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金融機能強化法改正:被災金融機関に公的資金注入/被災企業の経営支援

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自見金融相:「経営陣の責任を問わない」大震災は金融機関経営責任の範囲を超えている
自見金融相は4月8日、東日本大震災で被災した地域の金融機関の支援策として、健全な金融機関に公的資金を注入できる「金融機能強化法」の改正案を打ち出しました。被災した金融機関の体力が弱まれば貸出先となる中小企業へ資金が回らなくなります。そのため改正案では、被災金融機関に公的資金が円滑に供給されやすくするための特別措置を設けるものです。金融機関が金融庁へ提出する「経営強化計画の内容の簡素化」や「金融機関の経営陣の責任を問わない」、「平成24年3月末までの時限法を数年延長」と検討されています。自見金融相は、「今回の災害は(金融機関の)経営陣の努力を超えているので、経営責任は基本的に問わないようにしたい」と述べており、貸出先となる中小企業などの復旧、復興支援に同法の改正を国会へ提出する方針を明らかにしました。

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経産省/中企庁:債権放棄を検討/想定外の災害には想定外の支援策
経済産業省では、中小企業の資金繰りや復旧、復興支援に民間金融機関による信用保証協会100%保証の「復興緊急保証」や、政府系金融機関の「復興特別貸付」を新設し、金融支援を第1次補正予算に盛り込んでいます。サプライチェーン(供給体制)の混乱や、電力不足による減産、風評被害など日本経済の再建が懸念されるなか、中小企業の体制強化にも法案成立を願いたいものです。
東日本大震災による企業のダメージは甚大で、中小企業金融円滑化法景気対応緊急保証の延長はもとより、従来の枠組みを超えた支援策が必要です。中小企業基盤整備機構では、都道府県が共同で実施している融資を、被災した物流センターなど企業の負担を軽減、再出発しやすい環境を整えるため、債権放棄も検討。中小企業庁は4月5日、中小企業基盤整備機構や都道府県に対し、再建整理を円滑に進めるよう要請しています。想定外の災害には、想定外の支援策も必要です。

信組連合会はすでに福島2信組に特別融資実行/信金・地銀も検討、現実化へ
全国信用協同組合連合会は、地域の企業へ貸出しが滞らないよう、すでに福島県の2信組に低金利で数十億円を貸し出しており、特別融資は初めてと報道がありました。また被災した信組に代わって、企業や個人に直接資金を貸し出す「代理貸付」も検討しています。
全国信用金庫協会と信金中央金庫でも、1,200億円を被災地の信金に低金利で貸し出す事を検討しています。信組や信金、地方銀行では金融機能強化法に基づいた公的資金の受け入れが現実化してきています。
被災地では今後、復旧、復興のため金融機関から資金を引き出す機会が多くなります。地域金融機関は、企業、個人の再建に十分対応できるよう貸出し資金確保に動いてもらいたいものです。

仙台銀行:公的資金100億円超注入検討/改正金融機能強化法適用
仙台銀行は4月11日、金融機能強化法に基づき、公的資金注入の申請する検討に入ったと発表。被災した地元中小企業へ復興資金を円滑に供給するとし、震災の影響を確認しながら公的資金の注入時期を決めるとしています。同行では、宮城県の沿岸部で被災した企業のリスケジュール(条件変更)や返済率の高かった住宅ローンでもリスケジュールを求める声が上がっているとし、今後数年で貸倒引当金の増資が必要と判断。100億円超えの資本増強が検討されているようです。被災した企業、個人向けに早期公的資金注入で円滑に資金供給されるよう望まれます。

日銀仙台支店発表:宮城県沿岸部の企業壊滅、「生産ゼロに近い」発言
日銀仙台支店の福田支店長は4月15日、仙台市内の会見で東北地方の景気について「相当悪くなっている。ただ下にいったというレベルではない」と、きわめて厳しい状況と述べました。机上では見えてこない被災企業の実態でしょう。内陸部では5~8割復旧してきたものの、沿岸部での生産は一部の大企業を除けば「ゼロに近い」と述べています。
 
後手後手の政府対策:被害は原発だけではない/急いで欲しい産業支援策
地震や津波などで事務所や倉庫、工場が流されたり、機械が破壊されたりと「ものづくり」日本の企業が、生産できない状況に陥っている現実です。早期の金融強化機能法改正案の成立で地域の金融機関へ公的資金を注入。被災した企業へ設備資金、復旧、復興資金の供給をお願いしたいものです。政府の中小企業支援策はこれから続々と公表されます。政府や日銀などの支援で復興を遂げ、復興需要に活況が見え始めた西に追いつき、空洞化となっていた国内産業の活性化を図りたいものです。

[2011.4.18]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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