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国交省:被災地の住宅ローン返済猶予5年/被災地復興ゼロからのスタートに

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平成22年度:倒産社数減も不況型倒産の8割超えが「不況型倒産」に今年度は震災影響も
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帝国データバンクが4月8日発表した「全国企業倒産集計2010年度報」によると、倒産件数は前年度比10.6%減の1万1,496件と2年連続して減少とあります。負債総額でも同比35.1%減の4兆5,573億7,600万円と過去10年で最少額となっています。しかし倒産に至った主な原因を見ると売上減少など、「不況型倒産」は、構成比83.8%と多く、前年度からも2.0%上回り、過去10年で最高となっています。月別の推移も、4月から7月にかけて2桁ベースで倒産は減少していたものの8月以降は10月を除き3月まで1桁台となり、1月では2.8%増加となっています。
3月11日に発生した東日本大震災の地震と津波の被害、福島第1原発の放射能漏れ事故によって東北地方を中心に関東や、風評被害の影響など日本全体に企業活動が大きく落ち込みを見せ、今年度倒産増加の傾向が懸念されます。

前年比4割増超え:デリバティブ倒産
今年3月の景気DI(景気動向指数:0~100で50が分かれ目)は、前月比3.8ポイント減の31.6と落ち込み5ケ月ぶりに悪化しています。この落ち込みは平成20年12月、リーマン・ショック後の同比4.1ポイント減に次ぐ値となりました。
為替は昨年夏以降、急激な円高傾向となり、この影響を受け、倒産は前年比64.1%増の64件だったことが判明。なかでも金融庁が金融ADRでの解決を促す「デリバティブ取引での損失」による倒産は同比45.3%増の29件となっています。震災後の3月17日には、一時76円25銭と戦後最高値を更新したものの、G7の協調介入などによって80円台へ戻りました。4月に入り、円は1ドル85円台と円安傾向になりましたが21日現在、82円21銭と、依然として為替の影響による倒産の懸念が残ります。

リスケ後倒産、前年の2.5倍に
今年度に入り、震災後の倒産はすでに出始めており、直接的な被害によるものから間接的影響など倒産増加が懸念されます。前年度の倒産件数の減少は、明らかに中小企業円滑化法によるリスケジュール(条件変更)や政府が100%保証する信用保証による新規融資などの金融支援で、企業は、条件変更で負担を軽減し、売上減少などのつなぎ資金的な融資で生き残っているのが現況です。
リスケジュール後に倒産に至った件数は前年比150.8%増の148件と、絶対数は少ないものの約2.5倍と拡大し、今年3月には25件と月間では過去最多となり、年度始めから月を追うごとに増加傾向にあります。

約6割の企業:震災で需要が減少する
帝国データバンクでは、リスケジュール後の倒産増加に、「円滑化法の倒産抑制効果に陰りが見える。東日本大震災の影響で倒産が増加に転じる恐れがある」と分析。同調査期間が4月5日に発表した「震災の影響と復興支援に対する企業の意識調査」でも、調査対象、全国1万747社の約6割に当たる6,189社が生産や販売、サービスで需要が減少すると応えています。こうした要因からも企業は、新しい市場の開拓や、つなぎ資金として新規融資や猶予期間中にデューデリジェンス(財務精査)での資金繰りの見直し。BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)管理会計の導入で経営を改善し、健全な事業に立て直し黒字を迎える企業に変えなくてはなりません。

国交省:住宅ローン利用者へ精神的支援
東日本大震災による大津波は、東北太平洋沿岸部を襲い、一瞬にして数多くの家が流され土台だけが残ると言う燦々たる姿に変えました。政府は復旧、復興に向けた第1次補正予算案を月内に国会提出を目指しますが、国土交通省では、金融庁の中小企業金融円滑化法にならった被災者向けの住宅ローン支援策を予算案に盛り込みました。津波によって流されてしまったり全壊した住宅を建て直す際、住宅金融支援機構の住宅ローンを当初5年間、無利息で元金を猶予する金融円滑化法的な施策です。また同機構の住宅ローンを利用している人向けに災害時に3年猶予期間を設けていますが5年に延長しています。これら被災者支援を提案した日本弁護士連合会・宇都宮会長は、「(マイナスではなく)ゼロからスタートできるよう、生活や事業を立て直す仕組みづくりを早急にやってもらいたい」と述べています。

金融円滑化法も1年延長に、プラス負担軽減支援を
政府は、リスケジュールや猶予期間の設定、延長と被災者や被災企業支援に政策を打ち出し、不安となっている事業や、雇用への問題の政策が予算案に盛り込まれています。あとは一刻も早く予算案を成立させ、被災地に具体策を掲げ、スピードをもって復興に向け躍進したいものです。金融庁の金融円滑化法も思い切った長期の猶予や大胆な負担軽減など企業への「限りなくゼロに近いスタート」支援をお願いしたいものです。

[2011.4.23]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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