは、震災の被害を受けていない西日本にも及んでいます。京都府などが4月に実施した調査によると、東日本大震災の発生後、ホテルや旅館などでは平日の日本人の宿泊利用が例年の5~6割程度まで落ち込み、外国人の場合は予約のおよそ9割がキャンセルとなったことが分かりました。この危機を深刻に受け止め、異例の協力体制を決定したのが西日本の鉄道各社です。
JR西日本、東海の両社は例年、京都市などが主催する夏の観光キャンペーン「京の夏の旅」を後援していますが、震災後の観光不振を受け、京都と関係のある近鉄、京阪、阪急、南海の関西の私鉄4社のほかJR九州や四国にも協力を求め、合同で観光客の誘致に乗り出すことを発表しました。
この国家急迫の事態、いずれの産業においても、独占にこだわっていては共倒れとなる恐れもあります。非被災企業各社は業界全体を活気付けるという意識を持って、積極的にネットワークやノウハウを共有していきたいものです。


[2011.5.28] 

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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