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被災企業の経営支援①政投銀:復興ファンド500億②東証:ファンドの上場、要件緩和検討

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復興ファンド創設の可能性:復興関連・建設・土木産業の集約でETF化
京証券取引所(東証)は4月15日、東日本大震災で被災した企業向けに復興ファンドを組成する事を発表しました。復興ファンドはインフラの復旧など必要な資金調達が円滑に行われるよう、上場も運用会社に働きかけるとしています。東証では、証券取引所で取引される投資信託ETF(上場投資信託)など、復興に関わる建設、土木会社などの企業を集めファンド運用すれば、現行の制度でも証券化できる可能性があるとしています。

東京証券取引所:復興ファンドの上場目指し要件緩和を検討
ETFは、昨年11月以来、包括的緩和策の一環として日銀が資金供給してETF購入を行っており、3月度は15日までに795億円買い入れています。日銀の買い入れでETFの信頼がさらに高まり、新たな投資家が集まってきます。報道によると、東証の復興ファンドは、湾岸の復旧などに資金を供給し、湾岸運用による収益から投資家へ分配されるなどの仕組みが考えられるとあります。しかし日本国内では、このようなファンドの上場が承認されていない事から東証では、上場の要件緩和を検討するとしています。復興ファンド組成の目的を投資家に理解してもらえば、大きな運用益の出るファンドとなり得るでしょう。

日本政策投資銀行:部品メーカー対象ファンド組成500億円規模
110419_1.jpg日本政策投資銀行(政投銀)では、自動車や電機産業などの部品メーカーに絞ったファンドの組成を検討と報道がありました。サプライチェーン(供給体制)の混乱は、被災地の部品メーカーによる供給停止や部品生産の減少など国内外の完成品メーカーのラインをも停止に追い込みました。政投銀では、サプライチェーンの早期復旧に向け500億円規模のファンドを組成し、被災した2次、3次の中小取引先を選定し、支援するとしています。

補正予算対象:「資本金3億以上大企業、中堅企業中心」下請けには及ばず

政府は、復興に向けた第1次補正予算で危機対応融資を3兆円に拡大しますが、対象となる製造業の場合は、資本金3億円以上の大企業や中堅企業が中心で、技術力が高いとされる2次、3次の中小企業まで行き届かないのが実状です。サプライチェーンは3次下請け、さらにその先の川下にまで及んでいる業種もあるのです。

メーカーには迷惑かけられないと金型を納入先へ
サプライチェーン回復に部品メーカーの復旧、復興は進むものの、度重なる余震や原発放射線漏れで足もとを掬われている企業もあります。4月7日深夜には、震災後、最大の余震が宮城で発生。トヨタやホンダの部品メーカーにアルミ部品を納入している2次下請けの岩機ダイカスト工業(宮城県亘理郡山元町鷲足字山崎51−2:齋藤吉雄社長)は、停電によって解けたアルミを生産ラインからくみ出す作業に追われました。停電によって電気炉で解けたアルミが固まってしまうと設備が使えなくなる恐れがあるのです。

停電で操業できない岩機ダイカスト、納入先に金型渡す決断
6時間後には電気が復旧しましたが、同社は3月11日の震災後、停電と設備損傷で生産が止まり、迷惑はかけられないと納入先に金型を渡しました。金型は、企業ごとの工夫と技術の結晶で大切なもののはずですが、納入先工場への配慮から、納入先工場を停めてはならない、更には納入先に迷惑はかけられないとの強い思いと責任感からでしょう。なんと同社は震災後、3月末には入手の困難なディーゼル発動機を9台集め、ほんの一部ですが操業再開にこぎつけました。このような事業所にこそ早急に設備資金が優先されるべきでしょう。

トヨタ:4月18日から国内全工場稼働/稼働率5割
トヨタが東日本大震災の復興向けの危機対応融資の活用を検討と報道がありました。同社は、部品調達不足で収入減少を懸念し手元資金を厚く確保する他、資金繰りが厳しい下請けを支援するための資金とあります。危機対応融資は、震災によって直接被害を受けた企業の他、取引先による2次的に悪影響が出ている企業も対象となっています。トヨタは国内の全工場を4月18日までに再開させますが、稼働率は5割とし、連休明けの生産は未定となっています。同社では、部品調達の復旧を見定め、生産計画を策定し、計画に見合った必要額を算出し、第1補正予算の成立を待って判断するとしています。

下請け工場など:ファンド出資で部品企業再開
/被災地企業、停電被害企業
自動車産業はピラミッド型となっておりすそ野の広い産業で、トヨタも2次、3次下請け企業がどこから資材を調達しているのか全てを把握していないようです。政府金融支援のもと、最大限の融資で部品ファンドなどへ出資。サプライチェーン早期復旧で被災地域の活性化に繋げたいものです。

野党自民党:首相退陣じゃないと復興予算通さない!の怪
4月に国会提出を目指す第1次補正予算は、与野党双方から内容に異論が出て法案提出が5月ずれ込むと報道されました。自民総裁は協力どころか首相の退陣を要求するようです。1,000年に一度の国難回避が第一の目的だと理解できないのか、その姿勢には飽きれてしまいます。まずは法案を成立させ、雇用など被災者の不安を払拭し安心提供、被災企業を再建させてもらいたいものです。危機的な状況になった時にこそ、誰がいつ何をしてくれたのかを賢い日本国民は見ているのです。

[2011.4.19]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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