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被災地中小企業へ復興資金を!信金・信組/東北の安全な農水産品をTPPで新興国へ

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被災地金融機関の5%が未だ閉鎖、30店では臨時窓口、仮設店舗で対応
金融庁が4月18日発表した「今般の震災についての金融庁・財務局・金融機関の対応状況」によると、東北6県と茨城県に本店のある72の金融機関の営業店舗数、約2,700のうち131の営業店が未だ閉鎖された状態となっています。震災後の週明け3月14日には、約280の店舗が閉鎖されていましたが、復旧が進み131と減少。さらに、このうち約30店舗では臨時窓口や仮設店舗を設置して預金者からの引き出し対応や、相談業務をこなしています。被災者のほとんどが何も持ち出せずに避難した方も多く、地域ならではの地銀や信金、信組、ゆうちょ銀行の銀行員の対応に高い評価があります。

東北の金融マン:被災地で店舗開けて預金者、相談者に対応

110422_1.jpg一橋大学大学院国際企業戦略研究所・安田教授は震災を受けた金融機関の対応に、
「銀行職員は、被災後もいち早く店舗を開け、自らも被災者でありながら住民の預金の引き出しに最大限の柔軟さで応え、地元中小・零細企業の資金繰り相談に全力で取り組み、破壊された街で凛と構えていた姿。それが地元にどれほど安心感と希望を与えたことだろう」
と金融専門誌に寄稿しました。被災地ではメディアがあまり報じていない東北の金融マンのほか、地域住民に応対する自治体職員や、休みなく続く救助・捜索に当たる自衛隊員、海保隊員。そして警察、消防、地元の消防団など、地域の人々の姿を見ては、勇気や希望が持てたことでしょう。

被災金融機関、閉鎖店舗の約半分は信金・信組
東日本大震災で被災した企業に、地域経済に密着する信用組合や信用組合も多く、閉鎖している131の金融機関のうち60店舗に上っています。信組は、地域で集めた資金を地域の企業などに融資して、地域社会・経済の発展を目的としている非営利組織で、銀行とは一線引かれています。信金は地域が限定されており、出資者もその地域内の企業や個人に限定されているため収益を追及する機関投資家などの出資は難しくなっています。信組もほぼ同様の仕組みで、組合員によって資格の条件が異なっています。

石巻信金「信金は地域経済と運命共同体」、
石巻商工信組「復興に積極的に取り組みたい」
被災地の太平洋沿岸部では、水産加工業などの工場が津波によって流され、ほぼ壊滅状態に陥っており、こうした企業へも信金・信組では融資を行ってきました。石巻信用金庫は、12店舗中、3店が津波で破壊、6店が被災し4月19日現在、復旧した店舗もあわせ6店が窓口業務をこなしています。震災後3月15日には、通帳や印鑑、キャッシュカードを流された預金者が窓口に殺到。柔軟な対応で1人当たり10万円限度に払い戻しをしたと報道がありました。同信金・佐々木常務理事は「信金は地域経済と運命共同体」と強調しました。
石巻商工信用組合も12店中2店が未だ店舗再開に至っていません。同信組・丹野常務理事は、「これから土木建設関連の資金需要が増えるだろう。復興に積極的に取り組みたい」と述べています。

信金・信組の基盤を築き水産加工業へ復興融資を
自見金融相は4月16日、石巻市を訪れ石巻信用金庫、石巻商工信用組合と会談。融資先の被災した事務所・工場や、担保となる不動産が大きな被害を受けた地元企業に、今後も安心して融資できるよう政府が信用保証協会を通じて100%保証を受ける緊急保証などの拡充を要請しました。
金融庁は、金融機関に対し、被災企業へこれまでの融資のリスケジュール(条件変更)するとともに、新たな融資に積極的に応じるよう求めています。自見金融相は被災地で、「復興に向けた潤沢な融資には、十分な自己資本が必要」と述べ、金融機能強化法に基づく公的資金の活用を促しました。まずは法令によって信金・信組の基盤をしっかり築き、水産加工業の多い企業への復興資金拡充を願いたいものです。

被災地の不安取り除く第2次補正予算案が必須
被災企業は、これから先の仕事や復旧計画、被災した取引先など先行きが見えない事が不安の材料となります。現在の融資やリース物件への対応、担保となる住宅ローンなどは、金融庁が促すリスケジュールで体力を温存。猶予期間が終了した時の対応や、緊急保証を利用できない企業へのさらなる小口資金融資など、復興に向けた金融支援を第2次補正予算以降、打ち出していただきたいものです。

農水省TPP絡ませ東北再生:11漁港整備、仙台空港、石巻港から農産物を新興国へ
農林水産省では、東北沿岸部の漁業再生に向け、大型11漁港を重点に整備し、水産加工業や保管業、運送業など関連産業を含めた国際競争力のある漁業拠点の検討に入りました。原発事故による水質汚染問題など残るものの、復興に向けた計画は進んでいます。東北近海産の大量の水産加工物が、仙台空港や石巻港からアジアなど新興国へ輸出拡大。被災地域を発展させ、新しい東北の水産、農業、産業の発展に繋げたいものです。

[2011.4.22]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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