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復興特別貸付:2倍の3億円へ増額/夏の電力不足!斬新なアイデアで供給を

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消費者支出:前年同月比8.5%減/昭和49年石油ショック上回る減少幅
総務省は4月28日、3月の消費支出を発表。2人以上世帯の家計調査では、1世帯当たりの消費支出は前年同月比8.5%減の29万3,181円となりました。震災を受け自粛ムード、買い控えから自動車や旅行、外食、レジャーなどへの支出が減少し、石油ショックのあった昭和49年2月の7.2%減を上回り最大の減少となりました。同省では4月以降も「見通しが立たない状況だ」としています。

経産省:3月鉱工業指数、過去最大の15.3%減

経済産業省でも同日、鉱工業指数3月分速報を発表。生産動向では前月比15.3%減と過去最大の減少幅を記録し、指数は82.9ポイントと震災の被害によるサプライチェーン(原材料から生産・販売・物流を経て消費者に至る流れのこと。)の混乱など影響が多大であったとあります。これに伴い出荷動向でも同比14.3%減の85.3ポイントと機械工業や化学工業製品に落ち込みがみられました。同省の製造工業生産予測調査によると4月は3.9%増、5月は2.7%増と上昇を予測。震災によって一時的に生産、出荷下激減したものの4月以降回復する見込んでいます。

夏の電力不足対策:GW返上して操業する工場相次ぐ
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製造業では、夏の電力供給不足から節電による生産減少対策に大型連休を返上して操業する工場が相次いでいます。世界の大手メーカーの工場のラインを停止させた日本のサプライチェーン復旧に、自動車部品や半導体、工作機械など需要回復に24時間シフトを組んでフル操業する工場もあります。被災や停電などで操業が停止を余儀なくされ供給に応えられなかった分を一気に取り戻して欲しいところです。

夏の電力不足ならサプライチェーン全体で8,000億円減収

海江田経済産業相は、夏の電力不足対策で使用する電力削減目標を25%から15%に緩和しました。政府の電力需給緊急対策本部では4月8日、夏の電力供給量を4,500万kWと想定していましたが、火力発電所の復旧見通しなどで5,500万kWまで回復できる見通しとなりました。この間にも産業界ではすでに25%削減の計画を立て生産の前倒しや早出出勤などによって目標達成を目指しています。JEITA(電子情報技術産業協会)によると、夏の電力抑制で東京電力、東北電力の供給が7割になった場合、半導体の減収額は1,265億~1,898億円となり、サプライチェーン全体で最大8,109億円の減収と試算しています。昨年の猛暑では6,000万kWに達したこともあり、引き続き電力の確保に最善の策を見いだし夏を乗り切りたいものです。

特別復興貸付:従来の2倍3億円の枠/原発事故も対象
経済産業省は4月28日、震災で被災した中小企業の資金繰り支援に政府系金融機関に新設する「復興特別貸付」の詳細を発表。貸付額は従来の「災害復旧貸付」の2倍に当たる3億円に引き上げ、このうち1億円までは当初3年間の金利を基準金利から1.4%下げ0.35%として第1次補正予算案に盛り込みました。貸付対象は地震や津波によって生産拠点を失った企業のほか、原発事故の被害で移転を余儀なくされた中小企業も対象としています。また、これらの企業と一定以上取引のあった企業に対しても3,000万円を上限に、当初3年間同様に低金利で貸付を実施します。

被災小規模企業金融支援:無担保・無保証人1千万円

一方、従業員が20名以下の小規模企業への融資も拡充し、被災した企業に限り、日本政策金融公庫が通常の融資枠とは別枠で1,000万円の貸付を行います。貸付は無担保・無保証人で当初3年間の1.05%と金利を優遇しています。政府や自治体などでは相次いで企業向けの金融支援が発表されますが、問題は実際の貸付までのスピードです。青森県の造船関連企業では、津波で破壊された漁船の早期修理に発電機や溶接機材などのリースに事業主自ら「借金して用意した」と報道がありました。船を失った漁師のため修理を始めています。政府支援の金融支援、スピードをもって実行してもらいたいものです。

政府、与野党協力した復興予算案に50日に第2次、第3次予算案は?
企業は夏の電力不足による生産減少を見越し、連休返上で供給を急ぐものの、政府の金融支援で貸付が実施されても電力は簡単には買う事は出来ません。衆院予算案は4月29日、菅首相や各閣僚が出席し東日本大震災の復旧、復興に向けた第1次補正予算案の質疑を行なわれました。このなかで菅首相は、「政府としてできることは何でもやる、カネのことは心配するなというつもりで取り組まなくてはいけない」と強調。5月2日には成立の見通しのようですが野党の政府への協力は1次までと報道があります。予算案は政府、与野党協力して成立までこれだけの時間がかかるのかと唖然となります。第2次、第3次と今以上に成立までに時間がかかるのかと懸念されます。

金融支援、産業復興を急ぐなら:斬新な電力供給を考えよう
大型連休の返上で夏の電力不足対策に打ち出る企業や、事業主自ら資金調達して漁業の早期復旧に乗り出す船主と、政府の支援に頼らずも日本の産業の発展のため動き出しています。手厚い金融支援を発表する政府ですが、今、求められているのは夏の電力です。昨年以上の猛暑になれば電力削減目標は増え、産業界の生産量は減少します。産業界では自主的に25%削減の計画を立てましたが、不足する25%を埋めるのは政府の政策で全体的な削減は25%から15%に下方修正しました。サプライチェーンの復活は大企業やその川下にある中小企業への復旧の下支えともなります。想定外の電力支援政策で復興を早め、空洞化していた産業を発展させたいものです。

[2011.5.2]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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