節電対策「クールビズ」前倒し実施/政策より実行!自動車業界「土日稼動」で電力問題に先陣
「クール」から「超(スーパー)クール」、節電対策で商戦は加熱
東日本大震災後、東京電力管内で懸念されている夏場の電力不足は各業界にさまざまな影響を与えています。百貨店やスーパーなどではクールビズ商戦が活発化。ドラッグストアでは暑さ対策グッズの売上が、猛暑を記録した昨年以上の伸びを見せています。
中央省庁などでは節電対策の一環として「クールビズ」を例年より開始を1か月前倒し、5月1日から始めました。環境省では取り組みをさらに強化する必要があるとして、ノーネクタイに留まらず、ポロシャツやTシャツ、職場内ではサンダルの着用も認める「スーパークールビズ」を6月から始める方針を発表。それを受けて、一般企業・団体でも既にクールビズを始めている会社は多く、往来を見ても軽装のビジネスマンが目立ちます。
政府で推進されているとはいえ、夏場でも職業柄ネクタイが必要な人は少なくないでしょう。私たちコンサルタントにとっても悩ましいところですが、なんとメッシュ素材のネクタイも登場しているようです。風が吹けば桶屋が儲かる。情報感性とトレンドに適応した準備は大切です。
製造業リスク分散:相次ぐ西日本への生産移管
電力不足が業績に直結する製造業においては、生産体制を西日本で強化する企業が相次いでいます。飲料大手の株式会社ポッカコーポレーション(東京都江東区木場1−5−25 代表取締役社長:堀 雅寿氏)は 震災後、缶コーヒーの生産を群馬工場から名古屋工場に一時的に一部移管。Honda(本田技研工業株式会社、東京都港区南青山2-1-1、代表取締役社長執行役員:伊東孝紳氏)も、震災後に埼玉製作所狭山工場で行っていた自動車生産を三重県の鈴鹿製作所に移管し、安定稼動を図っています。
ただし、浜岡原発の停止などもあり、中部電力をはじめ各電力会社管内でも節電が必要になる可能性は高く、電力供給の動向に対する不安は拭いきれません。
太陽光・風力発電「限界がある」/自動車業界は土日稼動決定
与謝野馨経済財政相は5月17日の記者会見で、 新しいエネルギー政策として掲げている太陽光や風力などによる発電について「国土の広さからいって、一定の限界がある」とコメントしました。
一般社団法人日本自動車工業会(略称:JAMA、東京都港区芝大門1-1-30、会長:志賀俊之氏)は19日、夏場ピーク時の節電対策として、自動車メーカー各社の工場を土日に稼働し、木曜日と金曜日を休みとすることを発表しました。実施期間は7~9月の3カ月間。部品メーカーも足並みをそろえるようにするとのことです。同会は、メーカーや業界別に交代で稼動する「輪番操業」も提案しており、他業界の参加も働きかけています。国家の緊急課題に対し、国内最大産業が労使合意を超えて、解決に先鞭をつけるこの取り組み。単なる天下り利権団体とは一線を画した業界団体としての存在意義を示しました。
エネルギー改革の期待の翼、ソーラー飛行機が国際飛行に成功
日本国内で電力不足が懸念されるなか、欧州は国境越えに成功した有人ソーラー飛行機が話題を集めています。スイスの民間研究グループが8年前から開発を進めてきたもので、重さ1,600kg、63.4mの主翼部分に約1,200枚のソーラーパネルを張り付け、4基のモーターでプロペラを回して飛行するとのこと。太陽光頼みのため天候に左右される欠点はあるものの、5月13日にはスイス-ベルギー間(約480km)で初の国際飛行に成功したことが報じられました。平均時速約70km、13時間余りかけた飛行は、地球環境に優しく、騒音もない夢の次世代飛行機実現への期待も高まります。
研究グループでは今回の成果も踏まえ、さらに改良を加えながら2年後には世界一周飛行を目指したいといいます。日本での飛行に関しては「状況が許せば震災被災地にも着陸したい」との思いを寄せていました。
今回の震災で私たちが得た教訓の一つに、エネルギー改革の重要性があります。エネルギー政策は「国家100年の大計」と言われ、なかなか重い腰が上がりませんが、このソーラー飛行機のような目に見える取り組みは次世代エネルギーの大いなる可能性とわれわれの生活に直結する分かりやすい例。大いに歓迎したいものです。
[2011.5.21]
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