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物流停滞・資材供給減不足は計画停電が原因:仮設住宅、着工目標の1割!

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仮設住宅の早急な建設が急がれる/避難者数:宮城58,000人、岩手約5万人、福島26,000人と、3県合計約134,000人
東日本大震災から1ケ月が経過し、不自由な避難所で生活する被災者の疲労もピークを過ぎ、精神的なケアも必要な状況が報道から伺えます。警視庁によると4月7日現在、被災地の避難者数は、宮城で約5万8,000人、岩手が約5万人、福島で2万6,000人と、3県で未だ約13万4,000人となっています。仮設住宅の早急な建設が急がれます。
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国交省:仮設住宅着工目標62,000戸に対し着工は6,282件
国土交通省の4月7日現在の「応急仮設住宅着工状況」によると、62、000戸の仮設住宅着工を目指しているものの、3県に千葉を加えた4県で着工に入った仮設住宅はわずか6,282件と1割に過ぎません。

完成仮設住宅36戸に抽選倍率53倍:陸前高田市
このうち完成した仮設住宅は岩手・陸前高田市の36戸のみと、建設の遅れに政府の支援が欲しいところです。陸前高田市では市立第一中学校のグラウンドに36戸を建設。一般世帯と高齢者世帯18戸づつ振り分け、5日に行われた抽選の倍率は、一般世帯で約53倍と最初から諦めの声も聞かれました。当選世帯は、10日頃より入居が始まり、日本赤十字社が国内外から寄せられた義援金で用意された、真新しいテレビや冷蔵庫、洗濯機など家電セットが運ばれるようです。

4月7日仙台市で震度6強、津波の危険で土地確保困難
4月7日23時32分頃、宮城県沖を震源とする地震があり、仙台市で震度6強と震災以来の大きな地震で、太平洋沿岸に津波警報や注意報が発令。沿岸住民に高台への避難が呼びかけられました。仮設住宅の建設地は、より安全な場所に建てなければならず、津波の危険性のある地域には着工できません。この土地確保が着工を遅らせる1つの要因となっています。福島は約9割、岩手は7割、土地を確保したようですが、宮城は未だ調査中としています。
 
全国公営住宅利用促進、被災者「この土地から離れたくない」心情
全国の自治体では、避難者用に公営住宅などの空き室を無償提供しています。国土交通省が公表している「公営住宅等、UR賃貸住宅の空き室と入居決定の状況」によると、全国の被災者に提供可能な公営住宅は、4月4日現在、約2万戸で12.5%に当たる約2,500戸が入居を決定しています。UR住宅へは3月31日現在、約2,600戸あり21.9%約の570戸が入居決定といづれも低い入居決定率となっています。被災者の「生まれ育った街を離れたくない」という気持ちと、3県の被災地沿岸の高台に平らな土地が少ないと言う需給バランスの難しい課題が残ります。

高まる需要に投資目的の仮需も、資材調達不足は改善へ
仮設住宅建設を遅らせる要因には、物流の停滞がありますが、インフラ復旧工事の加速で解消へ向かっています。また住宅の資材需要の高まりに合板や断熱材など品薄状態になって着工が遅れると報道があります。林野庁や経済産業省、国土交通省、環境省が連携して3月末に、建設資材の流通業者12社の資材需給状況を調査。構造用に使われる合板や、床・壁などの下地材のパーティクルボード、断熱材として広く使われるグラスウールの注文が増加していると言います。一部の資材では、投資を目的に買占めとも見られる仮需も見られるようです。国土交通省では、現地点では見られないものの、不適切な取引が発生した場合は、買占め等防止法により、行政処分も視野に入れると厳しく目を光らせます。

国交省:今後合板は十分な供給が可能、浄化槽は供給可能の発表の信憑性
同省庁が4月5日公表した「住宅建設資材に係る需給状況の緊急調査結果概要」の応急仮設住宅の資材調達状況によると、合板は一部の工場が被災したものの他工場のフル生産体制で十分な供給が確保できる見込み。同様にグラスウールも被災や、計画停電で生産量は減少しましたが操業再開や、輸入拡大で確保の見込み。浄化槽も小型と中型の柔軟な組み合わせで十分供給できるようになりました。

国交省、着工目標変えず3万戸
仮設住宅用資材の供給増は、被災した企業の復旧の加速。計画停電で稼働率の低下が予想される関東を避け、西日本工場へ生産をシフトなどの企業努力が背景となっています。大和ハウス工業では、奈良市など全国6工場で床パネルをフル生産。TOTOは衛生陶器を滋賀工場で3割増産。林ベニヤ産業は舞鶴と石川で合板を25%増産し、仮設住宅向けを最優先としています。
仮設住宅は、阪神大震災では7ケ月かかって653団地、4万9,681戸を建設しました。東日本大震災では、大畠国土交通相の指示で当初2ケ月で3万戸を目指しましたが、土地確保、物流、資材供給不足など重なる課題に遅れで、未だ36戸しか完成していません。4月1日の国土交通省緊急災害対策本部での指示も変らぬ同様のまま3万戸です。さらに地域の工務店など建設業者による地域材を生かした建設の支援。資材調達に支障が生じないよう各省庁が連携をとり、不足の場合は緊急輸入を検討するなど指示が加えられました。

住宅建設に雇用需要増、即実戦も!
問題、支障が生じればすぐに機転を利かせ、乗り越えられるが日本の企業の良さです。現地においても職人が機転を利かし、限られた土地で効率、手際よく建設が始まり、多くの被災者の雇用も生まれてきます。被災者は、今までと違う建設という職も、6万戸をも超える仮設住宅の実戦での建設は、職人を目の前にすぐに身に付く事でしょう。震災前には衰退傾向にある建設・土木産業を筆頭に雇用の拡大、東北地方と日本全国の「ヒト、モノ、カネ」の流れが円滑となって地域の活性、産業を発展させたいものです。

[2011.4.11]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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